今年で2回目の開催となったポルトガルGP。リスボン郊外にあるエストリルは、強風が吹くことで有名だが、今年は3日間ともに天候に恵まれ、予選から好タイムが続出。決勝では、レベルの高い激しい戦いが繰り広げられた。
昨年は、エストリルの滑りやすい路面と強風に苦しめられたHonda勢。今年はチェコGP決勝日の翌日にブルノでテストを行い、さらにスペインのバレンシアへ移動して2日間のテストを行うなど、万全の体制でのエストリル入り。昨年のウィークポイントを改善してポルトガルGPを迎えた。
雲ひとつない青空の中で迎えた予選初日。2年目には勝つというジンクスを持つロッシが、チェコGPの優勝の勢いもあって、好調な滑り出しを見せる。フリー走行でトップタイムを叩き出し、予選でも2位以下に0.5秒差をつける快走で暫定PPを獲得。2年目のジンクスを早くも発揮。昨年は3位に終わっていたエストリルでの初優勝に早くも期待が膨らんだ。
以下、阿部典史(Y)、M.ビアッジ(Y)と続き、カピロッシが4番手。バロス6番手。バレンシアテストで調子を取り戻した宇川徹は、フリー走行で5番手につけていたが、予選では痛恨のセッティングミスで13番手にダウン。クリビーレは15番手で初日を終えた。
2日目もエストリルは無風快晴という絶好のコンディション。湿度がないために、体感温度はそれほどではないが、最高気温は40℃。タイヤにも選手にも厳しい予選となった。
しかし、昨年のウィークポイントを改善したNSR500は、この日も快調で、2日目のフリー走行でもロッシがトップタイム。最後の予選ではアタックのタイミングを逃して3番手にダウンしたが、ベストタイムをコンスタントにマークして、その仕上がりの良さをアピール。PPを獲得したM.ビアッジにプレッシャーを賭けることに成功した。
2番手には、前戦チェコで3位になって調子を取り戻して来たカピロッシで、ロッシのタイムを上回る快走を見せる。4番手には宇川徹と、Honda勢はフロントローに3人という万全のポジションから優勝を狙うことになった。
迎えた決勝日。エストリルは、3日連続で快晴に恵まれる。こうして、3日間を通じて、絶好のコンディションとなり、決勝レースは、今シーズンの中でもレベルの高い競り合いが期待された。
長いストレート。そして1コーナーでは、フルブレーキングが要求されるタイトな右コーナーが控えるエストリル。昨年もスタート直後の争いが激しく、選手にとっては最初の難関となるが、今年はスタート直後に多重クラッシュが発生。このハプニングで、宇川徹、バロスのHonda勢と、阿部典史(Y)がリタイヤする波乱の出だしとなった。
そんな波乱を潜り抜けて、オープニングラップを飾ったのは、PPスタートのビアッジ(Y)。以下、グールベルグ(KR)、カピロッシ、ロッシと続いた。
しかし、2年目のジンクスに守られ、セッティングを完全に詰め切ったロッシは、2周目に3番手、3周目にトップに浮上すると、追いすがるカピロッシを振り切って、28周のレースを真っ先に終えた。
2位にはそのロッシを必死に追撃したカピロッシで、2戦連続の表彰台。ロッシとカピロッシを追ったビアッジ(Y)は、ジリジリと後退。そして22周目の1コーナーで転倒して優勝争いから脱落。再スタートを切るも5位に終わり、優勝したロッシが2戦連続でビアッジを突き放し、その差を43ポイントへと広げることに成功。初タイトルに大きく前進した。
250ccクラスは、予選2番手の加藤大治郎が、序盤こそ、M.メランドリ(A)、原田哲也(A)と接戦を繰り広げるが、7周目にトップに浮上するとジリジリと後続を突き放す快走。最後は独走で今季7勝目を挙げる。タイトル争いでも2位以下に大きなリードを築いて、タイトル獲得に大きく前進した。
125ccクラスは、M.ポジャーリ(G)、宇井陽一(D)、エリアスの3人の優勝争いとなり、ポジャーリ(G)が優勝。エリアスは3位に終わったが、ランキングトップの座を守ることに成功。Honda勢は、3クラス制覇に向けて、また大きな一歩を刻んだ。
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