停電の備えにHonda発電機

事業別・防災用発電機の選び方

「備え・防災アドバイザー」の高荷智也さんが、専門家の視点から
シーン別に想定される事態や災害時に役立つ発電機の選び方についてガイドします。

※このコンテンツは、2020年7月の情報をもとに作成しております。

避難所の防災用発電機の選び方

災害発生時の拠点となる避難所には、高齢者や子どもたち、配慮の必要な方なども多く集まります。被災直後で不安を抱える中、いつも通りの生活ができない不便さが重なって大きなストレスになることも。「電気があれば…」と思うことは意外と多いものです。

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避難所が停電するとどうなる?

避難所が停電すると具体的にどのようなことに困るのでしょうか。
発電機はどう役立つのでしょうか。

CASE.1

照明

手元を照らせる電池式ランタンは屋内の避難スペースでは有効ですが、屋外やトイレ周辺にはより明るい照明が必要です。発電機があれば、広範囲を照らせる投光器が使用できます。
出入り口に設置して転倒防止に。避難所本部に設置して運営支援に。また、内閣府の避難所運営ガイドラインにはトイレの照明が必要であることが記載されており、トイレの周囲を明るくすることは使い勝手の改善だけではなく、犯罪の防止にも役立ちます。不安が募る中で明かりが灯ることで避難者の心が落ち着くということもあります。

CASE.2

スマートフォン充電

情報収集や連絡手段として欠かせないスマートフォンや携帯電話。非常時は外部との唯一のつながりにもなるため、避難者や近隣の方が利用できるスマートフォン充電コーナーを提供することは避難所の重要な責務と言えます。
モバイルバッテリーは使い切りであり、大人数のスマートフォンを同時に満充電することも難しいため、避難所には大容量の電源が必要となります。また、精密機器であるスマートフォンの充電には、万一の故障を避けるためにインバーターを搭載した発電機が必要となります。

CASE.3

暑さ対策

避難所における熱中症対策は大きな課題です。スポット的な暑さ対策に使えるスタンド扇風機や、広いスペースの換気ができる大型送風機などを発電機とセットで備えておくと安心です。冷風機で一部のスペースだけでも冷やし、体調の悪い方に休んでいただくという使い方もできます。
冷蔵庫・冷凍庫で飲み物を冷やしたり、氷をつくったりすることも有効です。特に大地震や浸水害の片付け作業、夏場の作業完了後に冷たい飲み物が飲めることは大変役立ちます。

CASE.4

寒さ対策

厳冬期の避難所では寒さ対策も大きな問題です。エアコンだけでなく、石油ファンヒーターやガス暖房機の利用にも電気が必要で、停電するとそれらの機器が使えなくなります。発電機があれば家庭用の暖房器具はもちろん、ジェットヒーターなど大型の暖房器具を動かすことができるため、特に寒さが問題となる地域において有効です。

CASE.5

断水対策

停電時に浄水場や配水場が停止したり、マンションや高台の住宅地にある給水用のポンプが止まったりすると、広域な断水が生じる場合があります。そんなときに発電機と電動ポンプがあれば、貯水槽や雨水タンクなどから水を汲み上げてトイレや生活用水として使うことができます。

CASE.6

本部運営

避難所本部では入居者リストの整理、配布プリントの作成、対策本部との連絡などの業務が発生します。発電機があればPC・プリンター・防災無線機の使用や充電ができ、スムーズな本部運営が可能となります。

その他の活用シーン

調理にガスが使えない場合には電気炊飯器や、カップ麺や赤ちゃんのミルクづくりにも役立つ電気ポットが使えると便利です。特に地震によって停電したときは余震の不安もあるため、調理に電気が使えると安心です。
電気車椅子のような介助・介護機器の充電にも発電機が役立ちます。

普段どおりに電気が使えることは、避難者にとって大きな心の支えになります。「みんなの不安を少しでも和らげたい」「地域を守りたい」。その使命を果たすためにも電源確保は重要な課題であり、避難所の規模や用途に応じて的確な備えを検討することも大切です。

※発電機の使用を想定して、あらかじめ設置場所を確認しておくことが必要です。

避難所におすすめの防災用発電機と使用例

  • ※単位の見方:1W=1VA、1,000VA=1kVA
  • ※このページに掲載の電気機器の電力は目安になります。使用したい機器の消費電力や起動電力を必ず事前にご確認ください。

〜900W

小さな避難所での最低限の用途に

公民館や集会所など、50名くらいまでの避難所で最低限の用途(照明/スマートフォン充電/本部備品)に備えたい場合におすすめです。

〜1,500W /〜1,800W

小さな避難所でのさまざまな用途に

50名くらいまでの避難所において、さまざまな用途に電気機器を使用したい場合におすすめです。
一般的なコンセントの容量である1,500Wまで使える発電機なら、一般家庭で使われる電気機器に幅広く対応できます。

