5週間という長いインターバル。後半戦のスタートとなった第10戦チェコGPは、3日間通じて快晴に恵まれ、予選から好タイムが続出。しかし、決勝日は気温が34℃まで上がり、ライダーにもバイクにも厳しい条件の中で行われることになった。
昨年は、このコースを得意とするビアッジ(Y)が優勝を果たし、500ccルーキーのロッシは2位に終わっていた。それだけに、2年目のシーズン、そして9戦を終えて5勝、ランキングトップにいるロッシにとっては、今年は負けられない大会。今月上旬の鈴鹿8時間耐久レースでも優勝しているだけに、勢いに乗るロッシが、開幕前から大本命に浮上していた。
しかし、予選初日のフリー走行でトップに立ったのはカピロッシ。以下、G.マッコイ(Y)、C.チェカ(Y)、K.ロバーツ(S)と続き、ロッシは9番手と出遅れる。鈴鹿8耐で4位の宇川徹も14位と低迷。一方、前半戦に調子の波に乗れなかったクリビーレが5番手に浮上した。
そして午後の予選では、このサーキットで6回の優勝を果たしているビアッジ(Y)が暫定PPを獲得。以下、カピロッシ、ロバーツ(S)と続き、クリビーレは4番手。フリー走行に続いて登り調子をアピールすることになった。対して、フリー走行で9番手と調子の出ないロッシは、予選でも7番手に低迷。宇川も15位とセッティングに苦しむことになった。
しかし、2日目になって、ロッシが本来の調子を取り戻す。フリー走行ではトップタイムを叩き出し、2回目の予選でも、初日のビアッジのタイムにはわずかに届かなかったが、2日目のベストタイムを叩き出して2番手に浮上。初日から好調なカピロッシが3番手。クリビーレは8番手にダウンしたが、その差は僅差。長い不振から完全に脱したことを印象づけることになった。
また、初日15位に沈んでいた宇川は13番手へとポジションアップ。しかしタイムでは1秒以上のアップを果たし、クリビーレ同様、復調を感じさせる走りを披露することになった。
迎えた決勝レース。2日間の予選は28℃前後の気温だったが、決勝日は朝のウォームアップから30℃を越える厳しい条件となり、波乱の展開が予想された。しかし、セッションを追うごとに好調をアピールするロッシがウォームアップでも快走を見せて、再び、本命に浮上。PPスタートのビアッジ(Y)との戦いに注目が集まった。
しかし、ホールショットを奪ったのは、予選6番手のロバーツ(S)。それに、ビアッジ(Y)、阿部(Y)と続き、その後方にロッシ。しかし、ロッシはオープニングラップに阿部(Y)を交わし3番手に浮上。5周目にはビアッジ(Y)に交わされて2番手に落ちていたロバーツ(S)を交わして2番手に浮上した。
その時点で、トップに立っていたビアッジがややリードを広げ、ロッシがそれを追うという展開。逃げるビアッジをファステストラップを更新しながらロッシが猛追。中盤には、ビアッジ(Y)の背後にピタリとつけ、ビアッジ(Y)にプレッシャーを掛けることになった。
そのプレッシャーの中で、ビアッジ(Y)もペースを上げるが、ロッシも追撃の手を緩めず、13周目にはたまらずビアッジ(Y)が転倒。その時点で2位集団に7秒ものリードを築いていたロッシが、22周を走りきって、悠々の独走優勝を果たした。
その後方では、2番手につける阿部(Y)をクリビーレとカピロッシが猛追撃。ラスト2周で阿部(Y)を交わし、クリビーレは第3戦スペインGP以来、7戦ぶりの表彰台に立つことに成功。スタートで出遅れたが、クリビーレの背後まで猛烈に追い上げたカピロッシが3位に入ったことで、第2戦南アフリカGP以来のHonda表彰台独占を果たした。また、予選でセッションが決まらず苦戦していた宇川も、決勝では粘り強い走りを披露して3戦ぶりにポイント獲得の5位。ラスト6戦に期待をつないだ。
今季6勝目を飾ったロッシは、転倒して再スタートを果たすも10位のビアッジ(Y)に、29点差のリードを築き、初タイトル獲得に向けて大きく前進した。
今回の優勝でロッシは、125cc、250ccクラスに続いてブルノを制し、今季、スペインのヘレス、カタルニアと、3大会目の3クラス制覇となった。
250ccクラスは、予選2番手の加藤大治郎がホールショットを奪うが、2周目にPPスタートの原田哲也(A)に交わされ、終盤には、M.メランドリにも先行を許し、悔しい3位。これで、ランキング2位の原田(A)にポイントを詰められたが、手堅く表彰台に立ったことで、ロッシ同様、初タイトルに大きく前進した。
125ccクラスは大集団での激しい優勝争い。終盤になっても5台による競り合いとなったが、PPスタートのエリアスがラストラップに3台を抜く快走で今季2勝目。5戦連続表彰台に立つ活躍で、ランキングでもトップに立った。前戦ドイツで負傷、今大会復帰した上田昇は、セッティングが決まらず苦しい戦いとなり、11位。東雅雄もペースを上げられず13位に終わった。
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