ヨーロッパラウンド最終戦。今年で3回目の開催となるバレンシアGPは、今回も大勢の観客で膨れ上がった。3日間のトータルでは、スペインのヘレスをしのぐ21万人の大観衆。決勝日だけでもヘレスに匹敵する12万人の観客を集めた。
予選初日、500ccクラスのフリー走行でトップに立ったのは、前戦ポルトガルで今季7勝目を挙げたロッシ。昨年の大会は素晴らしい追い上げのレースを見せながら転倒リタイヤしているだけに、今年はその雪辱に燃えていた。2番手にはカピロッシ。以下、K.ロバーツ(S)、バロスと続き、Honda勢が上位につける。宇川徹7番手。クリビーレは15番手ながら、地元の大会に気合を入れていた。
バレンシアは、過去2年、Hondaの500ccクラスにとっては優勝のないサーキット。もっとも苦手とするサーキットだっただけに、オフのテスト、そして3週間前のテストの成果が、初日のフリー走行からはっきりと出る形となっていた。
午後の予選でも、ロッシが暫定PPを獲得。バロス、カピロッシと続き、宇川5番手と、フリー走行同様、Honda勢が上位につけた。
2日目は雲の多い天候。初日30℃まで上がった気温だが、この日は26℃とやや涼しい天候。初日トップのロッシは2日目も好調で、フリー走行でトップタイム。完璧な形でセッションを消化していた。しかし、予選では、M.ビアッジ(Y)にわずかの差でトップを譲るが、ロッシはコンスタントに好タイムをマーク、依然として優勝候補の筆頭に挙げられていた。
3番手には中野真矢(Y)。4番手にカピロッシ。初日13番手に沈んでいたクリビーレが6番手に浮上。着々とセッティングをつめていた宇川は、セッティング終盤の雨でアタックのタイミングを逃して10位に終ったが、後方グリットからの追い上げに期待が膨らんだ。
しかし、決勝は、予想もつかない波乱が待ち受けていた。500ccクラスの決勝レースの前に行われた250ccクラスが雨のために中断。125ccクラスのレースは辛うじてドライコンディションで行われたが、500ccクラスのスタート前に本降りとなり、レースはウエットで始まった。
3日間を通じて、初めてのウエットコンディション。選手たちは、徐々に乾いていく路面を睨んで思い思いのタイヤをチョイスする。そして好スタートを切ったのは予選2番手のロッシで、前後にインターミディエィトを選択してぐいぐいとペースを上げた。
しかし、周回を重ねる毎に乾いていく路面。ロッシは、思うようにペースを上げられずジリジリと後退。最後は滑るタイヤと格闘しながら11位でフィニッシュ。しかし最大のライバルでもあるM.ビアッジ(Y)も10位と低迷。ポイントでは1ポイント詰められたが、残り4戦で42ポイントという大きなリードを築くことになった。
優勝争いは、前後にスリックタイヤを選択したS.ジベルノー(S)とK.ロバーツ(S)、フロントにインターミディエィト、リヤにスリックを選んだバロスの3人による激しい戦いとなったが、最後はタイヤの選択でアドバンテージのあるジベルノー(S)が優勝。バロスは大健闘ながら惜しくも2位に終った。
その後方では、フロントにインターミディエィト、リヤにスリックを選んだ選手たちが激しい戦いを演じたが、終盤、ぐいぐいとペースを上げた宇川徹が6位でフィニッシュ。クリビーレは序盤、トップグループに絡んだが、惜しくも転倒リタイヤに終った。予選4位スタートのカピロッシも、スタート直後に転倒してリタイヤに終った。
250ccクラスは、予選4番手の原田哲也(A)がホールショットを奪うが、予選5番手スタートの加藤大治郎が3周目に首位に立った。しかし、レースは、10周目に雨のために中断。再スタートとなるが、第2ヒートでも加藤が素晴らしい走りを見せて、追いすがる原田を振り切って今季8勝目。日本人選手としては、シーズン最多勝利記録を樹立。グランプリでも歴代3位となった。第2レースで素晴らしい走りを見せたアルサモラは、第2ヒートで3位でフィニッシュ。総合で4位につけた。
125ccクラスは、トップ集団が10台に膨れ上がる壮絶な戦いとなり、最終ラップの最終コーナーでトップに立ったエリヤスだったが、フィニッシュラインでM.ポジャーリにかわされて2位。しかし、7戦連続表彰台でランキングトップを守った。3位にはエリアスのチームメートのペドロサがGP初表彰台をゲットした。
これでヨーロッパラウンドはすべて終了。残るは、ツインリンクもてぎ、オーストラリア、マレーシア、ブラジルの4戦。3クラスでランキングトップに立つ、ロッシ、加藤大治郎、エリアスにとっては、ともに初タイトル獲得に向けて重要な戦いとなりそうだ。
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