Round14アラゴンアラゴンGP

MotoGP プレビュー

会場:モーターランド・アラゴン

Repsol Honda Teamがアラゴン3連覇を狙う

第14戦アラゴンGPが、9月21日(金)~23日(日)の3日間、スペインのモーターランド・アラゴンで開催されます。このサーキットは、バルセロナとバレンシアからそれぞれ約200km離れたアルカニスの郊外にあります。スペインGP、カタルニアGP、バレンシアGPに続くスペイン4カ所目のグランプリとして2010年にスタートし、今年で9度目の開催となります。

モーターランド・アラゴンは一周5.078km。マレーシアのセパン・サーキットやトルコのイスタンブール・パーク・サーキットなどを手がけたドイツ人デザイナーのヘルマン・ティルケ氏によって設計されました。ティルケ氏がデザインしたサーキットは、自然の地形を利用したアップダウンと、バリエーションに富んだコーナーが連続し、リズム感あふれるレイアウトが特徴です。モーターランド・アラゴンはこうした特徴に加え、2本の長いストレートを組み合わせたレイアウトになっており、パッシングポイントが多いため、選手たちから高い評価を得ています。

過去、この大会では、11年に当時、Repsol Honda Teamから参戦していたケーシー・ストーナーが優勝。このサーキットにおけるRepsol Honda TeamのMotoGP通算100勝目を達成しました。さらに12年にダニ・ペドロサ、13年にはマルク・マルケスと、Repsol Honda Teamが3年連続で優勝を果たしています。

“フラッグ・トゥ・フラッグ”となり、不安定な天候になった14年はマルケスとペドロサが優勝争いを繰り広げましたが、ウエットコンディションの中で両選手ともに転倒。再スタートしましたが、マルケスが13位、ペドロサが14位と、表彰台獲得はなりませんでした。15年はペドロサが2位で表彰台に立ちましたが、マルケスは転倒リタイア。16年はマルケスがその雪辱を果たして3年ぶりの優勝を達成し、昨年はライバルを圧倒する走りで大会2連勝、通算3回目の優勝を果たし、ペドロサも2位でフィニッシュしました。

前戦サンマリノGPで2位に入り、5勝を含め今季10回目の表彰台を獲得したマルケスは、総合首位をキープするだけではなく、ランキング2位のアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)に67点、総合3位のバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)に70点、総合4位のホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ)に91点と大量リードを築きました。しかし、後半戦に入っての3大会(イギリスGPは中止)では、ドゥカティ勢が3連勝を達成しています。この3レース、マルケスは3戦連続で表彰台に立ちましたが、ドゥカティ勢の後塵を拝する悔しい結果に終わりました。

現在、大量のアドバンテージを築いており、なんとしても勝利を目指す必要はないものの、今大会はマルケスにとって得意とするサーキットの一つだけに、今季6勝目が期待されます。

マルケスは、バルセロナから約100km離れたリェイダ近郊のサルベラで生まれ育ちました。自宅から最も近いカタルニアGPがホームグランプリとなりますが、アラゴンも自宅から約170kmの距離にあるため、自身にとって第2のホームグランプリと言えます。

2010年にスタートしたアラゴンGPでは、Moto2クラスに出場した11年に優勝、12年は2位。MotoGPクラスでは、13年、16年、17年と3勝を挙げています。予選では、125cc時代の10年、Moto2時代の11年、MotoGPクラスでは13年から16年まで4年連続でポールポジション(PP)を獲得。アラゴンGPでの最速ライダーとして君臨してきました。昨年は予選で転倒を喫し5番グリッドからレースに挑んで見事、優勝を挙げました。今年は今季5回目のPP獲得とアラゴンGP4度目の優勝を目指します。また今年は、10コーナーが「マルク・マルケス・コーナー」と命名されました。自身の名前が付けられたサーキットで、ファンを魅了する走りが期待されます。

このサーキットを得意とするカル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)も、前戦サンマリノGPで今季2回目の表彰台に立ち、調子を上げています。今年は第2戦アルゼンチンGPでシーズン初優勝を達成するも、それ以降は苦戦が続いていました。しかし、後半に入ってからは表彰台争いの常連となり、サンマリノGPでは今季2回目の表彰台を獲得、ランキングでも6位へと浮上しました。

今年は、2戦連続3回目の表彰台獲得と、第2戦アルゼンチンGP以来の優勝を目指します。これまでアラゴンGPでは、ドゥカティ時代の14年に3位表彰台。LCR Hondaでは15年に7位、16年に5位。昨年は転倒リタイアと悔しいレースでしたが、今年はその雪辱に挑みます。

