今年で4回目の開催となるザクセンリンクのドイツGP。8月のチェコGPまで、約一ヵ月のインターバルとなるために、各クラスともに、熱のこもった戦いとなった。
昨年は、このコースを得意とするバロスとロッシがし烈な優勝争いを演じてバロスが優勝。初開催となった98年もドゥーハンが優勝するなどHondaにとっては相性のいいサーキット。500ccクラスでは、ロッシ、バロス、宇川徹の3人が、日本での鈴鹿8時間耐久レースのテストをこなしてのザクセンリンク入りとなった。
グランプリが開催されるサーキットでは、もっともテクニカルコースと言われるザクセンリンクは、昨年に続き、2度目の大幅なサーキット改修工事を受けての開催。昨年より全長で196メートル伸び、これまでコースが狭いと不評だった500ccクラスの選手からも、歓迎の声が上がっていた。
予選初日、コース改修後、最初の走行となった1回目のフリー走行では、C.チェカ(Y)がトップタイム。Honda勢は、ロッシ7位、カピロッシ8位、バロス10位。午後の予選では、M.ビアッジ(Y)が暫定PPを獲得。以下、バロス、中野真矢(Y)、カピロッシと続いた。鈴鹿8時間耐久レースから戻ってきたロッシは、スーパーバイクとの違いにやや戸惑って10位と奮わず。クリビーレ12位、宇川13位と、ともに、2日目の予選での巻き返しに期待することになった。
2日目の予選は、厚い雲が空を覆い、時折り、小雨がぱらつく生憎の天候。さらに、2回目のフリー走行は、セッション中盤まで小雨が降り、ハーフウエットという難しいコンディションで、タイムも思うように伸びなかった。しかし、午後の予選は完全なドライ。ビアッジ(Y)がPPを獲得し以下、中野(Y)、バロス、チェカ(Y)の4人がフロントロー。今季、PP争いを演じてきたカピロッシが7位、ロッシもセッティングを詰めきれず11位と苦しいスタートグリット。鈴鹿8耐テストで素晴らしいタイムをマークしている宇川も、セッティングを詰めきれず14位。今大会からNSR500に乗ることになったハスラムも19位からのスタートになった。
クリビーレは予選中にカピロッシと接触して転倒。その後、2回目の転倒を喫して15位。頭を打っていることから、慎重を期して、レースをキャンセルすることになった。
そして迎えた決勝レース。ぐずつき気味の2日間の予選とは打って変わり、青空が広がった。気温も24℃に上がり絶好のコンディション。しかし、予選日とコンディションが大きく変わったことで、選手たちはタイヤの選択に頭を悩ますことになった。
ホールショットを奪ったのは、PPスタートのビアッジ(Y)。以下、チェカ(Y)、阿部(Y)、バロスと続いた。11番手スタートのロッシは、オープニングラップ11番手。後半に向けての追い上げに注目が集まった。
レースは中盤になって、ビアッジ(Y)がやや後続との差を広げながらトップを走り、チェカ(Y)と阿部(Y)、追い上げて来た中野(Y)と続き、結局、ビアッジ(Y)が優勝。2位にチェカ(Y)、3位に中野(Y)という結果だった。
その後方では、バロス、ロッシ、カピロッシのHonda勢と、ロバーツ(S)、ジャック(Y)ジベルノー(S)がセカンドグループを形成。激しくポジションを入れ替える激しい戦いとなり、バロス5位、ロッシ7位、カピロッシ8位と健闘した。
開幕戦からすでに5勝。転倒リタイヤとなったイタリアGPを除き、すべてのレースで表彰台に立って来たロッシにとっては、7位という結果は不本意だったが、チャンピオンシップポイントでは首位を堅持。初タイトルに向けて順調に前半戦を終えた。
予選14位からスタートした宇川は、サードグループでマッコイ(Y)と競り合ったが、フィニッシュまで3周を残して転倒リタイヤ。ハスラムもオープニングラップに転倒してリタイヤとなった。
250ccクラスは、PPスタートの原田哲也(A)、2位のM.メランドリ(A)、3番手スタートの加藤大治郎の3人による激しい優勝争いとなった。前半は原田(A)、中盤はメランドリ(A)がトップに立ったが、加藤はその後方にピタリとつける快走。そして終盤になってトップに浮上、ラストラップを迎えるが、1コーナーで痛恨のオーバーラン。最終ラップのコース終盤で、追い上げてきたメランドリに交わされて悔しい2番手に終わった。しかし、ポイントで2位につける原田(A)が3位に終わったことで、その差を44へと広げ、タイトル獲得に向けて、万全の体制で後半戦へとつないだ。
125ccクラスは、序盤10台のトップ集団。終盤になっても7台の優勝争いとなり、S.サンナ(A)が今季初優勝。2位にエリアスが入り、3位に終わったポジャーリ(G)との差を3にして、逆転チャンピオンの期待を膨らませた。優勝争いに加わった東雅雄は、最終ラップにポジャーリ(G)に交わされて4位。上田昇は、予選で転倒、決勝をキャンセルした。
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