前戦イタリアGPは、今季初のウエットレースとなり大波乱となったが、第6戦カタルニアGPは、3日間ともに天候に恵まれた。このサーキットは、5戦を終えてランキングトップのロッシがもっとも得意とするサーキットのひとつ。地元クリビーレも、これまでカタルニアでは4回の表彰台(優勝2回)と得意なコースだけに、Honda勢の活躍が開幕前から期待された。
予選終了後には、Honda WGP 500勝記念セレモニーを開催。歴代の優勝ライダーを招き、最高顧問河島喜好氏、専務福井氏ら参加のもと、40年の軌跡を振り返るとともに、今戦、そして、未来に向け、闘志を新たにした。
予選初日、500ccクラスのフリー走行でトップにたったのは前戦イタリアで今季初優勝を挙げて勢いに乗るバロス。以下、カピロッシ、ロッシとHonda勢が上位を独占。予選ではカピロッシが暫定PPを獲得。阿部典史(Y)、バロスと続き、ロッシは転倒を喫して4番手。宇川徹も転倒してタイムを伸ばせず10位、クリビーレも11位と波乱の出だし。この日は気温が30度近くまで上がり、タイヤには厳しい条件が揃い、98年にクリビーレがマークしたサーキットベストタイムをだれも破ることは出来なかった。
2日目は、さらに気温が上がり、30度を超える猛暑。風も強く、選手たちを苦しめることになった。
2回目のフリー走行でトップに立ったのはK.ロバーツ(S)。そして、初日から決勝に向けて着々とセッティングを繰り返していたロッシが2番手。以下、カピロッシ、バロスとHonda勢が好調な出だしを見せた。
2回目の予選では、一層、風が強まり、タイム短縮は厳しいコンディションとなったが、ラスト10分でアタックを試みたロッシが今季4回目のポールポジションを獲得。98年にクリビーレがマークしたサーキットベストタイムを、3年ぶりに更新。今季ランキングトップの速さを見せつけることに成功した。
以下、中野真矢(Y)、カピロッシ、M.ビアッジ(Y)がフロントローに並び、宇川とクリビーレは思うようにタイムを伸ばせず3列目スタート。しかし、ロッシから11番手のクリビーレまでが約1秒差と、本番での激しい戦いが予想された。
迎えた決勝レース。前日までの猛暑から、やや雲の多い天候。気温も24℃までしか上がらず、コンディションが大きく変わったことから、決勝に向けて選手たちは、タイヤのチョイスとセッティングに頭を悩ますことになった。
ホールショットを奪ったのは、阿部(Y)。オープニングラップを飾ったのは中野(Y)。以下、カピロッシ、バロス、阿部(Y)と続き、その後方には、長い列が出来る大混戦。優勝候補の一人のバロスが5周目に転倒する波乱の出だしとなった。
ポールポジションからスタートのロッシは、1コーナーの混乱の中で1周目12番手までポジションを落とす苦しい出だし。しかし、周回を重ねる毎にポジションを上げると6周目には早くも3番手。トップグループに肉薄することに成功。11周目に2番手を走るS.ジベルノーを交わし、12周目にカピロッシを抜くと、以後、力強い走りで25周を走り切った。
これでロッシは、チャンピオンシップでも、2位のビアッジとの差を広げ、その差を26とすることに成功。さらに、125ccクラスと250ccクラスに続いて、カタルニアで初の3クラス制覇を達成。これでロッシが3クラス制覇を成し遂げたのは、イギリス、ブラジル、スペイン(ヘレス)に続いて4つ目のサーキットとなった。
2位には、終盤に追い上げたビアッジ(Y)。3位には、中盤までトップを快走したカピロッシ。宇川は、3位争いの集団の中で健闘するも7位。序盤トップグループに肉薄したクリビーレは、ペースを上げられず11位に終わった。
250ccクラスは、今季5回目のポールポジションを獲得した加藤大治郎と、予選2番手の原田哲也のし烈な戦いとなり、序盤は原田、中盤からは加藤がレースの主導権を握り、原田の猛追を振り切った加藤が力強い走りで今季5勝目を達成。ポイントでも、原田との差を10へと広げた。加藤のチームメートのアルサモラも、セカンドグループで健闘、7位でフィニッシュした。
125ccクラスは、地元スペインのエリアス、上田昇、L.チェッキネロ(A)がトップグループを形成。上田が転倒して優勝争いから姿を消し、優勝争いは二人に絞られたが、エリアスの猛追撃を振り切ったチェッキネロが今季初優勝。2位のエリアスは、地元グランプリで今季2回目の表彰台に立ち、大きな声援を受けていた。
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