前戦サンマリノGPで6位と、やっと調子が上向きになってきたダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が、自身にとってのホームグランプリに挑みます。過去アラゴンGPでは、12年に優勝、15年に2位、昨年の大会でもマルケスに続いて2位になり、Repsol Honda Teamとして1-2フィニッシュを果たしました。これまでアラゴンGPでは、予選、決勝を通じて、常にトップを狙える位置につけてきました。今シーズンを最後に引退を決めているペドロサにとっては、これが最後のアラゴンGPとなります。地元ファンの前で今季初表彰台、今季初優勝に挑みます。

前戦サンマリノGPで12位になり、ルーキー勢トップの総合16位に浮上したフランコ・モルビデリ(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は今季ベストを目指します。前戦サンマリノでは、今季2回目のQ2進出から12位でフィニッシュ。今大会は3回目のQ2進出と第4戦スペインGPの9位以上を目指します。

総合20位の中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)も、第11戦オーストリアGPで15位、第13戦サンマリノGPで13位と、中止になったイギリスGPを挟み、2戦連続でポイント獲得と調子を上げてきました。 今大会は今季7回目のポイント獲得を目指します。

Honda勢の中でまだ唯一ポイントを獲得していないトーマス・ルティ(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、今大会も初ポイント獲得に向けて全力で挑みます。

コメント

マルク・マルケス(MotoGP 総合1位)
「アラゴンはカレンダーの中でも大好きなサーキットの一つです。いつもは楽に、とてもうまく走れるところです。ホームの観客の前でレースをすることがとても楽しみです。今年は初めて、一つのコーナーに僕の名前が付いているので、今年は特別な週末になりそうです。とてもうれしく思っています。昨年はアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)と同ポイントでアラゴンGPを迎えましたが、今シーズンはアドバンテージがあります。でも、まだまだ戦いは続きます。ドゥカティはすべてのサーキットで速く安定しているようなので、引き続き、一生懸命取り組まなければなりません。できる限り彼らとうまく戦えるように、なにか方法を見つけなければなりません。アラゴンではがんばって最初から戦闘的になりたいです。早くいいベースを見つけて、週末にしっかり備えたいです」

カル・クラッチロー(MotoGP 総合6位)
「インディペンデントライダーのスタンディングをリードしてアラゴンを迎えられるのはとてもうれしいことです。ミサノで3位を獲得できて、残りのシーズンへ向けてさらに自信がつきました。チームはすばらしい仕事をしてくれており、戦闘的なマシンを毎週末準備してくれています。引き続きこの調子でがんばりたいです。目標はいつも表彰台です。アラゴンは過去にいい結果を残してきたので、引き続き集中してHondaと仕事に取り組み、できる限りいい結果を残したいです」

ダニ・ペドロサ(MotoGP 総合11位)
「僕のファンクラブとホームの観客がたくさん来てくれるアラゴンは、いつも楽しみにしています。サーキットも好きです。過去にいい結果を残してきました。今回もまたいい結果を達成できたらうれしいです。早くサーキットへ行って、スペインのグランプリを楽しみたいです」

フランコ・モルビデリ(MotoGP 総合16位)
「モーターランド・アラゴンは世界チャンピオンシップにデビューした最初の年からいつも速かったので、今からレースを楽しみにしています。テクニカルなので、MotoGPマシンで走ったら、どんな感じなのか、とても楽しみです。シルバーストーンではセッティングを進め、電気系統も改善できました。それをミサノで証明できたと思います。とてもポジティブな週末となり、Q2に進出、レースでもトップ10争いができました。モーターランド・アラゴンでどんなレースができるのか、とても楽しみです。ミサノのときのように今回もいいパフォーマンスができることを願っています」

中上貴晶(MotoGP 総合20位)
「ミサノは僕にとって厳しい週末でしたが、最後にはレースで3ポイント獲得できたので、僕やチームにとってはいい結果になりました。これからはアラゴンです。ここはHondaがとても戦闘的な場所なので、今週末は自信があります。最高峰クラスでデビューしてからは、RC213Vをサーキットに合わせて走るのに少し時間を必要としていますが、すべてのレースでポイント圏内でフィニッシュできるようにベストを尽くします」

トーマス・ルティ(MotoGP 総合25位)
「アラゴンはMotoGPマシンでまだ走ったことがないサーキットなので、レースがとても楽しみです。アップダウンがたくさんあり、テクニカルなセクションが多く難しいと思いますが、いいサーキットです。マシンの感触がよくなるようにがんばりたいと思います。これはとても大事なことです。引き続き、いつものように一生懸命取り組みたいです。今後のレースでうまくいくように、僕もクルーもみんな100%でプッシュしていきます」

モータースポーツ >  ロードレース世界選手権 >  2018 第14戦 アラゴンGP プレビュー(MotoGP)

ニュース