Report rd.07
オーバルのカギはウイングにあり
第4戦ナザレスをバッサーが制し、第6戦マディソンはザナルディが優勝するなど、昨年までなかなか勝てなかったショート・オーバルでの優勝を果たしたホンダ勢。そして今シーズン最後のショート・オーバルとなる今回、第7戦ミルウォーキーをまたもバッサーが制覇した。
オーバルで勝利を得るには、ドライバーのテクニック同様、完璧にセットアップの決まったマシンが必要だと言われるが、このオーバルについてもショート・オーバルからスーパースピードウェイまで様々なものがある。そこで、今回はオーバルを走るマシンの基本的な仕様について紹介しよう。
今シーズン全19戦のうちオーバルは全部で8戦。インディカーレースの場合、1.5マイル以上をスーパースピードウェイと呼び、今シーズンは5戦が行われ、残り3戦はいわゆるショート・オーバルであり、それぞれ2つの仕様が用意される。外観上、最も違うのは前後のウイングである。
チャンプカーが他のフォーミュラカーと違うのは、普通のロードコース用のウイング以外に、このロードコース用の約半分ほどの大きさしかないスーパー・スピードウェイ・ウイングを装着することであり、これは基本的にスーパースピードウェイでしか使用しない。空気のドラッグ(抵抗)を減らすことを目的としているこのウイングは、最高速が増すものの、逆にダウンフォースが少なくなる。そこで、ターンのきつくなるショートオーバルでは、スピードをさらに高めるためにロードコース用のウイングを用いるのだ。
しかし、これはあくまでも基本であり、前回のマディソンは、今年からスーパースピードウェイ・ウイングになった。これは、第3ターンから第4ターンにかけての高速ターンにおけるダウンフォースが5Gにも達し、 ドライバーの負担があまりにもきついことからである。スーパースピードウェイのウイングに変えることによって3.5Gにまで減ったが、タイムは1秒以上も速くなってしまった。また、第5戦のブラジルは、1周が1.8マイルだが、ロードコース用のウイングを使用する。これは、第1ターンと第4ターンのRがショートオーバル並みに小さいことからで、ここでのダウンフォースを得るためにロードコース用のウイングが使用されているのだ。このようにコースレイアウトによって、ウイングも変化するのがポイントなのである。
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