今年で3回目のグランプリ開催となったツインリンクもてぎ。過去2年は、Hondaの500ccにとっては未勝利のサーキットだが、今年はロッシがタイトル王手一歩手前だけに、開幕初日から必勝ムードが漂っていた。
予選初日、雨になったフリー走行でトップに立ったのは、G.マッコイ(Y)で、阿部典史(Y)、K.ロバーツ(S)と続く。Honda勢はロッシが4番手とまずまずの出だし。しかし、クリビーレ11番手、宇川徹13番手と、滑りやすい路面にタイムが伸びず苦しい出だしとなった。
そして、ドライになった午後の予選では、もてぎで2連勝を飾っているK.ロバーツ(S)が好調で、暫定PPを獲得。フリー走行で低迷していたバロスとカピロッシが、それぞれ2番手、3番手に浮上。思うようにタイムが伸びなかったロッシも4番手と踏ん張った。しかし、思うようにセッティングを詰めきれなかった宇川は14番手。クリビーレも16番手と苦しい一日となった。
迎えた2日目の予選は快晴。初日18℃前後までしか上がらなかった気温も25℃前後まで上がる絶好のコンディションとなった。
しかし、依然として路面のグリップは思いのほか良くならず、選手たちはサスペンションのセッティングとタイヤの選択に頭を悩ますことになった。
そんな状況の中で、午前中のフリー走行でトップに立ったのはバロス。以下、カピロッシ、ロッシとHonda勢が上位を独占。最終予選でもカピロッシが好調で今季3回目のPPを獲得。以下、M.ビアッジ(Y)、バロス、ロッシと続き、Honda勢3台がフロントロー。徐々に調子を上げている宇川が9番手。クリビーレは12番手で決勝へと挑むことになった。
そして迎えた決勝日。もてぎは雲の多い天候となったが、気温は23℃まで上がった。
好スタートを切ったのはビアッジで、ロッシ、K.ロバーツ(S)と続く。周回を重ねる毎にグイグイとペースを上げるビアッジ。そのビアッジをロッシがピタリとマークした。
こうして優勝争いは、序盤にして、早くもこの2人に絞られた格好。しかし、6周目の左高速コーナーでビアッジ(Y)が転倒。労せずしてロッシがトップに浮上することになった。
首位に立ったロッシは、以後、一度もトップの座を譲ることなく今季8勝目。チャンピオン争いをするビアッジ(Y)がリタイヤに終ったために、次戦オーストラリアでタイトルに王手。ビアッジとの差を67点としたことで、オーストラリアGPでビアッジ(Y)が優勝したとしても、8ポイントを加えれば自力チャンピオンが決まるという状況になった。
その後方では、バロスとカピロッシがロバーツ(S)を交わし、それぞれ2位、3位に浮上。バロスは最終的にロッシとの差を2.6秒まで縮める好走で2戦連続の2位。3位には、阿部典史(Y)の追撃を寄せ付けない力強い走りを見せたカピロッシが入った。
序盤、混戦の中で遅れた宇川は、中盤から後半に掛けてペースアップ。一周目11番手から、最終的に5番手に浮上してフィニッシュ。思うようにペースが上がらなかったクリビーレは11位に終った。
250ccクラスは、フロントローからスタートした、原田哲也(A)、M.メランドリ(A)と、ここまで8勝を挙げてポイントリーダーの加藤大治郎、この3人による三つ巴の戦い。オープニングラップですでに後続集団を突き放す快走を見せた3人だが、6周目の4コーナーでメランドリ(A)が転倒、その転倒の巻き添えとなった加藤大治郎は、痛恨のリタイヤとなった。
優勝したのは原田哲也(A)。2位には、セカンドグループの激しい戦いを制したアルサモラで、今季2回目の表彰台を獲得した。
加藤にとっては悔しいリタイヤ。チャンピオンシップで2位の原田(A)との差は49点から24へと縮まったが、依然としてチャンピオンへの最短距離。次戦オーストラリアGPでは、今回の雪辱を果たす意気込みだ。
125ccクラスは、エリアスが好スタートを切り、宇井陽一(D)、M.ポジャーリ(G)がトップ集団を形成。2周目に宇井(D)がトップに立ち、エリアスは宇井(D)をピタリとマークしたが、5周目に痛恨の転倒。ノーポイントに終った。
勝ったのは宇井(D)、2位にポジャーリ(G)。3位には、この2人を追ったペドロサが2戦連続の3位に入った。
この結果、ポイントリーダーはエリアスからポジャーリ(G)へと変わったが、その差は12点。再び、首位の座を奪い返すために、ラスト3戦、全力を尽くすことになった。
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