第1回
基礎知識&準備編

マイボートを使った釣りは、「手前船頭(自分自身が船長)」で、好きな場所に出向き、自由度の高い釣りができる。なかでも動力を利用しながら、免許不要で楽しめる「2馬力ボート」は、必要な機材の購入や保管もしやすく、これから挑戦してみたい人にも人気だ。本コーナーでは、その基本や魅力を紹介。第1回は「基礎知識&準備編」として、2馬力ボートの利用ルールや基本装備、主要な機材である船外機の特徴や扱い方をお伝えする。

千原 一歩さん
千原 一歩さん
本田技研工業株式会社二輪・パワープロダクツ事業本部パワープロダクツ事業統括部マリン事業部サービス課所属。富士五湖などで2馬力ボートを使ったブラックバス釣りなどを楽しみ、本田技研工業株式会社入社後は、同僚と海のシロギス釣りに出かけるなどアクティブなボートライフを楽しんでいる。
※所属は取材当時のもの。

釣りファンも注目の
「2馬力ボート」とは?

3m未満のボート+2馬力未満の
船外機の組み合わせ。
免許不要で操縦できる

2馬力ボートとは、一般にミニボートともよばれる、釣りや水辺のレジャーで気軽に利用できる動力(船外機/エンジン)付きのボートのこと。以下の2つの条件を満たす場合に限って、「船舶検査の免除」と「小型船舶操縦免許を取得していない人の操縦」が認められているタイプのボートのことをさす。

免許なしでの操縦
(および船舶検査の免除)が可能になる
2つの条件
① 船(ボート)の長さが3m未満であること
免許なしでの操縦(および船舶検査の免除)が可能になる1つ目の条件は、船(ボート)の長さが3m未満であること。この場合の船の長さは「登録長」のことで、通常は「その船の全長×0.9」で算出される。実際のボートは、空気で膨らませて使うゴム製(インフレータブルボート)、FRP製、アルミ製などがあり、販売されているものは持ち運びを考慮して軽量に作られているものがほとんどだ。また、定員は船体の大きさによって異なるが、安全に釣りを楽しむためにはその半数が目安とされている。
空気を入れて膨らませるゴムボート(インフレータブルボート)は携行性や収納性に優れるのが特徴。定員や形状、床の構造など種類に富むのも人気の理由
② 推進機関(船外機/エンジン)の出力が1.5kW(2馬力)未満であること
もう1つの条件は、推進機関(船外機/エンジン)の出力が1.5kW(2馬力)未満であること。これが「2馬力ボート」の呼び名の所以であり、該当する船外機にはカバー部分に「2」と表記される。

釣りに関していえば、エンジン付きなので広いエリアを労力をかけずスピーディーに動くことができ、アクセスが難しいポイントも気軽に釣れるのが最大の魅力。海や湖の釣りには特にうってつけで、クルマでの運搬や自宅での保管も可能なため、愛好家が増えている。

ちなみに船外機の燃料はクルマなどと同じレギュラーガソリン。船外機には大きく分けて空冷式と水冷式があり、どちらも利用されているが、ここでは「軽量・シンプル・扱いやすい」といった特徴を備える、空冷式の『Honda BF2(以下、BF2)』を例に、2馬力ボートの基本的な知識を紹介していきたい。

千原さんが手にしているのが、ミニボートファンから高い評価を得ている、空冷式船外機のBF2。高さ1m未満、重さ13.6kg(SCHJタイプ)という軽量&コンパクトな設計の2馬力船外機で、ミニボートと合わせての持ち運びやセッティングがとても楽という特徴がある
BF2のカバー部分には大きく「2」と表記されている。操作もシンプルで、ハンドル部分をひねる操作でスピードを、左右に動かすことで方向を調整すれば、海上を自由に移動できる
※このコンテンツは、2023年9月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。