Report rd.10
空港が舞台となるクリーブランド

他のロードコースに比べて圧倒的に幅が広い、滑走路を使用してバトルが繰り広げられる
今回のアレックス・ザナルディの優勝で、'96年以来3連勝を達成したクリーブランド。ホンダ・ドライバーの得意なサーキットのひとつと言っていい、このコースの最大の特徴は、ロング・ビーチやデトロイトと同じテンポラリー(仮設)サーキットであるものの、市街地や公園ではなく、空港がその舞台となることである。
クリーブランドのダウンタウンに隣接するこの空港は、普段はプライベート・エアポートとして、個人や企業所有の飛行機が利用し、ユナイテッド・エアラインやデルタといった一般の旅客機が使用することはほとんどない。
空港の敷地内に、6週間前からグランドスタンド(約5400席)などの仮設が始まるのだが、驚くべきことにエアポートの機能が完全に停止するのはレースが行われる週末の土曜日だけ。走行が始まる金曜日の朝6時に最後のフライトがあり、日曜日のチャンプカーとインディ・ライツの決勝が終わった1時間後には、再び飛行機が飛び立つのだ。そう、レースを終えたチーム・オーナーやドライバーたちが自分たちの飛行機に乗り、数時間前までコースとして使われていた滑走路から飛び立っていくのである。
当然のことだが、コースそのものは起伏のない完全なフラットであり、通常のストリート・コースのように両脇がコンクリートでブロックされることはない。メインの滑走路をバックストレートとして使用し、それに2本の誘導路が組み合わされるのだが、観客席はグランドスタンドのみであり、一番良い席からはコースのほぼ全体が見渡せる。
オーバルコースのロードコース版といってもいいようなレイアウトだが、インフィールドに何もない分、パーマネント(常設)ロードコース同様ラン・オフ・エリアが充分にとれ、ハイスピード・バトルが展開される。ちなみに前回のポートランドはパーマネント・ロードコースだったが、このクリーブランドよりも約230メートル短いにも関わらず、ラップタイムは2秒近くもクリーブランドよりも遅い。
滑走路と誘導路の継ぎ目など難しいポイントもあるが、ドライバー達には好評なサーキットであり、特に今回2連勝を達成したザナルディにとっては最も好きなコースのひとつなのである。
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