Vol.3

最強の二人だから見えた景色

岩永 匠・髙治 信司 TAKUMI IWANAGA & SHINJI TAKAJI

  • 2022年第40回大会 法人チームコース最優秀賞
  • 九州ブロック Honda Cars大分

法人チームコースで最優秀賞に輝いた、岩永 匠(39)と髙治信司(29)。チームが結成したのは、全国大会の約半年前だった。〈 急ごしらえでも息ピッタリ 〉のベテラン×若手コンビ。頂点を掴んだ彼らが語る法人チームコース競技の魅力とは ──

二人で挑む難しさ

岩永 匠は法人チームコースを「他にはない、チーム力が必要な競技」と説く。チーム力とは何なのか。この競技は、サービスフロントとサービスエンジニアが二人一組となって挑むのだが、出題される問題数は他の競技より多く、制限時間内にすべてを解き切るのは至難の業。競技中、お客様を模した出題者が、選手に想定外の応対を要求するなど、場をかき乱す存在が回答時間を逼迫させるのだ。
そこで、チームによって作戦に色が出る。二人で同じ問題に取り組むチームもあれば、異なる問題にそれぞれが挑戦するなど、プランの組み方も様々。チーム力が必要と言われる所以はここにある。一人では乗り越えられない壁があり、戦略をもって挑むことでようやく手が届く設計になっているのだ。岩永のペア・髙治信司も「連携を取りながら段取りを考えなければ時間が足りなくなる」と語る。

そして、この競技は二人で挑むことの難しさがもう一つ存在する。岩永は「相手の髙治さんには迷惑をかけられないという思いがありました。一人がうまくできたとしても、もう一人がうまくいかなかったら平均点は下がってしまう。役割を分担した以上はしっかりやらねば、というプレッシャーがありましたね」と振り返る。技術力、接遇対応はもとより、〈 二人である 〉というペアの存在自体が、強力な武器にもなり、プレッシャーともなるのだ。

強い責任感が信頼を生む

年の差10歳の岩永と髙治。二人のパートナーシップはどう築かれたのか。
岩永はHonda Cars入社2年目から、技コンに毎年、挑戦をしてきた。地区予選も合わせると今回の挑戦は18回目で、全国大会への出場は2度目。一方の髙治は初めての挑戦が入社4年目の2018年で、地区予選敗退。翌19年には全国大会へ出場を果たすが、この時、問題が解けず棒立ちとなってしまった。この悔しさをバネに今回は最優秀賞を目標に出場を決めた。

2022年4月、異動したばかりの岩永に「法人チームで大会に出てみないか」と会社から誘いがかかった。二つ返事で答えた岩永が髙治とペアを組むことはその後から決まった。赴任したての岩永にとって、髙治は「顔は見たことがあるが話をしたことはない」存在。だが業務や大会の練習を通して信頼に変わっていく。「髙治さんは整備技術をしっかり持った方だな、と。だから僕の方も精一杯ついていかないといけないと思いました」。8月の地区予選を勝ち抜く頃には、お互いが足りない部分をフォローし合う存在となった。髙治はこう話す。「普段、僕はピットで、岩永さんはショールームで受付業務を担当しているので、仕事ぶりを直接見る機会が少ないのですが、大会を通して目の前で岩永さんの接客対応を見ていると、人当たりのよさや受け答えが素晴らしいことに気づき勉強をさせてもらいました」
お互いが信頼し合い自分の職務に責任を持ちやり遂げようとする姿勢は、技コンのためだけでなく、日頃の業務で築いてきた信頼関係の上に成り立っている。

喜びも二人で分かち合う

そして、全国大会当日。二人は、事前に立てたプランをもとに挑み、宣言通り、最優秀賞を獲得した。
最優秀賞に輝いた気持ちを髙治は「覚悟をしていなかったので、頭が真っ白でした。だんだんと実感が湧いてきて、しばらくして『やったぞ!』と思えました」。岩永も「最後に表彰式で名前を呼ばれたときは、本当に震えましたね。やっと終わったな、という安堵もありました」と話す。そして口を揃えて語ったのが、二人の挑戦を支えてくれた周りへの感謝だ。店舗や会社のサポートがあっての受賞だった。トレーニングの講師として普段の業務では関わる機会の少ない人たちとも切磋琢磨し、そのおかげで掴んだ栄誉。受賞後に多くの関係者から祝福の声が二人に寄せられた。

さらにうれしい反応もあった、と岩永は語る。「一番喜んでくれたのは私の息子でした。1位になれたよとLINEで送ったのですが、始めのうちは何の1位になったか理解できず。Honda Carsの整備士の中で全国1位だったよ、と説明を重ねると私の喜びが伝わったようです。父親が全国1位だと小学校でも言いふらしたみたいで(笑)。でも、その喜び方は父親として鼻が高かったです」と笑顔をほころばせた。
二人の選手が互いを尊敬し合う、だからこそプレッシャーも大きくなる法人チームコースの競技。最後に、髙治が競技の魅力をこうまとめた。「二人で喜びを分かち合えることが、この競技の面白いところ。自分はいいや、と遠慮せず一度チャレンジしてみてください。出場してはじめて、もっと上に行きたいと思えるようになるはずです!」

岩永 匠・髙治 信司 TAKUMI IWANAGA & SHINJI TAKAJI

  • 2022年第40回大会 法人チームコース最優秀賞
  • 九州ブロック Honda Cars大分

※掲載している内容は2023年2月取材当時のものです