バッサー、今季3勝目を挙げ、シーズン有終の美を飾る!
ホンダ・パワー、ランキング上位3台を独占。
3月15日マイアミ・ホームステッドで始まった全19戦の今シーズンも、今回のカリフォルニア・スピードウェイで最終戦を迎えた。
すでにドライバーズ・チャンピオンはホンダV-8エンジンに乗るアレックス・ザナルディ(ターゲット/チップ・ガナッシ・レーシング)、ルーキー・オブ・ザ・イヤーは同じくホンダV-8エンジンのトニー・カナーン(タスマン・モータースポーツ・グループ)、そしてマニファクチャラーズ・チャンピオンはホンダとそれぞれ決定済みなのだが、この最終戦には優勝賞金100万ドル(通常は10万ドル)が用意されている。100万ドルものビッグな賞金は'96年ミシガン・スピードウェイで行われた第1回US500以来で、しかも今回はファンにも同額のプレゼントが企画され、ドライバーとファンが一体となって最終戦を楽しめるようになっている。
この戦いの舞台となるカリフォルニア・スピードウェイは、2マイルのオーバルコースをもつ最新のスーパースピードウェイ(1.5マイル以上のオーバルコースをこう呼ぶ)で、各コーナーは14度、11万5000人収容の巨大なグランドスタンド前のホームストレッチも11度、反対側のバックストレートにも3度の傾斜(バンク)がつけられているのが特徴。コースレイアウトが英文字の「D」に似ていることから、Dシェイプとも呼ばれている。
西海岸最大の都市、ロサンゼルスのダウンタウンからクルマで1時間程度、さらに地下鉄でもアクセルできるという立地の良さも大きな魅力だ。
予選ポールポジションはプルエ、3位にも同じフォード・コスワースエンジンに乗るアンドレッティが入ったが、0.5秒差の中に15台のマシンがひしめき合う大混戦となっている。
ホンダ勢トップは、バッサーの2番手。以下、フランキッティ8番手、ド・フェラン10番手、トレーシー12番手、ザナルディ18番手、カナーン23番手。
決勝の日曜日も快晴となり、気温24度という絶好のコンディションのもと、午後12時40分、グリーンフラッグが振られ、250周、500マイルのレースがスタート。予選2位のバッサーはダッシュ良く、ポール・シッターのプルエをかわし、トップに立つ。しかしすぐに3位スタートのアンドレッティとバトル状態となり、序盤はこの2人を中心にレースが展開する。
41周目、4位まで順位を上げてきたフランキッティが上位陣の先頭を切って1回目のピットイン。42周目アンドレッティ、43周目バッサーと次々にピットに飛び込み、上位陣が作業を終えた52周目には、予選9位から着実に追い上げてきたムーアがトップに立った。
ホンダV-8勢はバッサー、フランキッティらが上位につけ、チャンスをうかがう。しかし113周目、2位につけトップのムーアに迫っていたフランキッティがエンジンブローで戦線離脱。これで3回目のフルコース・コーションとなり、上位陣も3回目のピットインだ。
そして後半、12番手からスタートし、124周目には3位につけていたトレーシーが、131周目の再スタートで猛ダッシュを見せトップに躍り出る。しかし142周目のピットインでウイング調整に手間取り、ポジションを落としてしまう。
211周目、バッサー、トレーシーとトップ争いを展開していたアンドレティが痛恨のスピンアウト。これで上位陣は6回目のピット作業を行い、再スタートでトレーシーがトップ奪還。その後はバッサー、ムーア、グージェルミン、そして予選18位と出遅れ、さらにペナルティのピットストップなどで、なかなか上位進出を果たせなかったザナルディがやっとトップ争いに加わり、激しいバトルが展開される。
235周目、15位走行中のド・フェランがエンジン・トラブル、241周目クラッシュとフルコース・コーションが相次いだ246周目、まだフルコース・コーション下でのローリング中だったのだが、トップをキープしていたトレーシーは突然マシンのコントロールを失い、コースアウト。そのままリタイヤとなってしまう。
そしてファイナルラップ、グリーンフラッグが振られ、ラスト1周の勝負。それまでトップに立っていたムーアをバッサー、ザナルディがスタートダッシュでパス。ムーアは何とかターン3でザナルディを抜き返したが、トップのバッサーには届かず、そのままチェッカー。バッサーは終始トップ争いに加わる積極的な走行が功を奏し、見事に今シーズン3勝目を上げ、96年US500に続き、2度目の100万ドル(約1億2000万円!)の優勝賞金を手に入れた。2位はムーア、3位にはザナルディが入る。
予選23位と苦しいレースとなったカナーンはホイール・ベアリングにトラブルが出て、171周を走り終えたところでリタイヤに終わった。
これでホンダV-8勢は昨年に続き、ドライバーズ・ポイントランキング・トップ3独占を達成し、マニュファクチャラーズ・チャンピオン、ドライバーズ・チャンピオン、ルーキー・オブ・ザ・イヤーの3冠に花を添えた。
J.バッサー(ターゲット/チップ・ガナッシ・レーシング)
最終戦で優勝し、気持ちよくシーズンを終えることができた。100万ドルも素晴らしいが、何よりもチャンピオンシップを2位で終わることができたのがうれしいね。アレックス(ザナルディ)がチャンピオンを決めた後、ボクの目標は彼に続く2位で終わることだった。アレックスとの最後のレースで、一緒に表彰台に上がれて良かったよ。
朝香充弘(HPDバイスプレジデント)
我々にとって最も重要な500マイルレースで優勝することができて、本当に嬉しいですね。今回の勝利で、今までの最高のシーズン13勝目となり、昨年同様ランキングのワンツースリーを獲得できました。この1年間たくさんのご声援をいただき、ありがとうございます。来年もこの勢いを緩めずに、勝ち続けていきたいと思います。
●ご声援、ありがとうございました。
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