シーズンの折り返し点となる第8戦イギリスGPは、今季初の連戦。オランダGPからわずか5日間のインターバルで開幕することになった。
そして昨年は、500ccクラスにデビューを飾ったロッシが、雨のレースで初優勝を遂げた思い出深いグランプリ。250cc時代を入れると、3年連続でイギリスGP制覇の期待が膨らんだ。
しかし、雨に悩まされた前戦オランダGP同様、イギリスGPも、2日間の予選は雨の多い不安定な天候。選手たちは、目まぐるしく変わる天候に悩まされることになった。
予選初日、フリー走行でトップに立ったのは、ヨーロッパラウンドに入って登り調子のバロス。前戦オランダでは惜しくも表彰台を逃したが、今回も優勝候補の一人。以下、ビアッジ(Y)、ロッシ、カピロッシと続いた。そして予選では、ビアッジ(Y)が暫定PP。セッション開始早々に転倒を喫しながら、カピロッシが2番手と好走。バロスと続いた。
一方、フリー走行で好調なスタートを切ったロッシは、セッション開始20分後にコース前半の下りの高速コーナーで激しく転倒。スペアバイクで再スタートするも、左足を痛めたことが影響して11番手に沈んだ。
99年の大会で優勝しているクリビーレは13番手。宇川徹18番手。ともに2日目の予選での挽回に期待をつなぐことになった。
2日目は、朝から厚い雲が空を覆う不安定な天候。初日も、時折り、小雨がぱらつく生憎の天候だったが、2日目は、本格的な雨が予想された。
そんな状況の中で、辛うじてドライコンディションとなった2回目のフリー走行では、K.ロバーツ(S)がトップタイム。バロス3番手、ロッシ5番手、クリビーレ8番手、宇川9番手と、午後の最終予選でのポジションアップに期待をつなぐことになった。
しかし、午後の予選は、完全なウエットコンディションで始まる。終盤には、辛うじてドライコンディションとなるが、ほとんどの選手がタイムアップを果たせず、初日のグリットのまま2日間の予選を終えることになった。
PPはビアッジ(Y)。以下、カピロッシ、バロスとHonda勢が続き、中野真矢(Y)の4人がフロントロー。ポジションアップのチャンスを雨で逃したロッシは11番手。クリビーレ13番手。宇川徹がドライコンディションになったラスト10分のアタックでわずかながらポジションを上げることに成功。16番手から決勝に挑むことになった。
前戦オランダでは、ドライコンディションで始まり、雨の中断で惜しくも優勝を逃しているロッシ。11番手グリットから、どこまで追い上げるかに注目が集まった。
そして迎えた決勝日。相変わらず厚い雲が空を覆ったが、天候は回復方向。雨の心配もなく、3クラスの決勝が行われた。
ホールショットを奪ったのは、予選6番手スタートのロバーツ(S)。以下、ビアッジ(Y)、バロス、カピロッシ、中野(Y)と続いた。
予選11番手スタートのロッシは、オープニングラップ11番手と、スタートダッシュに失敗。苦しい出だしとなったが、それからが、ロッシの真骨頂の見せ所となった。
まさしく、2戦前のカタルニアGPで見せた豪快な走りの再現。周回を追うごとにぐいぐいとポジションを上げる快走。2周目に8番手、4周目に6番手、12周目に3番手に浮上すると、ビアッジ(Y)、バロスとともにトップグループを形成した。
その後、セカンドグループから抜け出した芳賀紀行(Y)が加わって、トップグループは4台へ。中盤は、ややペースを抑えてのにらみ合いの戦いになるが、18周目にスパートを掛けたロッシがトップに浮上。以後、追いすがるビアッジ(Y)を突き放して、今季5勝目を飾った。
2位にはビアッジ。そのビアッジを猛烈に追い上げたバロスは、今季2回目の表彰台となる3位をゲット。シーズン折り返し点となったドニントンで、Honda勢が大活躍を演じた。
予選13番手スタートのクリビーレはセカンドグループで健闘して7位。宇川はジャンプスタートのペナルティで大きくポジションを落とし、悔しい16位に終わった。
優勝したロッシは、これでドニントンで行われたイギリスGP3連覇。500ccでは負け知らずの2連覇を達成。チャンピオンシップでも、2位のビアッジ(Y)との差を、再び、26へと広げることに成功した。
250ccクラスは、PPスタートの原田哲也(A)がホールショットを奪い、予選2番手の加藤大治郎がピタリとマークするという展開。今シーズン、激しい戦いを演じている二人が、序盤から予選タイムに匹敵するハイペースで、後続を突き放すことになった。
そして4周目には、加藤がペースを上げて原田を交わしトップに浮上。その後、原田(A)がトラブルでペースを落としたために、中盤からは加藤の独走状態。2位以下に約10秒もの大差をつけて今季6勝目。チャンピオンシップポイントでも、原田(A)との差を40点と広げることに成功した。
前戦オランダGPで250cc初表彰台をゲットしたアルサモラは、セカンドグループで健闘、4位でフィニッシュ。登り調子をアピールすることになった。
125ccクラスは、予選3番手のM.ポジャーリ(G)がホールショットを奪い、エリアス、宇井陽一(D)、東雅雄がトップ集団を形成。その中から抜け出した宇井(D)が優勝。その後方では、エリアス、東雅雄、ポジャーリ(G)のし烈な2位争いとなり、エリアスが3戦連続表彰台獲得の2位、最終ラップに2番手に浮上した東は、惜しくも4位に終わった。
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