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Me and Honda, Career Hondaの人=原動力を伝える Me and Honda, Career Hondaの人=原動力を伝える

経験者と妻、そして上司が語る、
男性の育児休職のススメ

男性の育児休職の取得を促進する気運がHondaでも高まっていますが、いざ取得する立場となると、今後のキャリア形成に支障が出るのではないかと不安を抱く人も少なくありません。しかし、1年間の育児休職を取得した二輪事業本部ものづくりセンターの林 雄介は、長期的なキャリア形成を考え、育児休職の取得を決断していました。今回は家族と当時の上司の声と合わせてご紹介します。

林 雄介Yusuke Hayashi

二輪事業本部ものづくりセンター コンポーネント開発部シャーシ開発課

2004年に大学院(工学研究科 機械システム専攻)を修了し、大手タイヤメーカーのブリヂストンに新卒入社。その後、バイク好きが高じて二輪の操縦安定性領域に興味を持ち、2007年にHondaに中途入社。以来、二輪の足回り領域の量産設計をメインに、低燃費タイヤ開発や先進ブレーキの量産車への先行適用検討等の業務に従事。育児休職の取得は2016年6月から2017年4月までの約1年間。

最初から育児の分担に熱心だったわけではない

▲育児休職中の思い出深い日々

林「第一子の娘が生まれたときは、妻の両親にも手伝いにきてもらったので、僕自身の働き方に大きな変化はなかったんです。平日の子育てはほとんどを妻に任せきり。休日に娘をお風呂に入れるなど、ちょっと育児を手伝う程度でした。むしろ妻にせっつかれながらやっていた記憶があります」

2016年に第二子が生まれたときには1年間育児休職を取った林ですが、最初から育児の分担に熱心だったというわけではなかったと話します。2013年の第一子誕生時には、妻のみが育児休職を取得していました。

林「正直、子どもが生まれることで生活がどう変わるのかイメージすることができず、子ども1人くらいなら妻1人でも大丈夫だろうと思っていたんです」

しかし、そうした考え方は子どもに向きあう妻の姿を見ているうちに改まっていったといいます。

林「男性の私が想像する以上に女性の出産による体のダメージは大きく、育児と家事の両立をしながら一日を過ごすことがとても大変そうでした。当然ストレスも溜まるようで、夫婦喧嘩も絶えませんでした」

そうした家庭環境は林自身にとっても精神的な負担となり、仕事への影響もまったくないとは言い切れない状態でした。子どもは大きくなるにつれてむしろ活発になり、妻が手を焼く状況が続いていたのです。そうした経験のなかで林は「第二子が生まれる頃には、妻だけでなく自身も育児休職を取得して子育てに向き合うべきだ」と考えるようになっていました。

林「子ども1人いるだけでも負担が大きいなか、妻だけに2人の子どもを任せることは考えられませんでした。妻が育児ノイローゼになってしまうなど最悪のケースを想像すると、私自身が会社に求められる仕事の量・質に、突如として応えられなくなることもあるではないかという危機感を持ったんです」

自分こそが適任だと思う仕事も少なくないなかでは勇気のいる決断でした。しかし、このタイミングで育児休職を取っておくことが自身の家庭環境を安定させ、長期的に見たときの仕事のパフォーマンスの維持・向上につながるはずと考えたのです。

家庭と仕事の両面から考えたベストな育児休職期間

▲待ち時間にスヤスヤと眠る子どもたちと林

いざ育児休職を取るとなった際には、まず金銭面から現実性を考えたといいます。

林「もともと妻は人事労務の仕事をしていたので、その領域のエキスパートでした。妻と2人で育児休職を取った場合、実際にいくら収入があるのか、どの程度給付金がもらえるのか、そのお金でどの程度生活を維持できるのかというシミュレーションを行いました」

互いに取得時期をずらすことも検討したそうですが、育児休業給付金などの各種制度の支援が受けられるタイミングを考えると、産後に2人合わせて育児休職を取ることがベストだったといいます。

また、期間については家庭と仕事の両面から検討しました。

林「3か月程度の休職だと、あっという間に終わってしまうだろうという感覚がありました。ただ、半年だと会社も期の途中で引継ぎなどが大変になると考えたんです。子どもを保育園に預けられるようになる時期なども考えた結果、1年間という結論に至りました」

