第3戦アメリカズGPの予選は、初日から好調な走りをみせるマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が、予選でも好走し、ポールポジション(PP)を獲得しました。これで、前戦アルゼンチンGPから2戦連続、アメリカズGPでは初開催から4年連続でPPを獲得しました。これでマルケスは、MotoGPクラスで32度目。3クラス通算で60度目のPP獲得となりました。
マルク・マルケス
マルケスは、この日の午前に行われた3回目のフリー走行で2分3秒台の快速ラップで周回を重ねてライバルを圧倒。総合トップでQ2への進出を決めました。さらに、予選セッション前に行われるフリー走行でもトップタイムをマークすると、上位12台で行われるQ2でもすばらしい走りを披露、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)に集まったファンを魅了しました。アメリカズGPにおいて、4年連続でPPを獲得したことで、初開催の2013年からの4連勝と、2011年、12年のMoto2時代を含め、アメリカで行われたレースでの10連勝の達成に期待が膨らみました。
マルク・マルケス
カル・クラッチロー
初日に10番手だったカル・クラッチロー(LCR Honda)は、予選では今季ベストの6番手となりました。この日は、3回目のフリー走行で前日のタイムを約1秒更新して5番手に浮上すると、予選ではさらにタイムを短縮して上り調子をアピール。予選順位は6番手でしたが、今大会は、予選4番手のアンドレア・イアンノーネ(ドゥカティ)が、前戦アルゼンチンGPでのペナルティーで3グリッド降格のため、5番グリッドから決勝に挑みます。
カル・クラッチロー
ダニ・ペドロサ
初日8番手のダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、午前中のフリー走行で7番手、予選で8番手と、思うようにタイムを更新できませんでした。今大会はタイヤのグリップをうまく引き出せずに苦戦が続いています。引き続き、決勝日のウォームアップでセットアップにトライして、決勝に挑みます。前戦アルゼンチンGPでは、今季初表彰台となる3位。今大会は2戦連続の表彰台獲得を目指します。
MotoGPルーキーのティト・ラバト(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、セッションをこなすごとに確実にタイムを上げましたが、ポジションを上げるまでには至りませんでした。決勝は20番グリッドから、追い上げのレースに挑みます。また、チームメートのジャック・ミラー(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、午前中のフリー走行でタイムを短縮しましたが、前日の転倒で痛めた右足首が悪化したことから、予選をキャンセルし、今大会の欠場を決めました。
ダニ・ペドロサ
Moto2クラスは、アレックス・リンス(Paginas Amarillas HP 40)がPPを獲得。以下、1秒差に8台という戦いとなりました。シーズン序盤の2戦に比べると、台数としてはそれほど接戦ではありませんでしたが、PPのリンスから7番手までが0.376秒差というし烈なものとなりました。
アレックス・リンス
アレックス・リンス
その厳しい戦いを制したリンスは、初日から好調な走りで着実にセッティングを進めました。この日も、午前のフリー走行は、セッション中盤に雨が降ったため9番手タイムで終えましたが、ドライコンディションになった午後の予選では、唯一2分8秒台に入れる走りで今季初、昨年の第16戦オーストラリア大会以来、5戦ぶりのPP獲得となりました。決勝では今季初の優勝に期待が集まります。
ヨハン・ザルコ
サム・ロース
2番手にはヨハン・ザルコ(Ajo Motorsport)。今大会の予選では、好調な走りをするリンスには届きませんでしたが、決勝では第2戦アルゼンチンGPからの2連勝を狙います。3番手にはサム・ロース(Federal Oil Gresini Moto2)で、開幕から3戦連続でフロントローを獲得しました。以下、ドミニク・エガーター(CarXpert Interwetten)、トーマス・ルティ(Garage Plus Interwetten)と続き、中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)が6番グリッドを獲得しました。
開幕戦カタールGP、第2戦アルゼンチンGPと調子を上げている中上は、今季最高の仕上がりと万全の状態。決勝では今季初の表彰台を狙います。
中上貴晶
Moto3クラスは、レインタイヤでセッションが始まり、途中でスリックタイヤにスイッチするも、再び雨が降るという不安定な天候の中で行われました。スリックタイヤにチェンジするタイミングなど、ライダーとチームの判断、そして運にも左右される予選となりましたが、今大会好調のホルヘ・ナバロ(Estrella Galicia 0,0)が2番手、エネア・バスティアニーニ(Gresini Racing Moto3)が3番手と、2台のHonda勢がフロントローを獲得しました。
Honda勢は以下、ヤコブ・コーンフェール(Drive M7 SIC Racing Team)が4番手、前戦アルゼンチンGPで表彰台争いをしながら、転倒して脱落したアダム・ノロディン(Drive M7 SIC Racing Team)が6番手、ジュール・ダニーロ(Ongetta-Rivacold)が8番手、リビオ・ロイ(RW Racing GP BV)が10番手と、トップ10に6台のHonda勢が名を連ねました。
午前中のフリー走行で好調な走りをするも、転倒を喫して右足を負傷した尾野弘樹(Honda Team Asia)は、痛め止めとテーピングで処置をして16番グリッドを獲得。前戦アルゼンチンGPで優勝したカイルール・イダム・パウィ(Honda Team Asia)は、初めて経験するサーキットと難しいコンディションに翻ろうされて32番手でした。決勝は追い上げのレースに挑みます。
