今年で53回目のグランプリ開催。1949年に始まったグランプリの歴史の中で、アッセンは、もっとも長い歴史を誇り、土曜日に決勝レースが開催される伝統も受け継がれている。そのアッセンでは、Honda勢が伝統的に強く、500ccクラスは、94年から昨年まで7年連続で優勝と、今年もHonda勢の活躍に期待が膨らんだ。
予選初日、フリー走行でトップタイムを叩き出したのは、前戦カタルニアで今季4勝目を挙げたロッシ。午後の予選では、このサーキットを得意とするカピロッシが、2年ぶりにサーキットベストタイムを更新する2分1秒417という素晴らしいタイムで暫定PPを獲得した。2番手にロッシ、3番手にバロス。さらに、92年のアッセンで500cc初優勝を飾り、このサーキットを得意とするクリビーレが7番手、セッション開始早々に好タイムを刻みながら、転倒を喫した宇川徹が8位と、Honda勢が好位置につけた。
アッセンは、一日に何度も雨が降ることで有名。しかし、今年は安定した天候が続き、2日目も天候に恵まれた。
2日目のフリー走行でトップタイムを叩き出したのは昨年の覇者バロス。ロッシが2番手と続く。そして迎えた最後の予選。午前中とは打って変わり、雲の多い天候。いつ降りだしてもおかしくない不安定な空模様となり、各選手は、セッション開始から熱い走りを披露することになった。
その中でも、このコースを得意とするカピロッシが真っ先に2分1秒の壁を破る0秒台に突入。すかさず、ロッシがカピロッシを逆転するというHonda勢による熱いPP争いが繰り広げられた。そしてセッション終盤に、カピロッシが再び猛烈なアタック。2分0秒743という素晴らしいタイムで今季2回目のPPを決めた。
以下、ビアッジ(Y)、ロッシは最後のアタックに失敗して3番手に終わったが、依然として好調。バロスが4番手と、フロントローに3台のHonda勢が並ぶことになった。さらに一発のタイムこそ出なかったが、コンスタントな走りを見せたクリビーレが10位、宇川は11位から決勝に挑むことになった。
迎えた決勝レース。2日間の予選で雨が降らなかったアッセンだったが、”ダッチウェザー”は健在。朝から断続的に雨が降ることになった。
最初のレース125ccクラスは完全なウエット。続く250ccクラスはウエットからドライと変化。最後の決勝レースとなる500ccクラスは、辛うじてドライコンディションで始まった。
ホールショットを奪ったのは、予選4番手スタートのバロス。以下、ビアッジ(Y)、阿部典史(Y)、カピロッシ、ロッシと続き、その後方には長い列が出来る混戦。レースは、序盤から2分3秒台のハイペースとなり、アッセン2連覇を狙うバロスが力強い走りでトップ集団を引っ張る形となった。
そして前半には、バロス、カピロッシ、ビアッジ(Y)、ロッシ、K.ロバーツ(S)がトップ集団を形成。序盤トップグループにいた阿部(Y)とチェカ(Y)は転倒で姿を消した。
レースは、その後もこの5台の戦いとなる。中盤になってロバーツ(S)が後退。トップ集団は4台に絞られることになり、ビアッジ(Y)がトップに立つ。その後方では、ロッシがバロスとカピロッシを交わして2番手に浮上。戦いは、この二人の一騎打ちの様相となった。
レースは終盤を迎え、ロッシは虎視眈々とビアッジ(Y)を交わすチャンスを伺う。そして16周目に一度はビアッジ(Y)を交わしたが、再び、ビアッジ(Y)が抜き返すという激しい戦い。しかし、この周回に再び雨が降り始めて、レースは赤旗中断。レース周回数の70パーセントを消化していたことからレースは成立。この結果、ビアッジ(Y)が優勝。逆転のチャンスを雨のために逃したロッシが2位。以下、カピロッシ、バロスと続いた。
しかし、チャンピオンシップでは依然としてロッシが首位をキープ。初タイトルに向けて、貴重な表彰台をゲットした。
宇川徹はスタートにやや出遅れ、セカンドグループで苦しい戦いを演じて8位。クリビーレはセカンドグループにつけるも、4周目のシケインで、中野真矢(Y)と接触寸前となりコースアウト。惜しくも転倒リタイヤとなった。
250ccクラスは、ウエットからドライに変わるという難しいコンディションとなり、タイヤの選択が勝負をわける戦いとなった。その中でカットスリックを選んだマックウィリアムス(A)が優勝。2位には、予選17位から猛烈な追い上げを見せたアルサモラが、今季初表彰台を獲得。予選2番手スタートから今季6勝目の期待が膨らんだ加藤大治郎は、レインタイヤを選択。ホールショットを奪ったが、乾いていく路面にタイヤが激しく消耗。ジリジリと後退する苦しい戦いとなったが、11位と健闘。ランキング2位の原田哲也(A)もレインタイヤを選択してノーポイントに終わったため、その差を15と広げることに成功した。
125ccクラスは、断続的に降る雨の中で行われ、エリアスがグランプリ初優勝。そのエリアスと激しい戦いを演じたヴァンサンが2位とHonda勢が上位につけた。上田昇は、予選の不調を跳ね返す熱走で4位。東雅雄はカットスリックを選択したがそれが裏目に出て転倒リタイヤとなった。
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