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1990年の誕生当初からNSXに関っている技術者は、高根沢工場でも少ない。 そのなかの精鋭、どっぷりとNSXに浸かり切った技術者が このリフレッシュプランを担当している。彼らは実にすがすがしい。 まるで求道者のようにひたすらNSXのことばかり考えている。 このまっすぐな技術者が“工場でメンテナンスする意義”にこだわり、 リフレッシュプランは執り行われる。 そのクオリティはまさに究極。 NSXに対するオーナーの愛情を支える充実のプランだ。 |
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生まれた工場でメンテナンスをするということ。 | ![]() |
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リフレッシュプランは、わざわざ生まれ故郷である高根沢工場にNSXを送り、そこで行われるメンテナンスのこと。ディーラーでの申込み終了後、クルマを輸送するのだが、もしオーナーが望むのであれば、オーナー自らクルマを工場に持ち込むこともできる。あらかじめ申込みタイミングが合えば、工場を訪れた際にNSXを生み出す生産ラインを見学することもできる。 この、生産工場でメンテナンスを行うということに、担当する技術者はこだわっている。一度工場から送り出したクルマがメンテナンスを受けるために帰ってきたとはいえ、ふたたび工場の門をくぐって世に送り出す以上は、新車のようにメーカーとして胸を張れる性能や品質をもたねばならない。リフレッシュプランに携わる担当者の自負心はここにある。生産工場でメンテナンスをするからには、「新車に近い状態」にするのだと。 もちろん、一度オーナーの手にわたったNSXが新車になるはずがない。しかし、限りなくその目標に迫る。そうした信念のもとにリフレッシュプランは実施される。「工場で預かったのに、依頼されたところだけ直して、他に直すべきところがあると知りながら目をつぶって送り出すことなどできない」 「それでは工場に入れた意味がない」 熟練のリフレッシュプラン担当技術者の一人が、熱っぽく語った。 |
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![]() 基本リフレッシュ (エンジンのタペット調整) |
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新車をチェックするのと同じ方法ですべてを見る。 | ||
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リフレッシュプランで持ち込まれたNSXは、申し込まれたメニューに関らず、まず徹底的にチェックされる。チェックに携わるのは、立ち上げのときからNSXの生産を担当し、その後ひとりでリフレッシュプランの主担当を務めてきたNSXリフレッシュサービスの佐藤圭二。そして、やはり当初からNSXの完成車検査を行ってきた正田浩通である。 彼らは、10年を超える経験から、オーディオの音質など細かな機能から走りに至るまで新車のNSXのフィーリングを熟知している。 工場内にあるテストコースで走り、外観や内装、エンジンルーム、下回りなどを丹念に探り、新車との違いをリストアップする。ふたりが別々に行ってリストをつくり、メンテナンスすべき項目を話し合いながら洗い出していく。 「10年ぐらい経過したNSXだと、きめ細かな点をひとつずつ数えたとしたらメンテナンス項目は100以上になります」 佐藤は喜々としてそう語る。なぜなら、項目が多いほどリフレッシュしたとき見違えるほどの効果を確認できるからだ。 |
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![]() 内装リフレッシュ(シート交換) |
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追加メンテナンス項目をオーナーと調整。 | ||
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リフレッシュプランの基本的なメニューは次ページの表の通り。「基本」「機能」「内装」「外観」の単純な4項目しかない。しかし、新車に近づけるためにはこれで済むはずもなく、佐藤や正田は自主的に総合的なチェックを行い、その他のメンテナンス項目をオーナーと相談しながら決めるスタイルを長年の取り組みのなかで生み出した。 入念なチェックにより抽出された100余りのメンテナンス項目。その中には、カセットデッキのヘッドの消磁、クリーニングなどという細かい項目も存在する。そうした細かな点までを完璧にすることが“新車に近づける”ということなのだ。 スピーカーの交換、パワーウインドウのレギュレーター調整、内装の軋みの除去などもある。チェック項目は、走りに関してだけでなく、オーナーとNSXのあらゆる接点に及んでいる。 販売店を通じて、あるいは販売店の許可を得て佐藤がオーナーと直接話し、メンテナンス実施項目や見積りを絞り込んでいく。それだけで1週間も費やすほどだ。 「ここを訪れるオーナーさんもいらっしゃいます。メンテナンス過程のクルマを前にしながら、オーナーと直接話をしてリフレッシュできるのは我々にとっても助かるのです。どれほどのメンテナンスが求められているかは、なかなか理解できませんからね。とにかく我々は全部やりたい。そしてほとんど新車の状態で送り出したいのです。それが技術者の使命と思っていますから」 彼はまさに誠実感あふれる人物。彼の口説きにかかったら、NSXを愛するオーナーはイチコロではないだろうか。 |
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![]() 機能リフレッシュ(ダンパー交換) |
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