Round06イタリアイタリアGP

MotoGP プレビュー

2018年5月31日(木)

会場:ムジェロ・サーキット

ランキングトップのマルケスが4年ぶりのイタリアGP勝利を狙う

第6戦イタリアGPが、6月1日(金)~3日(日)までの3日間、フィレンツェ近郊のムジェロ・サーキットで開催されます。イタリアGPは、5月もしくは6月の大会として定着しており、昨年に続き6月上旬での開催となりました。

ムジェロで初めてグランプリが開催されたのは1976年。以降、イモラ、モンツァなど、複数のサーキットでイタリアGPが開催されてきましたが、1991年にサーキットの全面改修を受けてからは、ムジェロがイタリアGPの舞台として定着しました。

91年はサンマリノGP、92年はイタリアGP、そして93年は再びサンマリノGPとして開催され、94年以降はイタリアGPの舞台となり、今年で25年連続の開催となります。91年~93年の3大会を加えると28年連続となります。

Hondaは、93年のサンマリノGP以来、ムジェロでは13勝を挙げています。93年から98年までミック・ドゥーハンが6年連続優勝(イタリアGPとしては5年連続)。以降、アレックス・クリビーレ、ロリス・カピロッシ、アレックス・バロス、バレンティーノ・ロッシがHondaで優勝。そして、Repsol Honda Teamとしてはダニ・ペドロサが10年、マルク・マルケスが14年に優勝しています。今年は4年ぶりの優勝を目指します。

ムジェロは、一周5.245kmのハイスピードコースで、グランプリが開催されるサーキットでは、オーストラリアのフィリップアイランドに次いでアベレージスピードの高いコースです。下り勾配の最終コーナーから約1.1kmのロングストレートで繰り広げられる超高速バトルが最大の見どころで、見ている観客を興奮させます。ムジェロは全体的にパッシングポイントが多く、目まぐるしくポジションを入れ替える競り合いになることがしばしばで、選手からも観客からも評価の高いサーキットになっています。

この季節のムジェロは、好天の日が多く、2009年のウエットレースを最後に10年から17年まで8年連続で天候に恵まれました。過去、6月開催は30℃を超える猛暑になることが多かったのですが、昨年は雲が多い天候で最高気温は25℃と6月としては涼しいコンディションとなりました。いずれにしても、ハイスピードコースのムジェロはタイヤに厳しい戦いとなります。そのためタイヤの選択がリザルトに影響することも多く、フリー走行、予選でのセットアップが重要になります。

今年は第4戦スペインGP終了後にムジェロでプライベートテストを実施。午前中はドライコンディションも午後になって雨が降るあいにくの天候でしたが、Hondaチームは、本番に向けてデータ収集を行いました。

5戦を終えて3勝。総合首位に立つマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、今年は4年ぶりのイタリアGP制覇に挑みます。今年はウインターテストからセットアップが順調に進み、第3戦アメリカズGPでは6年連続優勝を達成。シーズンを通しどちらかと言えば苦手とする第4戦スペインGPと第5戦フランスGPも勝利しました。それだけに今年のイタリアGPは4年ぶりの大会制覇に大きな期待が寄せられています。

これまでマルケスは、125cc時代の10年にムジェロでグランプリ初優勝を達成しました。Moto2クラスでは11年、MotoGPクラスでは14年に優勝。15年は転倒リタイアとなるも、16年は優勝争いを繰り広げて2位。17年はフロントのフィーリングに苦しみ6位という厳しいレースを強いられました。4月の合同テストでは、昨年の課題の修正に取り組み、非公式ながらも自己ベストを更新、昨年の大会のポールポジション(PP)タイムに匹敵する1分46秒台の好タイムをマークしました。ムジェロは、ホームグランプリとするドゥカティ勢、そしてイタリア人選手たちが熱い走りを見せます。今年も超高速バトルが予想されますが、どんな戦いを見せてくれるのか、大きな注目が集まっています。

シーズン前半、不運の転倒が続き、体調が万全ではない総合10位のダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が今季初表彰台、初優勝に挑みます。前戦フランスGPでは5位。表彰台には届きませんでしたが、復調を感じさせました。これまでムジェロでは、250cc時代の05年に優勝、MotoGPクラスでは、07年に2位、08年に3位、10年の大会ではポール・トゥ・ウインを達成。12年と13年は2位とコンスタントに表彰台に立ちましたが、14年から16年までは3年連続の4位と表彰台にあと一歩届かず、昨年は転倒リタイアに終わっています。今年は5年ぶりのイタリアGP表彰台と10年大会以来の優勝に挑みます。

5戦を終えて総合8位のカル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)が、今季2勝目に挑みます。今年はシーズン序盤から好調で、第2戦アルゼンチンGPで2年ぶりの優勝を達成、第4戦スペインGPでは2年ぶりのPPを獲得するなど、随所ですばらしい速さを見せています。その一方、転倒も多くランキングでは総合8位ですが、イタリアGPでは13年大会以来の表彰台獲得を目指し巻き返しに挑みます。今大会はチームにとってホームグランプリ。クラッチローの熱い走りがファンが注目しています。