ホルヘ・ナバロ
ホルヘ・ナバロ
アレックス・リンス(Moto2 ポールポジション)
「今日はポールポジションを獲得することができました。前回のレースは11番グリッドからの少し難しいスタートだったので、ポールポジションからスタートできることは重要なことです。また、マシンが快適なことも重要です。マシンもコースも楽しんでいます。明日のレースがどうなるか楽しみです。サム(ロース)やヨハン(ザルコ)も一生懸命プッシュしてくると思いますが、ベストを尽くします」
ヨハン・ザルコ(Moto2 2番手)
「今日は予選セッションの最初に問題がありましたが、転倒車が出て赤旗中断したときに、集中力を取り戻すことができました。新品タイヤで最後のアタックに出て、フロントローを獲得できました。これはとても重要なことです。レースは難しいと思います。特にスローコーナーのバトルが厳しいと思います。アレックス(リンス)と一緒にトップグループを形成したいです。なぜなら、彼はこのサーキットがとても好きで、彼は優勝を狙っているから。僕も勝ちたいし、また勝てるようにベストを尽くします」
サム・ロース(Moto2 3番手)
「フロントローに並べてとてもうれしいです。(アレックス)リンスはいいペースで走っていますが、僕もそれほど離れていません。マシンは快適です。そして、このサーキットはとても好きなので、明日もいい走りができると思います。明日は序盤でトラブルに巻き込まれないようにすることが重要になります。そして、いいペースをキープしなければなりません。明日の午前中のウォームアップではなにか別のことを試したいです。明日はいい結果を狙えるレースです」
ホルヘ・ナバロ(Moto3 2番手)
「予選のコンディションは難しく、限界を判断するのがとても難しかったです。新品のスリックタイヤを使いましたが、路面が滑りやすく、思うように走れませんでした。しかし、最終的に2番手になれたのでうれしいです。明日は自分のレースができるように、準備を整えたいです」
エネア・バスティアニーニ(Moto3 3番手)
「とても難しい予選でした。アスファルトがとても濡れているように見えましたが、思ったよりも乾いていることが分かったので、スリックタイヤに変えて走りました。僕たちの判断はとてもよかったと思います。予選でしばらく、いい結果を出せていなかったので、フロントローを獲得できて、僕もチームもとても安心しました。トップグループにいるためには、安定したペースをキープする必要があります。いい結果を出せるようにベストを尽くします」
尾野弘樹(Moto3 16番手)
「フリー走行の終盤に8コーナーで転倒し、右足の甲を骨折してしまいました。昨年、チェコGPの決勝で痛めた部分です。メディカルチェックを受けて予選の出場許可が下りたので、痛み止めを飲み、テーピングを施して走りました。右コーナーがつらいですが、予選もなんとか走れたので、決勝も痛み止めとテーピングをして出場します。調子がよかったし、転倒するまでトップ5につけていたので残念です。明日は一つでもポジションを上げられるようにがんばります」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | 93 | マルク・マルケス | ![]() | 2'03.188 |
2 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | 2'03.257 |
3 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | 2'03.644 |
4 | 29 | A.イアンノーネ | ドゥカティ | 2'03.913 |
5 | 25 | M.ビニャーレス | スズキ | 2'04.247 |
6 | 35 | カル・クラッチロー | ![]() | 2'04.265 |
7 | 4 | A.ドヴィツィオーゾ | ドゥカティ | 2'04.339 |
8 | 26 | ダニ・ペドロサ | ![]() | 2'04.379 |
9 | 41 | A.エスパルガロ | スズキ | 2'04.408 |
10 | 45 | S.レディング | ドゥカティ | 2'04.485 |
11 | 38 | B.スミス | ヤマハ | 2'04.988 |
12 | 76 | L.バズ | ドゥカティ | 2'05.159 |
13 | 44 | P.エスパルガロ | ヤマハ | 2'04.867 |
14 | 8 | H.バルベラ | ドゥカティ | 2'04.944 |
15 | 50 | E.ラバティ | ドゥカティ | 2'05.425 |
16 | 6 | S.ブラドル | アプリリア | 2'05.625 |
17 | 51 | M.ピロ | ドゥカティ | 2'05.702 |
18 | 68 | Y.ヘルナンデス | ドゥカティ | 2'06.029 |
19 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | 2'06.049 |
20 | 53 | ティト・ラバト | ![]() | 2'06.562 |
21 | 43 | ジャック・ミラー | ![]() | 2'05.684 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 40 | アレックス・リンス | KALEX | 2'08.850 |
2 | 5 | ヨハン・ザルコ | KALEX | +0.216 |
3 | 22 | サム・ロース | KALEX | +0.250 |
4 | 77 | ドミニク・エガーター | KALEX | +0.313 |