一方、長期の育児休職を取ること自体に対して、当初は妻から反対意見があがりました。林は「あれ?喜んでくれないんだ」と拍子抜けしたと話します。

林「『1年ぐらい取ろうと思う』と話したところ、妻は『勘弁してほしい』みたいな反応でしたね(笑)。というのも妻は第一子と次第にコミュニケーションが取れるようになり、育児が楽しくなってきていた頃だったのだと思います。第二子の出産に合わせ育児休職を取るときには、ああしよう、こうしようと考えを巡らせていたんですね。そこに僕が自宅にいるイメージを持てていなかったんです」

妻の言うことももっともと思いつつ、最終的には互いに合意したうえで育児休職の取得に至ったといいます。しかし、妻の不安も的中したのか、育児休職に入ったばかりの頃は、思っていた以上の衝突があったのです。

男性の育児休職の実態と職場との距離感

林「育児休職に入ってから1週間のあいだに、妻とはたくさんの喧嘩をしました。結婚以前から喧嘩をすることはあったのですが、その1週間で3年分位の喧嘩をしたかもしれません」

衝突の原因となったのは、家事に対する考え方でした。これまで何気なく任せてしまっていた洗濯や掃除といった家事にはそれぞれのこだわりがあるもの。林はそれらを特に意識することなく自分なりのスタイルで行ってしまったのです。

林「洗濯ひとつとっても、物によっては裏返しで干したりするなど配慮が必要なんだと学びました。まったく気にしていなかった私は、育児休職に入って早々に注意されてしまいました。『ありがとう』という言葉を期待していただけに喧嘩に発展してしまいました。

育児休職明けに妻と参加したHonda主催の「育児期両立セミナー※」にもっと早く参加していれば、ここまで喧嘩をせずに済んだかもしれません。「手伝ってあげている」というような意識が確かに自分のなかにありましたし、セミナー内のワークでは妻と2人だけではなく、第三者も交えて会話をしたことで、お互い感情的にならず、落ち着いて話ができるようになりました」

※育児期両立セミナー…
育児期のライフイベントとキャリアを両立することを目的に、Hondaでは産前産後休暇・育児休職から復帰した従業員に対して配偶者同伴型の「育児期両立セミナー」を実施しています。

また、そうした夫婦間の衝突だけでなく、新生児に向き合うこと自体も想像していた以上に大変だったと話します。

林「生まれたばかりの赤ちゃんは2時間に1度ぐらいの頻度で目を覚まして泣き出してしまう。親としては24時間フル稼働状態で、生活は不規則になってしまいました。振り返っても本当にきつかったなと思いますね。短期で育児休職を取得していたら、かえって体力的にもつらい状態で職場復帰することになったと思います」

子どもがある程度大きくなると、だんだんと朝に起きて夜に寝るという規則的な生活リズムを送れるようになりました。しかし、上の子どもの世話もあり、休職中だからといって趣味のゲームに興じるような暇はまったくなかったといいます。

▲趣味のゲームに使う時間はなかった

家事や子育ての忙しさが続くなかでも、林は折に触れて職場の同僚と連絡を取っていました。「分からないことがあればいつでも連絡してくれ」と引き継いだ同僚にお願いしていたのです。直接仕事をすることはできませんが、これまでどうしていたのかを伝えることはできると思ったのです。

林「僕から電話をすることはありませんが、電話があればなるべく早めに対応していました。仕事を停滞させたくない。そんな想いでお願いしていたのですが、同僚とコミュニケーションを取る時間が、結果的には育児休職中の苦労を乗り越える力になったのではないかと思います」

また、東京モーターショーなどのイベントに遊びに行くことはありましたが、意識して業務に関する準備はしていなかったといいます。職場の同僚とこまめにコミュニケーションをとっていたこともあり、林は復職中も職場を遠くに感じることがなく、違和感なく復職することができました。

それぞれの家庭環境に合わせた育児休職スタイルを

2017年、林は育児休職前から働いていた二輪事業本部ものづくりセンターのコンポーネント開発部シャーシ開発課に復帰。引き続き二輪車の足回りの研究開発に従事しています。

林「それまであまりやってこなかった料理や洗濯、掃除などの家事を学ぶ機会を得たことで、復職したあとでも家族の関係を良好に保つ力になっているし、働き続けるための精神的な環境を整えることにつながっていると感じています」

男性として1年間の育児休職を取得した実績から、同僚から相談を寄せられることも多くなりました。

林「自身の経験と照らし合わせて、まずはパートナーがどう考えているかを軸に考えるといいとアドバイスするようにしているんです。そもそも取得するのかしないのか。期間はどれくらいがいいのか。男性が育児休職を取る社会的ハードルは下がりつつありますが、結局のところは生活スタイルによって判断すべきだと思うんです。大事なのは家庭にしっかり向き合うということだと私自身育児休職を通して学びましたね」