5戦を終えて総合15位のフランコ・モルビデリ(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、5戦を終えて4戦でポイント獲得と徐々にHonda RC213Vのパフォーマンスを引き出すことに成功しています。今大会は地元ファンの声援の中で、第4戦スペインGPの9位をしのぐベストリザルトに挑みます。Moto2クラスでタイトルを獲得した昨年の大会はチャンピオンシップを優先して4位でフィニッシュ。表彰台を逃しましたが、今年はニューチャレンジのシーズンとなり全力で挑みます。

総合17位の中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、第2戦アルゼンチンGPからアメリカズGP、スペインGP、フランスGPと4戦連続でポイントを獲得しました。今大会は目標とするシングルフィニッシュを目指し全力を尽くします。第4戦スペインGPの後に行われた合同テストに参加して準備はできています。チームにとってもホームグランプリとなるだけにベストフィニッシュを狙います。

5戦を終えてポイント獲得にあと一歩に迫るトーマス・ルティ(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)が、得意とするサーキットで初ポイントを目指します。Moto2時代は12年に3位、昨年の大会でも2位になっています。得意とするサーキットで初ポイント獲得が期待されます。

コメント

マルク・マルケス(MotoGP 総合1位)
「チャンピオンシップでアドバンテージのある状態でムジェロを迎えます。しかし、シーズンはまだ序盤戦であり、どの大会も接戦です。引き続き、いい感触をキープしなければなりません。フランスグランプリの前にムジェロでテストを行っているので、走り出しから安定した走りができると思います。これはいいことですが、決勝に向けてしっかり、自分のいる状況を見定めなければなりません。タイヤの選択やセットアップ、気温など、ムジェロはいつも予測がつきません。テストをしたときに比べて、今週は気温が高くなるかもしれません。そのためにも集中力を維持して、レースに向けていいことも悪いこともうまくこなしていきたいです」

カル・クラッチロー(MotoGP 総合8位)
「ル・マンは簡単な週末ではなかったのでムジェロが楽しみです。ここなら決勝に向けてかなり力強さを感じられると思います。数週間前にはここでテストをしたので、いいスタートが切れると思います。いつものようにチームはすばらしい仕事をしてくれています。そしてHRCのサポートにも感謝しています。ムジェロは僕にとって少し難しいサーキットですが、2013年には表彰台に立つことができたし、今週末、トップ3にチャレンジできない理由がありません。自分のことはわかっています。今回は戦闘的なラップタイムを刻めることはわかっているので、あとは一生懸命取り組んで、レースでそれを発揮するだけです」

ダニ・ペドロサ(MotoGP 総合10位)
「カタルニアのテストのあと1週間休みがありました。次のムジェロがとても楽しみです。ムジェロはいいサーキットです。高速コースでシケインが多く、いいセットアップを見つけるために一生懸命取り組まなければなりません。すべてのコーナーエントリーでいい感触があることがとても重要になります。5月の初めにムジェロでテストを行っているので、FP1からいいスタートが切れることを楽しみにしています。僕は、イタリアやイタリアのファンとすばらしい関係があります」

フランコ・モルビデリ(MotoGP 総合15位)
「ムジェロをMotoGPマシンで初めて走ります。Moto2のタイトルを獲得してから、ワールドチャンピオンとして初めてムジェロを訪れる特別な週末になります。ムジェロは高速でとてもテクニカルなサーキットなので、MotoGPマシンで走ることは最高の気分だと思います。今回のレースでは、ここ数レースで学んできたことを、さらに積み上げられることを願っています。そしてホームの観客の前で戦えることをとても楽しみにしています。コースに出ると彼らの応援を感じることができます。一生懸命取り組んで、いつものように集中して日曜日へ向けて正しい選択をしていきたいと思います」

中上貴晶(MotoGP 総合19位)
「ムジェロをMotoGPマシンで走ることはライダーにとっては夢だと思うので、今週末はとても楽しみです。ここ4戦はポイントを獲得してきました。この流れをキープしたいです。またトップとのギャップを縮められるように一生懸命取り組みたいです。シーズンはまだ3分の1も消化してませんが、この進歩をうれしく思います。そして、さらに上を目指して行きたいと思っています。Moto2クラスではムジェロでフロントローからスタートしたことがあるので、どうすれば速く走れるかはわかっています。3日間、チームのサポートを信頼し、しっかり走ることがベストだと思います」

トーマス・ルティ(MotoGP 総合24位)
「昨年はMoto2クラスで2位になりました。すばらしい結果でしたが、今年のイタリアGPは全く違うものになると思います。すばらしいサーキットです。このサーキットが大好きなライダーはたくさんいます。またここで走ることをとても楽しみにしています。ここをMotoGPのマシンで走る秘訣を学んでいきたいと思います。初めてのポイント獲得にだんだん近付いていることはわかっています。そしてそれが日曜日の目標になります」

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