ホンダ・パワー、上位4位までを独占する走りで、
マニュファクチャラーズタイトルを獲得!! “三冠”に輝く!
今年、日本の「ツインリンクもてぎ」とともに新しくシリーズに加えられたテキサス州ヒューストンのストリートコース。テキサス州はアメリカ南部で一番大きい州だが、ここでCARTシリーズが行われるのは初めてのことだ。
コースはダウンタウンの東側、ジョージ・R・ブラウン・コンベンションセンターを起点にレイアウトされ、コーナー数は10。このうち6つが十字の交差点を曲がる形になるため、ほぼ直角コーナーである。ストレートの多くは4車線分確保されており、他のストリートコースよりコース幅が広い。どのドライバーにとっても初めてのコースとなるが、思い切った攻め方が期待できそうだ。
予選、ホンダ勢トップは、フランキッティの2番手。バッサー3番手、トレーシー4番手、ド・フェラン7番手。
アレックス・ザナルディは、途中クラッシュし、ミッションにトラブルが出て苦戦、ザナルディ8番手につけた。カナーン11番手。
決勝の日曜日は、朝から大きな雲が広がり、時おり雨がぱらつく不安定な天気。案の定、昼過ぎにはバケツをひっくり返したような豪雨となる。いったんは止んだものの、スタート直前、再び豪雨。スタートは約40分遅れ、雨が小降りになった午後3時40分、グリーンフラッグが振られ、100周の決勝レースが始まった。
スタート直後のターン5(最初のスタートだけ、バックストレートでグリーンフラッグが振られる)で、予選2番手のフランキッティがポール・ポジション・スタートのムーアのインを奪ってトップに躍り出る。4番手スタートのトレーシーも好ダッシュを見せ、2番手にジャンプアップだ。しかしド・フェランはターン5の立ち上がりで、マシンの姿勢を乱しハーフスピン。他のマシンと接触し、11番手まで後退してしまう。
次第に雨は止んできたものの、コースの至るどころに深い水たまりができ、スピンや接触が相次ぐ。14周目、最終ターンでクラッシュと多重スピンが起こり、4台のマシンがコースをふさいだため、今シーズン初めて、決勝レース中にレッドフラッグが出され、レース中断。しかしホンダV-8勢は、チーム・クール・グリーンが1-2番手、ターゲット/チップ・ガナッシ・レーシングも3-4番手と上位独占だ。
約20分後、レース再開。フルコースコーション状態で2周したあとの17周目、再スタート。フランキッティは鋭いダッシュでリードを広げ、21周目には、2番手トレーシーに5秒以上の差をつけた。このあたりで路面は徐々に乾き始め、上位陣ではザナルディが28周目にピットに入り、スリック・タイヤに交換(同時に給油作業も行う)。ド・フェランもこれに続き、32周目に2番手のトレーシー、33周目にはトップのフランキッティもピットインだ。
ただ乾き始めたのは、いわゆるレコードラインだけで、前車をパスしようとマシンを左右に振ると、濡れた路面に乗ってスピンしやすい状況。このため周回遅れが出てきた35周目にはトップのフランキッティ、2番手トレーシーの差は1秒以下まで縮まってきた。
この後フルコースコーションが相次ぎ、47周目、この日5回目の再スタート。ここでトレーシーが猛然とスパートをかけ、テール・ツー・ノーズとなった48周目のターン5、ブレーキングからインに飛び込んだトレーシーだったが、アウトからかぶせてきたフランキッティと接触。フランキッティはそのまま走り続けたが、トレーシーは左フロントをウォールにヒットしてしまい、ピットには戻れたものの、そこでリタイアとなってしまった。
トップを死守したフランキッティは、2番手まで順位を挽回してきたザナルディ、予選11番手から追い上げ、3番手につけるカナーン、順位を一つ落としたものの4番手に踏ん張るバッサーを従え、確実に周回を重ねていく。
そして60周過ぎ、また雨が降り始め、今度はカミナリまで鳴り響く。66周目に、全車ピットインし、レインタイヤに交換したが、雨がますます強くなってきた。このため69周終了時点で、ファイナルラップを知らせるホワイトフラグが振られ、レースは70周で終了となった。
優勝は今シーズン3勝目となるフランキッティ、2位ザナルディ、3位カナーン、4位バッサーとホンダV-8勢が初めて4位まで独占。これでホンダの2年ぶり2回目のマニファクチャラーズ・チャンピオンも決定した。さらに今回の3位表彰台で86ポイントとしたカナーンが今年のルーキー・オブ・ザ・イヤーも決め、ホンダ勢は'96年に続き、ドライバーズ、マニファクチャラーズ、ルーキーの3冠達成だ。
ド・フェランは39周目にマシントラブルが発生し、残念ながらリタイアしている。
D.フランキッティ(チーム・クール・グリーン)
今日のコンディションは、ほんとうに難しかった。スタートはまるでスケート・リンクのようで、とても滑りやすかったね。その後ドライになって徐々にグリップしてきたが、最後はまたスケート・リンクに戻ってしまったよ。タイヤ交換のタイミングなど、チームはパーフェクトな仕事をしたと言っていい。初のホンダ表彰台独占もうれしいよ。
朝香充弘(HPDバイスプレジデント)
50周年を祝うセレモニーと同じ日に初のワン・ツー・スリー・フォーを獲得し、念願だったマニュファクチャラーズ・タイトルを奪回できたことはとても嬉しいです。また、今回ルーキー・オブ・ザ・イヤーも決定し、1996年以来2度目の3冠が達成することができました。勝ったからといって気を抜くようなことなく、残り2戦も頑張ります。
●次戦は、10月18日サーファーズパラダイス(豪)で開催されます。
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