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レースレギュレーション
短距離2レース制の醍醐味

WTCCは一大会につき2レース制で競われます。それぞれが独立したレースとみなされ、得点対象となります。一レースの走行距離は50〜60kmと短く、約20〜30分間ほど。最初から最後まで全開で競い合うことになります。両レース間のインターバルが短いので、もしレース1で事故やトラブルに見舞われると、修復の時間が厳しくなります。スタート方式は、レース1がペースカー先導によるローリングスタート、レース2が静止状態からのスタンディングスタートとしています。スタンディングスタートではクルマの重心位置の関係からタイヤに駆動力をかけやすい後輪駆動車が有利となる場合が多く見られます。

予選はちょっぴり複雑なのが面白い

スタート位置を決める予選方法は毎年少しずつ変化しています。今年は次のとおり。
まず、20分間のQ1と10分間のQ2が、5分間のインターバルをおいて行なわれます。ストリートコースではQ1,Q2ともに、ロードコースに対して5分間長い設定になっています。頭文字の「Q」はQualifying=予選の意味です。Q1には参加全車が出走し、そこで記録したタイムの上位12台だけがQ2に進めます。この12台により再度Q2でタイムを競い、決勝レース1のスタート順位を決定します。

複雑なのは「レース2」のスタート順位が“予選結果の上位10台がリバースに整列”という部分でしょう。リバースとは「逆」の意。つまり、Q2で最速タイムをマークした者はレース2のグリッド10位からスタートしなければなりません。Q2で10番目のタイムだった者がレース2ではポールポジションからスタートできることになります。上位12台で争うQ2の上位10台をリバースすることで「Q2での10番手=第2レースのポールポジション」狙いの者が出ないようにしています。
速い者が後方からスタートするこのような方式は、近年数多くのカテゴリーで採用されており、接戦が増えるという観る側の楽しみと、予選(Q2)中位の車両に勝つチャンスを与えることで、年間で争う選手権をよりコンペティティブにしています。

その得点方法は

一大会2レース制の各戦に得点が与えられるのは従来どおりです。1位から10位までに25-18-15-12-10-8-6-4-2-1の各点。等間隔ではなく、上位に比重が高く設定されています。さらに今年は、Q2終了時の合計予選結果トップ5にも5-4-3-2-1の各点が与えられるようになりました。以上はドライバー選手権の場合。カー・メーカーを対象とするマニュファクチャラー選手権も基本は一緒ですが、同一車種が複数台入賞した場合、上位2台分のみカウントされるという部分が異なります。

タイヤはヨコハマのワンメイク

WTCCの使用タイヤは2006年からヨコハマのワンメイクとなっています。ドライ用、ウェット用とも1スペック。ドライ用のスリック・タイヤなら、最初の参戦時に一台につき新品16本が供給され、2大会目からは20本(新品12本とユーズド8本)となります。ウェット用のレイン・タイヤなら一大会最大で16本です。限られた本数を有効に使うのが各チームの腕の見せ所・作戦の立て所となります。
無駄遣いをしないのはエンジンにも言えます。シーズンを通してエンジンは一機のみ使用可と規則に明文化されました。エンジン交換を余儀なくされた場合は、次戦でのグリッド降格ペナルティが言い渡されます。
ちなみに、タイヤに関しては2015年までヨコハマがサプライヤーを継続することが決まりました。

シーズン途中でも重量補正で拮抗化

 シーズンが進むうちに各車間の性能差が目立ち始めた際には、重量補正が行なわれることがあります。最大で+40kg、逆に-20kg、この範囲での見直しがなされます。

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