94年から7年連続でHondaの500ccが勝ち続けているムジェロ。今年は、Hondaがどこまで連勝記録を伸ばすかに注目が集まり、その期待は、4戦を終えてポイントリーダーのロッシに寄せられた。その絶大なロッシ人気もあり、年々、観客が増えているイタリアGPは、今年も3日間で9万2千人を集めることになった。
予選初日、500ccクラスのフリー走行でトップに立ったのは、地元イタリアGP制覇に闘志を見せるロッシで、以後、2日間すべてのセッションで首位に立ち、決勝前のウォームアップでもトップタイムと、今季4勝目に向けて完璧な体制を作り上げることに成功した。
前戦フランスGPでは、スタートに出遅れながら3位まで追い上げるレース。しかし、連勝が「3」で止まったロッシ。イタリアGPでは125ccと250ccを制しているだけに、今大会は3クラス制覇に向けて並々ならぬ闘志。2日目の予選日には、イタリアGP恒例のロッシスペシャルのカラーリングを施したNSR500で快走。ライバルを圧倒することになった。
2番手にはK.ロバーツ(S)。3番手には昨年の覇者のカピロッシ、そしてM.ビアッジ(Y)と、フロントローに3人のイタリア人選手が並び、2列目には、バロス、クリビーレ。予選初日に転倒しながら2日目に大幅にタイムを更新した宇川徹が3列目と、優勝を狙えるポジションからHonda勢は決勝を迎えることになった。
しかし、決勝は、予想もつかない波乱が待ち受けていた。朝のウォームアップはドライだったが、最初の決勝レースとなった125ccクラスは雨のために2度の再スタート。250ccクラスもウエットレース。
そして迎えた500ccの決勝レース。スタートはドライコンディションで始まった。オープニングラップはカピロッシ。以下、ロバーツ(S)、ビアッジ、ロッシというオーダー。フロントローに並んだ4人がレースの主導権を握り、2列目スタートのバロス、クリビーレ、宇川と続いた。
その後、ビアッジ(Y)がトップに立ち、2番手以下は目まぐるしくポジションを入れ替える激しい展開。そして8周目に入ると、再び、ムジェロは雨に濡れ、レースは中断。7周目の順位で、残り16周のレースが行われることになった。
再開された第2レースは、ウエット。不利続く雨の中、ホールショットを奪ったのはバロス。ビアッジ(Y)、ロバーツ(S)、阿部典史(Y)と続き、バロスとロバーツ(S)が目まぐるしくトップの座を入れ替える展開となった。しかし、中断するまでのレースとの合算のため、コース上の見かけ上ポジションと、実際のポジションが複雑に入り組むという、選手にとっては難しいレース。
その後、レースは、第1レースで8番手の阿部(Y)が首位に立ち、Hondaの市販レーシングマシンNSR500Vを駆る青木治親がぐいぐいとペースを上げて2番手に浮上。しかし、その後方につけるバロスとカピロッシが、合算タイムで1、2につけ、後方との差を広げた。
そしてレースは終盤を迎え、次第に雨脚が強くなる中で、トップを走るも、合算タイムで3番手の阿部(Y)、4番手のロバーツ(S)が次々に転倒。コース上では、見かけ上のトップ青木に続いて2番手でフィニッシュしたバロスが今季初優勝。2番手にカピロッシとHonda勢が1、2フィニッシュを飾った。Hondaの市販車の優秀性を見事立証した青木は、第2レースをトップでゴールして、総合タイムでも5位と健闘した。
その後方で、猛烈な追い上げを見せたクリビーレは4位。宇川は7位。そして第2レース、序盤にペースの上がらなかったロッシは、周回を追うごとに猛烈な追い上げ。終盤にはクリビーレとカピロッシを交わし2番手に浮上したが、最終ラップに痛恨の転倒。昨年に続き、優勝争いに加わりながら、勝利を飾ることは出来なかった。
しかし、ランキングでは首位を堅持。その熱い走りは、ムジェロに集まった観衆の盛大な拍手を受けることになった。
250ccクラスは、原田哲也(A)が今季初優勝。そして、開幕から連勝記録を「4」と伸ばしている加藤大治郎の活躍に注目が集まったが、予選6番手。雨になった決勝レースでも、スタートに出遅れたのが影響して10位に終った。しかし、ポイントリーダーの座を守ることに成功した。
125ccクラスは、雨のためにスタートが2度やり直しとなる波乱のレース。予選6番手からスタートした上田昇が、序盤10番手から猛烈な追い上げのレースを見せて今季初優勝。前戦フランスGPで3位初表彰台に立ったエリアスが4位と健闘。序盤トップを走った東雅雄は、乾いていく路面にペースをあげられず苦しい走りとなったが、最後は8位と健闘した。
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