天野 三三雄 氏
月刊『Basser』 編集長
天野 三三雄 氏
大学在学中に季刊『Basser』の編集アルバイトとして参加。その後、スポーツ紙釣り欄担当を経てつり人社入社。月刊『つり人』副編集長を経て、2009年より月刊『Basser』編集長を務める。『アオリイカ地獄』、『ロックフィッシュ地獄』、『シーバス地獄』などソルト系ムックの編集長も兼務。釣りはルアー全般のほかハゼ、カワハギ、カレイなど江戸前の釣りを好む

秋の高濃度エリア

アオリイカの好機は大きく年に2回ある。産卵のために大型が接岸する春と、春に生まれた新仔が夏にある程度まで育ち、釣りの対象サイズになる秋だ。太平洋側では千葉県以南が釣り場になり、それより北の親潮圏はアオリイカ釣り場とはいえない。
東北のエギングシーズンは短く、初冬には海が荒れ、水温も下がってシーズンを終えるため11月上旬までが釣期になる
東北のエギングシーズンは短く、初冬には海が荒れ、水温も下がってシーズンを終えるため11月上旬までが釣期になる
ところが、日本海側は本州最北端の青森県までがアオリイカ釣り場になる。ただし、ほぼ秋限定である。春の産卵が普通に見られるのは北陸エリアまでで、それより北側は対馬海流に乗って新仔が流れてくると考えられているからだ。

というと数はたいしたことがないと思われるかもしれないがさにあらず。アオリイカ密度でいえば太平洋岸の比ではないかもしれない。それは冬の終わりから夏の始まりまでダラダラと長期的に産卵する太平洋側に比べて、日本海側は産卵期が春限定で、その後の成長も画一的だからではないだろうか。つまり、一気に開幕して、一気に終幕するということだ。10月下旬はラストチャンスに突入したころといえる。

北の秋はエギングオンリー

新潟、山形、秋田といずれも秋はアオリイカが多い。その中心として山形県庄内エリアをおすすめしたい。鼠ヶ関から酒田にかけての海岸線沿いには大小の漁港のほか足場のよい地磯も点在し、釣り場には事欠かない。風向きなどを考慮して釣り場を選べばよいだろう。
定期船で行く飛島はフェリーの着く港に釣り桟橋があり、ここだけで1日楽しめる
定期船で行く飛島はフェリーの着く港に釣り桟橋があり、ここだけで1日楽しめる
さて、釣り方だが、平均200g程度の若いイカが相手になるため、生きエサを使う釣りには不向き。やはりエギングが手軽かつ釣趣も味わえる。
8~9フィートのエギングロッドに2500番クラスのスピニングリールが標準的。これにPEラインの0.8号前後に1.5~2号のフロロカーボンリーダーを60~100cm。先端に小型スナップを結び、餌木を接続する。餌木は2.5~3.5号。飛距離が稼げ、テンポよく沈めさせられる3.5号で釣れれば問題ないが、スレ気味の場合は餌木を小さくするのも効果的。
初めての釣り場で目安になるのは墨跡。真新しく鮮明なものほど信頼できる。まるで魚拓のように鮮明な墨跡はサイズまで特定できる
初めての釣り場で目安になるのは墨跡。真新しく鮮明なものほど信頼できる。まるで魚拓のように鮮明な墨跡はサイズまで特定できる
海の透明度が高く、またアオリイカも活発に餌木を追うため、サイトフィッシングが中心になる。当然、偏光グラスは必需品。遠投してイカが抱く瞬間は見えなくても、海面のライン変化でアタリが取れるから、その意味も込めてサイトフィッシングといえる。
500g級は秋シーズンのマックスサイズといえる
500g級は秋シーズンのマックスサイズといえる

島と夜も面白い

日本海の秋は日中も面白いが夜の爆発力はさらに上をいく
日本海の秋は日中も面白いが夜の爆発力はさらに上をいく
日中のオカッパリでも充分に楽しめるが、夜の爆発力も魅力だ。とくに無風ベタ凪の日の月夜は高確率でいい思いができ、太陽が完全に沈んでからの1~2時間は夢のような入れ乗りが味わえることも。
夜の釣りはサイトフィッシングではない。遠投してある程度沈ませたのち数回ジャークを入れてカーブフォール。ラインを張っているので、アオリイカが抱けばティップに「クンッ」という明確なアタリが出るほか、ジャークの最中に乗ることも多い。

ただし庄内エリアはアオリイカも多いが釣り人も多く、土日の人気釣り場は混雑が避けられない。そこでもうひとつおすすめしたいのが島への遠征。たとえば酒田市の飛島。あるいは新潟の佐渡島はカーフェリーもあり、釣り場は無数にあって釣り人は少ないという別天地が待っている。
今回ご紹介したエリア
山形県/庄内エリアのアオリイカMAP
アクセス
温海方面は山形道・鶴岡ICからR7を南下。酒田方面へはR112を北上
※このコンテンツは2010年10月の情報をもとに作成しております。