バレンシアGPの予選は、前日のフリー走行で総合2番手と好調なスタートを切った中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)が、3戦連続フロントロー獲得となる3番グリッドを獲得しました。今大会は、金曜日から雲の多い天候ですが、土曜日は断続的に小雨が降り続く難しいコンディションとなりました。
午前中に行われたFP3は、セッション開始前に降り始めた小雨の影響で、スリックタイヤで走るには危険な状態。レインタイヤで走るには濡れ方が足りないという微妙な状況で、セッション中盤まで、ほとんどの選手が走行を見合わせました。その後、セッション終盤は路面がドライコンディションになり、ダイレクトでQ2進出を目指す選手たちが全力でアタックしました。その中で初日2番手と好調なスタートを切った中上は、リスクを負わない走りをし、初日のタイムで総合6番手までポジションを落としましたがダイレクトでQ2進出を果たしました。
その後に行われたFP4では、決勝に向けて2通りのタイヤの組み合わせにトライ。最初は前後ミディアムで走行を開始して、その後には、前戦ヨーロッパGPと同じくフロントにハード、リアにミディアムでロングランをこなし、ともに1分31秒から32秒台で走行をこなしました。そして、セッション終盤に1分30秒995のベストタイムをマークして2番手。決勝に向けて準備が進んだことを感じさせていました。
こうして、決勝がどんなコンディションになってもいいようにいくつかのオプションを確認した中上は、予選ではフロントにミディアム、リアにソフトの組み合わせでアタック。2回目のアタックでは、2周連続で1分30秒台をマーク。ポールポジションを獲得したフランコ・モルビデリ(ヤマハ)から0.222秒差の1分30秒413でフロントロー3番手を獲得しました。
これで中上は、アラゴンで行われた第12戦テルエルGPでポールポジション獲得、バレンシアに舞台を移した第13戦ヨーロッパGPで3番手、今大会はそれに続く3戦連続、今季4回目のフロントロー獲得となり、決勝では、念願の初優勝、初表彰台に挑みます。
初日7番手とまずまずのスタートを切ったカル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)は、微妙なコンディションとなったFP3ではタイムを更新できず総合14番手へとポジションを落とし、Q1からの予選となりました。タイムが接近する、し烈な戦いとなったQ1では惜しくも3番手に終わり、この時点で13番グリッドが確定しました。決勝では追い上げのレースに挑みます。
初日13番手のステファン・ブラドル(Repsol Honda Team)は、難しいコンディションとなったFP3でタイムを更新できず17番手へダウンし、Q1からの予選となり18番グリッドとなりました。第2戦スペインGPで右腕上腕を骨折し、治療とリハビリを続けるマルク・マルケスの代役として11戦目のレース。難しいコンディションだったためQ1ではリスクを冒さず慎重な走りとしましたが、FP4では12番手につけるなどドライでは好調な走りをみせました。決勝がドライになれば、3戦連続今季4回目のポイント獲得とベストリザルトが期待されます。
初日に2度の転倒を喫し、19番手とやや出遅れたアレックス・マルケス(Repsol Honda Team)は、難しいコンディションとなったFP3でも転倒を喫し、ポジションアップを果たすことができませんでした。その結果、Q1からの予選となり、Q2に進出するため微妙なコンディションの中で攻めの走りをみせましたが、再度、激しい転倒を喫し、20番グリッドとなりました。転倒した後、念のためにバレンシア市内の病院で検査を受けましたが骨折などはありませんでした。明日の朝のウォームアップで体調を確認し決勝に挑む予定です。
初日のフリー走行ではトップから1秒差に19台という大接戦。2日目のFP3終えた時点でも17台と厳しい戦いとなったMotoGPクラスは、決勝に向けて重要なセッションとなるFP4でもトップから1秒差に20台という今季もっとも厳しい戦いとなりました。クラッチロー、ブラドル、アレックス・マルケスの3選手は中団、後方からのレースとなりますが、決勝に向けてのアベレージは高く、追い上げのレースに期待が寄せられます。
中上貴晶(MotoGP 3番手)
「再びフロントローを獲得できてよかったです。3レース連続のフロントローなのでとてもうれしいです。このサーキットはなかなかオーバーテイクができないので、フロントローは明日のレースへ向けてとても重要なポジションなため、うれしいです。トリッキーなコンディションでしたし、チームは最高のマシンを準備してくれたので感謝したいです。とにかくプッシュしました。すばらしい結果です。明日が楽しみです。すばらしい結果を持ち帰りたいと思っています」
カル・クラッチロー(Moto3 13番手)
「今日はあまりいいフィーリングがつかめませんでした。昨日のセッティングの方がフィーリングはよかったです。予選ではいい仕事ができましたが、残念ながらQ2へは進めませんでした。セクター3の路面がとても濡れていて、アタックしていたラップでコントロールを失ってしまいました。しかし転倒はしませんでした。全力でがんばりました。明日のウォームアップとレースへ向けてマシンを改善できるようにがんばります」
ステファン・ブラドル(MotoGP 18番手)
「今日もまた複雑な天候になり、今日予定していたメニューに大きな影響を与えました。そして、すべてを複雑にしました。午前中のFP3はハーフ&ハーフで、それはQ1も同じでした。そのため、予定していたことが順調にこなせず、気持ちよくありませんでした。それでもドライコンディションになったFP4はかなりいい内容でした。しかし微妙なコンディションとなったQ1では、リスクを冒したくありませんでした。明日の決勝はトリッキーなレースになると思いますが全力を尽くします」
アレックス・マルケス(MotoGP 20番手)
「今日は楽な一日ではありませんでした。路面は完全に濡れることはなく、乾くこともありませんでした。そしてQ1はリスクの高いコンディションでしたが、プッシュしなければならない状況でした。全力でプッシュしたのですが、残念ながら大きな転倒を喫してしまいました。その転倒で腰とお尻を強く打ちました。その後、すぐに2台目のバイクでコースに出ようとしましたが、アドレナリンが消えて、走れませんでした。この痛みが明日になってどうなっているのか。様子をみなければなりません」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム |
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1 | 21 | F.モルビデリ | ヤマハ | 1'30.191 |
2 | 43 | J.ミラー | ドゥカティ | 1'30.287 |
3 | 30 | 中上貴晶 | ![]() | 1'30.413 |
4 | 5 | J.ザルコ | ドゥカティ | 1'30.520 |
5 | 44 | P.エスパルガロ | KTM | 1'30.553 |
6 | 12 | M.ビニャーレス | ヤマハ | 1'30.645 |
7 | 41 | A.エスパルガロ | アプリリア | 1'30.657 |
8 | 63 | F.バニャイア | ドゥカティ | 1'30.671 |
9 | 33 | B.ビンダー | KTM | 1'30.737 |
10 | 88 | M.オリベイラ | KTM | 1'30.781 |
11 | 20 | F.クアルタラロ | ヤマハ | 1'30.864 |
12 | 36 | J.ミル | スズキ | 1'30.988 |
13 | 35 | カル・クラッチロー | ![]() | 1'31.159 |
14 | 42 | A.リンス | スズキ | 1'31.594 |
15 | 9 | D.ペトルッチ | ドゥカティ | 1'31.601 |
16 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | 1'31.604 |
17 | 4 | A.ドヴィツィオーゾ | ドゥカティ | 1'31.606 |
18 | 6 | ステファン・ブラドル | ![]() | 1'31.831 |
19 | 53 | T.ラバト | ドゥカティ | 1'32.063 |
20 | 73 | アレックス・マルケス | ![]() | 1'32.205 |
21 | 32 | L.サバドーリ | アプリリア | 1'32.237 |