〜2,400W /〜2,600W /〜3,600W

体育館規模の避難所でのさまざまな用途に

体育館など200名規模の避難所において、最低限の用途(照明/スマートフォン充電/本部運営)に加え、さまざまな電気製品を使いたい場合におすすめです。

〜5,500W

体育館での暑さ対策や、夜間も多くの電力を使いたい場合に

体育館など200名規模の避難所において、最低限の用途(照明/スマートフォン充電/本部運営)に加え、スタンド扇風機や大型送風機など大きな電力を必要とする機器を複数使いたい場合におすすめです。
また、1/4負荷でエコ運転させても幅広い電気機器が使えることもポイントです。夜間に1/4負荷で使用すれば燃料補給が不要で、騒音を抑えることもできるため、避難所には特におすすめのモデルです。

防災用発電機を選ぶ際の
ポイント

POINT.1

防災用にはインバーター

発電機には工事現場や屋台などで使われる電源の品質にあまりこだわらない「スタンダード発電機」と呼ばれるものもありますが、スマートフォン充電やPC、マイコンを搭載した炊飯器に対して故障の心配なく使えるのは、より高品質な電気をつくる「インバーター発電機」です。防災用には「インバーター発電機」を選びましょう。

POINT.2

燃料の種類を選ぶ

防災用発電機を選ぶ際は、燃料の入手性・備蓄のしやすさについても考える必要があります。

カセットガス

  • 出力は小さいですが、手軽に使えて燃料の入手・保管もしやすいため、最低限の備えとしておすすめです。燃料をカセットコンロ・カセットガスストーブなどのガス器具と併用できるのは、小規模な避難所などでは大変役に立ちます。また、カセットボンベは最長で7年間保管ができるため、燃料の備蓄や補充の手間も最小限で済みます。

    メリット

    • 燃料が入手しやすい
    • 燃料が長期間保管できる
    • 燃料をコンロなど他の機器に使い回しできる

    デメリット

    • 連続運転時間が短い
    • 出力が小さい

    *別売りの並列運転コードで2台の発電機をつなげば倍の発電が可能。

カセットガスを燃料とする発電機

EU9iGB(エネポ)

LPガス

  • 日頃からLPガスを使用している施設なら、数日間にわたる長時間の連続運転が可能なLPガスタイプがおすすめです。普段から利用しているガスボンベの燃料を災害時に転用する形となるため、防災専用に燃料を備蓄する手間が一切かからないことが大きな強みとなります。

    メリット

    • 連続運転時間が長い
    • 燃料の備蓄が不要

    デメリット

    • 持ち運びできない(ガスボンベの設置場所に依存)

LPガスを燃料とする発電機

EU9iGP EU15iGP

ガソリン

  • ハンディタイプから大型ながら高出力のモデルまで、豊富なラインアップが魅力です。ただし燃料の長期備蓄が難しく、長期間放置すると発電機内部で燃料が劣化してエンジンがかかりにくくなるため、キャブレター部に残る燃料を抜いて保管する必要があるという点も考慮しましょう。

    メリット

    • 高出力モデルも選べる

    デメリット

    • 燃料の長期備蓄が難しい
    • キャブレターの燃料抜きが必要

POINT.3

使いたい機器の起動電力をカバーする発電機を選ぶ

使用したい電気機器の消費電力(W数)の合計を計算しましょう。モーターを搭載した機器を利用する場合、起動電力にも注意が必要です。たとえば一般的な扇風機・送風機は消費電力の約2倍、冷蔵庫は約4倍の起動電力が必要で、その起動電力をカバーできる出力の発電機を選ばないといけません。
発電機が発電できる最大量は「定格出力」で表されます。定格出力は「VA」という単位で表され、「1W=1VA」、「1,000VA=1kVA」という見方をします。
消費電力と実際に必要な電力例
例.1

LED投光器

×5
  • 消費電力

    500W(100W×5台)

  • 起動電力

    500W(100W×5台)

定格出力900VAの
小型発電機で利用可能
例.2

家庭用冷蔵庫

×1
  • 消費電力

    250W(250W×1台)

  • 起動電力

    1,000W(1,000W×1台)

定格出力1,000VA以上の
発電機が必要

POINT.4

運転時間で選ぶ

発電機選びの際には、必要な電力量と同時に運転時間を想定することが大切です。避難所では、夜間も燃料の補給を行わずに照明を灯し続けられるように6〜8時間の連続運転を想定すると良いでしょう。
特に市民体育館や大型運動施設などに設けられる大規模な避難所の場合、長時間の停電を想定し、運転時間の長い発電機の備えが必要となります。また、LPガスを利用している施設であれば、数日間にわたって運転可能なLPガスを燃料として利用できる発電機を選んでおくと安心です。
運転時間が長い主な発電機

POINT.5

移動のさせやすさで選ぶ

機動力が必要とされる災害時の現場では、移動させやすい発電機が役立ちます。また、車輪がついた発電機なら保管施設から利用場所までの移動も苦になりません。軽量な発電機は出力も小さくなりますが、「並列運転」に対応した発電機であれば、専用コードで2台つなげて倍の出力を取り出せるため、多くの電気機器の使用に対応することが可能になります。
移動させやすい主な発電機

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事業別・防災用発電機の選び方

【解説】

高荷智也(備え・防災アドバイザー/BCP策定アドバイザー)

大規模停電のリスクと発電機活用事例

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