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Rへの期待 サーキットベストへの挑戦 ギャラリー
 
 
第2回サーキットベストへの挑戦
 
空力を利用したシャシーセッティング。圧倒的な速さへの挑戦。
市販車として困難な前後のマイナスリフトを得たNSX-Rは、その空力のメリットを活かし、サーキットでの圧倒的な速さの実現に挑戦した。
今回は、そのためのシャシーセッティングについて解説していきたい。
 
初代「R」は高速のスタビリティ確保でタイムアップをねらった。
  初代NSX-Rでは、高速時に車体を持ち上げるリフトフォースが働くので、サーキットを速く走るために高速のスタビリティをシャシーセッティングで確保する必要があった。つまり、外乱に対する挙動変化に対応しやすいアンダーステア傾向のセッティングである。
そうすると、高速コーナーで挙動が安定するため、サーキットをより速く走れるのだ。ただ、いくつかのタイトコーナーではアンダーステアのためにクルマの向きが多少変えずらくなってしまうのは避けられなかった。
   
今回はタイトコーナーも速く!
 
今回、マイナスリフトの実現により高速コーナーのスタビリティと限界性能を向上させ、操縦のしやすさを高めたNSX-R。そして、この空力による高速でのマージンを活かしたシャシーセッティングは、アンダーステアを低減させ中・低速の旋回性能を向上させるニュートラルステア傾向に。
つまり、空力効果で高速も速い上に、タイトコーナーも舵が効いてサッと向きを変えられ速く走れる。トータルでタイムアップできるため、NSX-Rはさらにワンランク上の速さを獲得できたのだ。では、「中・低速の旋回性能を向上させるシャシーセッティング」とは…
  説明イラスト1
   
相対的にフロントを柔軟にしたロール剛性バランス
 
NSX-Rは、初代に比べてもハードなサスペンションセッティングを採用しており、全体としてはロール剛性を高めている。それは、ロール角=車重×横G×重心高さ÷ロール剛性という理論にもとづく。ロール剛性の向上は、ロール角を低減させ、ひいては横Gの向上につながる。つまりは限界性能の向上につながるのだ。
その上で、前後のロール剛性バランスをコントロールしニュートラル傾向のステア特性を実現している。具体的には、フロントのロール剛性バランスを初代 NSX-Rの45%から43%に変更。リアに対しフロントを軟らかめにすることで、フロントのロードホールディング性を高め回頭性を向上させるセッティングとした。NSX-Rは、このセッティングにより、タイトコーナーでの舵の効きを向上させたのだ。
  説明イラスト2
   
限界性向上とステア特性の改善に大きく貢献したNSX-R専用タイヤ
  サスペンションセッティングは、タイヤの特性抜きでは詰められない。これは NSX-Rに関心をお持ちの方ならご存知の方も多いだろう。単にグリップの大小だけではなく、コーナリングパワーの特性、その前後バランス、タイヤの剛性とサスペンション剛性のマッチングなどによりクルマの挙動は大きく変わってくるからだ。NSX-Rの速さと楽しさは、この専用タイヤ抜きでは得られないのだ。今回、NSX-R専用タイヤに課せられた命題は、
   
  1. グリップアップによる限界性の向上 2. 理想的な弱アンダーステアの実現 3. リアの応答リニアリティの向上 4. サーキットでの耐摩耗性の向上 5. ウェット性能などの確保
   
  である。そのために、ストリートタイヤとして最高峰のグリップを実現するコンパウンドを投入し、左右非対称のパターンが採用された。コーナリング中に荷重の掛る外側の溝の少ない高剛性ブロックで接地面積を稼ぎ高いグリップを確保、踏ん張りを効かせ限界性能の大幅な向上を狙う。ウェット性能は内側の太い溝で担い、十分なレベルを確保している。

そして、ハードなサスペンションセッティングに対応する剛性をタイヤでも実現するために、タイヤサイドの補強材にスチールを投入。しかも2重構造にしている。タイヤのショルダーからサイドにかけての厚みも通常のタイヤでは考えられない厚さである。トレッド面の厚みも、接地性を高めるために微妙にコントロールされている。 NSX-Rに装着し、適正な内圧で理想的な接地性が得られるよう、専用の設計がなされているのだ。

リアの応答リニアリティの向上は、初代NSX-R に比べてタイヤ幅をアップさせることで対応。フロントの回頭性向上に対し、リニアに追随するリアのステア特性を確保している。さらに、レーシングタイヤ開発の経験を活かしたコンパウンドづくりにより、きわめて高い耐摩耗性を確保。熱ダレにも強く、走行後の摩耗肌も実にきれい。サーキットを走った経験がある方なら、その違いはひと目でわかるだろう。
   
  NSX-R専用 POTENZA RE070の非対称パタン
   
 
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