船外機の特徴と動かし方
BF2の「いいところ」と
ボートを動かすための基本操作
2馬力ボートを使った釣りを始めるうえで、キーアイテムとなるのが「船外機」だ。ここではBF2を例に、具体的な特徴や操作法を見てみたい。
船外機各部の名称、役割、始動の手順などを覚えれば、2馬力ボートを使ったフィッシングライフはすぐそこ。船外機の操作も何度か練習すれば決して難しくないので、楽しみながら覚えよう
BF2各部の名称
- 【1】燃料給油キャップ/
燃料タンク(エンジンカバー内)
- 【2】エンジンカバー
- 【3】エンジン(エンジンカバー内)
- 【4】燃料コックレバー
- 【5】クランプハンドル
- 【6】クランプブラケット
- 【7】プロペラ
- 【8】リコイルスターターグリップ
- 【9】非常停止スイッチ
- 【10】ティラーハンドル
- 【11】スロットルグリップ
- 【12】チョークノブ
BF2の特徴
BF2は、高さ1m未満、重さ13.6kg(SCHJタイプ)という、空冷式ならではの軽量&コンパクトな設計になっている。横倒しにした状態での車載も可能で、トランクやフラットにした座席などに積み込みやすい。写真は1枚目が3列目シートを倒したミニバン(ステップ ワゴン)に積み込んだところ。また、2枚目は軽自動車(N-VAN)に積み込んだところで、このサイズの車両でも整理して積み込むと、インフレータブルボートやクーラーと合わせて充分に持ち運びができる。
水冷式の船外機はプロペラ周りに設けられた取水口から水を取り込み、その水の循環によってエンジンを冷やす方式を採用しているが、BF2は、取り込んだ空気によってエンジンを冷やす「空冷式」を採用している。それによりエンジン内部に水を取り込むことがないため、内部に汚れや潮気が入りにくい。そして、使用後はエンジンを停止したまま、水に浸かっていた部分を洗い流すだけで清掃ができる。
BF2は「遠心クラッチ」という、滑らかな発進や簡単な速度調整を可能にする機構を採用している。わかりやすく説明すると、スクーター(原動機付自転車)と同じように、スロットルグリップを回すことで速度を調整する仕組みだ。なお、船にはブレーキが存在しないので、停止する際はグリップを低速側に回して推進力を減衰させ、徐々に速度を落としていく。いずれにしても複雑な操作はなく、初めてでもすぐに船を走らせることができる。
また、本田技研工業の創業者である本田宗一郎氏の「水上を走るもの、水を汚すべからず」との信念に基づき、BF2は煙の排出が少なく排気音も静かな4ストロークエンジンを採用している。
BF2の取り付けと操作法
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BF2はボートの後部にあるトランサムボード(取付け板)に固定して使用する。インフレータブルボートであれば、ボート本体を膨らませて床板や骨組みなどを取り付けたあと、クランプブラケット部分をトランサムボードにはめ込む
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さらにクランプハンドルを回して締め付け、トランサムボードに確実に固定する
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クランプブラケットに設けられた穴にロープを結び、ある程度のゆとりをもたせた状態でもう一方の端をボートの船体に結ぶ。これにより万一クランプハンドルが緩んだ場合も、船外機本体の脱落を防ぐことができる
ボートへの取り付けが済んだら、あとは海上でエンジンを作動させる。その際、ボートはスロープなどから海に浮かべ、まずはオールを使って手漕ぎでやや沖(ボートが海上で落ち着く場所)まで移動させる。
そのうえで、エンジンをかける前段階として、非常停止スイッチが作動する準備をしておき、さらにエンジン各部の調整を行う。そして最後に、リコイルスターターグリップと呼ばれる引き手付きのヒモを大きく引き出せば、エンジンが始動する。
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ボートを沖に安定させたら、最初にもしもの際にエンジンを非常停止させるためのクリップの取り付けを行う。これは使用者が落水して船を操縦できなくなったときなどに、ボートの暴走を防ぐためのもので、まず「カールコード」というバネ状のコードの端を操船者のライフジャケットなどに取り付ける
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続けてカールコードの反対側にある黒いクリップ部分を、エンジンの非常停止スイッチに取り付ける。これにより、非常停止スイッチが強く引かれた場合、エンジンが自動で停止する状態になる
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ここからはエンジンが始動するための準備。まず燃料給油キャップの上部に付いている通気ノブを「ON」の方向へ回す。ちなみに運転時以外(保管や運搬時)は「OFF」の方向へ締めておき、燃料タンク内に外気を取り込まないようにしておく
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さらにエンジンの後方下部にある燃料コックレバーを運転側(斜線が入っていないほう)へ動かし、燃料タンクからキャブレターまでの通路を開放する
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スロットルグリップの根元側に刻まれた「▲」の印を、スピードを設定する目盛りの中央に設けられた始動位置に合わせる。目盛りの横にあるつまみはスロットルの度合いを固定するものなので、始動位置で固定する
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また、エンジンが冷えていたり、外気温が低いときはスロットルグリップとは逆側に設けられたチョークノブを引いておく。その際は、数分の暖機運転を経たあと、徐々に元の位置に戻す
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準備ができたらエンジンを始動させる。最初に「リコイルスターターグリップ」と呼ばれる引き手付きのヒモを大きく引き出す操作から開始。その際、いきなり思い切り引っ張るのではなく、初めはゆっくり静かに、エンジンからまっすぐに引き出していき、重い感覚が伝わったところでいったん止める
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重い感触が伝わったタイミングで一度引き出すのを止め、一呼吸置いてから強く、一気に引っ張ってエンジンを始動させる。上手くかからない場合は何度か操作を繰り返す
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エンジンが始動したら、スロットルグリップを回せばボートが前進する。方向転換は、進行方向右へ曲がりたいならハンドルを左に、左へ曲がりたいなら右にハンドルを動かす(進みたい方向と逆にすることで船がそちらに向く)。ただし、急なハンドル操作は落水や転覆の危険があり、緊急時を除いては避けること。
そして、後進(バック)をしたいときは、船との接合部を軸にして船外機本体を180度回転させる必要があるため、まずはスロットルグリップを低速(BF2ではカメのマーク)で固定し、船外機をグルリと回転させる。その状態でスロットルグリップを回せば後進が可能になる(前進するときは元に戻す)
※このコンテンツは、2023年9月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。