天野 三三雄 氏
『ルアーパラダイス九州』編集長
天野 三三雄 氏
2009年から2014年まで月刊『Basser』の編集長を務め、現在は隔月刊誌『ルアーパラダイス九州』編集長。『アオリイカ地獄』、『ロックフィッシュ地獄』などソルト系ムックの編集長も兼務。2015年春より九州営業所に勤務。

遊動式タイラバの登場で一気にブーム!

今、人気のオフショアルアーゲームがタイラバだ。とりわけ九州は国内随一のマダイの多さを誇り、人気ナンバーワンターゲットになっている。

タイラバとは「マダイ」用の「ラバージグ」のことでシンカーを兼ねたヘッド部と、スカートが巻かれたフックで構成されている。以前はバスフィッシングのラバージグと同様にヘッドとフックは一体化されたものが一般的であったが、数年前からヘッド部に穴が空いて、そこにラインを通すことで遊動式のタイラバが主流になり、釣果も格段に向上している。
ヘッド部がスライドする遊動式のメリットは、マダイがラバーを口にした際にヘッドの重みを感じにくいことと、ファイト中の首振りで重たいヘッドが飛んでしまうバラシが激減したことだ。実際、驚くほどライトなタックルで70cmや80cmを超す大型マダイをバラすことなく次々に海面に浮上させることができるようになったのは遊動式による恩恵が大きい。また、タックルがライトでリグも操作もシンプルとあって女性人気が非常に高いのもタイラバゲームの特徴と言える。

そんなタイラバで盛り上がる九州の中でも、とりわけ人気が高いのが福岡県北部に面する響灘。今回は周年タイラバ船を出している神湊港の人気の乗合船「セカンドステージ」を紹介しよう。
タコベイト+スカートの組み合わせで大型をキャッチ!女性アングラーが本当に多い釣りだ
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響灘ならびに玄界灘はタイラバのメッカ!このサイズが船上で乱舞する刺激的な1日をぜひ体感してほしい
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着底直後は素早く、ヒット後は一定速度でリーリング

ドテラ流しゆえ、深場で大型を掛けると抵抗は相当なものだが、焦らず一定のロッド角度を保ってじっくり巻けばバレることなく大型が浮上する。これも遊動式の恩恵だろう
ドテラ流しゆえ、深場で大型を掛けると抵抗は相当なものだが、焦らず一定のロッド角度を保ってじっくり巻けばバレることなく大型が浮上する。これも遊動式の恩恵だろう
マダイというと周りを釣るイメージがあるが、ここでねらうのは平坦に近い砂地。したがって根掛かりも少ない。船は基本的に船体に風を受けて流していくドテラ流し。流れが弱いときは両舷から、流れが速いときは片舷に並んでサオをだす。
水深は60m前後が多いためタイラバは60~100gを使うことが多いが、深場の急流対策に150gまであると安心だ。タイラバの種類は豊富にあり、好みでセレクトすればよいが、ヘッドは潮の流れを切りやすい扁平タイプ、潮の抵抗を受けやすい丸みを帯びたタイプ、ボトム付近で浮きあがりにくい横扁平タイプなど各種あると状況にマッチした釣りがしやすい。ラバースカートのほかに専用のネクタイやワームをセットするのも効果的だ。
基本的には船ベリから仕掛けを落として着底したら巻くだけというシンプルな釣りだ。しかし深場で潮が速いと着底の瞬間がなかなかわかりにくいのでスプールの変化を見逃さないようにしたい。また、遊動式のため着底するころにはヘッド部とスカート部がだいぶ離れてしまっている。そのまま巻き続けるといつまでも密着しないまま誘うことになる。やはりヘッドとスカートは密着してこそ機能するので、最大のヒットチャンスであるボトム付近を効率よく探るためにも通常の巻きよりも素早くハンドルを数回転させてヘッドとスカートを密着させる。その際、ボトム付近にあるヘッドに向かってノーシンカー状態のスカートがボトム付近を這うようにスススっと横移動することもマダイの気を大いに引くようだ。
左はベイトタックル、右はスピニングタックルでダブルヒット!
左はベイトタックル、右はスピニングタックルでダブルヒット!
タックルは深場からの巻き取りが容易なベイトタックルが一般的ではあるが、ひとつテンヤ用などのスピニングタックルも流用できる。速い巻きに反応するか、遅い巻きに反応するか、ヘッドの形状、ネクタイやワームなどのパーツもいろいろと組み替えてマダイの反応するパターンを模索していく。
アタリは巻き上げの途中で「ゴツゴツゴツッ」とサオ先を叩くように明確に出るが、ここでアワセは入れずにそのまま巻き続けると、やがて反転して向こうアワセでフッキングするので、そこからやり取りを開始する。ロッドは45°くらいの角度を保ち、ポンピングはせず、ロッドの弾力とドラグを活用して無理せずじわじわと距離を詰めればよい。 玄界灘のマダイのアベレージは大きい。無理をすればフックが伸ばされたり、ハリ穴が広がってバラしてしまう。
食べごろサイズを数尾キープしたら大型は速やかにリリースするアングラーも多い
食べごろサイズを数尾キープしたら大型は速やかにリリースするアングラーも多い
取材時は産卵直後のタフな状態であったが、70cmオーバー多数、80cmを超す大ダイまで登場して、食べごろサイズの中型をキープして繁殖能力の高い大型は大半をリリースするという釣れっぷりだった。なお、「セカンドステージ」の森下船長にリリースする意志を伝えると素早くエア抜き(浮き袋に溜まった空気をハリで差して抜くこと)をしてくれ、この日も船中で10尾以上のマダイをリリースしたが、すべて元気に海底に向かって泳いでいった。
福岡在住のアングラーはもちろん、出張や遊びで福岡に来る予定があれば、ぜひ1日、玄界灘のタイラバゲームを経験してみてほしい。エサでもなかなか釣ることが難しいはずの海の王者が次々にタイラバにアタックしてくる刺激的な1日を過ごせるだろう。
タイラバのヘッドは各種各サイズを用意して水深や潮流にマッチしたものを選びたい
タイラバのヘッドは各種各サイズを用意して水深や潮流にマッチしたものを選びたい
遊動式タイラバの場合、ヘッドとスカートはそれぞれ別に用意してさまざまな組み合わせを楽しむ。追加や交換用のネクタイやワームを用意すればさらにこの釣りのゲーム性が増す
遊動式タイラバの場合、ヘッドとスカートはそれぞれ別に用意してさまざまな組み合わせを楽しむ。追加や交換用のネクタイやワームを用意すればさらにこの釣りのゲーム性が増す
可愛らしい自作ヘッドでこんなサイズのマダイが釣れたら笑いが止まらないだろう
可愛らしい自作ヘッドでこんなサイズのマダイが釣れたら笑いが止まらないだろう
今回ご紹介したエリア
福岡県/響灘のマダイMAP
アクセス
福岡方面から九州自動車道利用の場合は古賀ICからR3、R495を経由して勝浦方面へ。県道300号線を左折して神湊漁港。神湊ターミナルの先に駐車場あり
お問い合わせ
セカンドステージ
TEL 093-742-0050
乗合は基本が8時間でひとり10000円(遠隔地は15000円)で4名以上で出船
※このコンテンツは2015年7月の情報をもとに作成しております。