相談を寄せるのは同僚だけではありません。
噂を聞いた職場や取引先の男性からも質問が来ると言います。

男性の育児休職取得へのハードルが下がりつつある時代にあっても、林のように1年間という長期にわたって育児休職を取得した例はまだまだ少ないのが実情です。林は自身の経験談が、育児に悩む人々の参考になればと想い、社内外を問わず進んで相談に乗るようにしています。
また、自身が育休明けに参加した「育児期両立セミナー」にも先輩社員として登壇し、参加者とのパネルディスカッションを通して経験談やアドバイスを伝えています。

妻・知子さんへのインタビュー(写真:右)

▲家族で記念撮影

Q. 夫・雄介さんの育児休職取得を聞いた際の率直な思いはいかがでしたか?
ありがたさに喜び「1か月くらい?それとも3か月くらい取るの?」と聞き、夫から「1年」と言われたとき、その期間の長さに、急にどんよりした気持ちになりました。1人目の育児休職を経験し「2人目の育児休職ではあんなことをしよう、こんなことをしよう」と自分の中に思い描いていた生活に夫は含まれておらず、急に私の理想を壊されるような感覚で、私自身としては「(あなたが常にいるなんて)そんなの聞いてない!!」という気持ちでした(多分そう言いました)。結婚してから長期にわたり四六時中一緒にいる経験がないなか、2人の子育てという大きな使命とタスクを抱えながら円満に過ごせるのか、それは未知の領域でした。

Q. 実際にご夫婦で育児休職期間を過ごされてみて、いかがでしたか?
良い面も悪い面も両方あったと思いますが、結果的にはとても良かったと思っています。家族4人で過ごせた時間は、何よりも貴重で、また“会社の仕事”がない分、外から持ち込まれるストレスはなく、心にゆとりを持って子どもと接することができたと思います。こんなにも子どもだけに集中すればいい時期は他にないというくらい、子どもの成長を夫婦ともに感じ、毎日を大切に過ごせました。特に大きな旅行等はなくても、毎日おいしいご飯を作ってゆっくり食べたり、家の前でプールをしたり、近場の動物園や水族館に行ったり、そういう日常が幸せな時間だったと思います。夫婦そろっての育児休職経験があったからこそ、コロナ禍の緊急事態宣言下では親は在宅勤務、子は休校・休園となり、家族全員が自宅で生活することになりましたが、比較的スムーズに協力的に進められたと思います。

Q. 最後にこれから育児休職取得を考えている方にメッセージをお願いします
育児休職は「休」という文字があるので、時間がたくさんあると思われるかもしれませんが、子どもの世話は24時間年中無休で、ほとんど自分の時間を持つことができませんでした。そうしたことを理解して育児休職取得を検討していただければと思います。

当時の上司・筒井 正行さんの声(写真:左)

彼が育児休職を取得した2016年当時、男性で取得する方はいなかったと思います。彼から育児休職を取得すると聞いたとき、他の男性メンバーが取得するハードルが下がると思いましたし、実際に同じ部署で育児休職を取得するメンバーも増えています。

唯一、不安に感じていたのは復職後の業務スキルやアウトプットの質でした。しかし、そんな心配は杞憂に終わり、育児休職の前後で変化を感じることはありませんでした。スムーズに復職してくれたように思います。また、同僚・後輩からの相談に対して、以前よりもより親身に接するようになった印象を受けますし、仕事の負荷が高い状況でも以前よりも落ち着いて対処している場面が多くなったように思っています。

彼のもとに育児休職の相談に訪れる男性メンバーも多いようですので、こうした風潮がもっとHondaのなかでも広がって欲しいと考えています。

「働き方の多様性」の実現へ

男性の育児参画については2022年度以降の育児・介護休業法の改定を踏まえ、男性が育児休職を取得しやすい仕組みづくりと風土醸成を進めていきます。
また、Hondaでは育児休職だけでなく、さまざまな制度を通して、一人ひとりが置かれている状況に関わらず、最大限のパフォーマンスを発揮できる「働き方の多様性」の実現に向け、取組みを加速させています。 こういった取組みが、Hondaが描く人材多様性のありたき姿「多様な属性・価値観を持つ“個”が活き活きと輝くことで企業総合力の最大発揮をめざす」ことに繋がっていくのです。

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