5 | 12 | トーマス・ルティ | KALEX | +0.321 |
6 | 30 | 中上貴晶 | KALEX | +0.356 |
7 | 94 | ジョナス・フォルガー | KALEX | +0.376 |
8 | 24 | シモーネ・コルシ | SPEED UP | +0.571 |
9 | 21 | フランコ・モルビデリ | KALEX | +1.060 |
10 | 11 | サンドロ・コルテセ | KALEX | +1.090 |
11 | 60 | フリアン・シモン | SPEED UP | +1.149 |
12 | 7 | ロレンソ・バルダッサーリ | KALEX | +1.162 |
13 | 23 | マルセル・シュローター | KALEX | +1.189 |
14 | 39 | ルイス・サロム | KALEX | +1.253 |
15 | 49 | アクセル・ポンス | KALEX | +1.386 |
16 | 52 | ダニー・ケント | KALEX | +1.424 |
17 | 55 | ハフィズ・シャーリン | KALEX | +1.442 |
18 | 19 | ザビエル・シメオン | SPEED UP | +1.449 |
19 | 54 | マティア・パシーニ | KALEX | +1.525 |
20 | 44 | ミゲル・オリベイラ | KALEX | +1.555 |
21 | 73 | アレックス・マルケス | KALEX | +1.568 |
22 | 10 | ルカ・マリーニ | KALEX | +1.603 |
23 | 97 | チャビ・ビエルゲ | TECH 3 | +1.855 |
24 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | KALEX | +1.884 |
25 | 32 | アイザック・ビニャーレス | TECH 3 | +2.447 |
26 | 2 | イェスコ・ラフィン | KALEX | +2.689 |
27 | 70 | ロビン・マルホウザー | KALEX | +3.352 |
28 | 33 | アレッサンドロ・トヌッチ | KALEX | +3.951 |
29 | 8 | エフレン・バスケス | SUTER | +4.112 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 65 | P.エッテル | KTM | 2'18.398 |
2 | 9 | ホルヘ・ナバロ | ![]() | +0.587 |
3 | 33 | エネア・バスティアニーニ | ![]() | +0.598 |
4 | 84 | ヤコブ・コーンフェール | ![]() | +0.670 |
5 | 5 | R.フェナティ | KTM | +0.737 |
6 | 7 | アダム・ノロディン | ![]() | +1.071 |
7 | 55 | A.ロカテリ | KTM | +1.310 |
8 | 95 | ジュール・ダニーロ | ![]() | +1.392 |
9 | 20 | F.クアルタラロ | KTM | +1.720 |
10 | 11 | リビオ・ロイ | ![]() | +1.832 |
11 | 8 | N.ブレガ | KTM | +2.046 |
12 | 41 | B.ビンダー | KTM | +2.058 |
13 | 24 | 鈴木竜生 | マヒンドラ | +2.101 |
14 | 58 | J.ゲバラ | KTM | +2.251 |
15 | 10 | A.マスボー | プジョー | +2.375 |
16 | 76 | 尾野弘樹 | ![]() | +2.753 |
17 | 17 | J.マクフィー | プジョー | +2.761 |
18 | 21 | F.バグナイア | マヒンドラ | +2.911 |
19 | 98 | K.ハニカ | マヒンドラ | +2.981 |
20 | 88 | J.マルティン | マヒンドラ | +3.088 |
21 | 16 | A.ミニョ | KTM | +3.559 |
22 | 44 | アーロン・カネット | ![]() | +3.834 |
23 | 64 | B.ベンドスナイダー | KTM | +3.853 |
24 | 19 | G.ロドリゴ | KTM | +4.289 |
25 | 77 | L.ペトラルカ | マヒンドラ | +4.396 |
26 | 40 | D.ビンダー | マヒンドラ | +4.699 |
27 | 6 | M.エレーラ | KTM | +5.063 |
28 | 43 | S.バルトリーニ | マヒンドラ | +5.097 |
29 | 36 | J.ミル | KTM | +5.180 |
30 | 23 | ニッコロ・アントネッリ | ![]() | +5.981 |
31 | 4 | ファビオ・ディ・ジャンアントニオ | ![]() | +6.079 |
32 | 89 | カイルール・イダム・パウィ | ![]() | +6.242 |
マルク・マルケス(MotoGP ポールポジション)
「ポールポジションを獲得できてとてもうれしいです。ここアメリカでは、フィーリングがよくて気持ちよく乗れています。しかし、予選では完ぺきなアタックとはならず、ヤマハの2人と接近戦になっているので、明日はミスをしないよう、ベストを尽くします。レースウイークの全体的な進み具合には満足しています。コースに出るたびに、マシンの感触が少しずつよくなりました。レースに向けてのペースもよく、戦闘力がありそうです。タイヤはとてもうまく機能しています。しかしオースティンでも、いつものように正しいタイヤを選択することがとても重要です。体力的にも、ペース的にも厳しいレースになると思います。しかし、マシンの状態がよく快適に走れているので、優勝争いができると思います」
カル・クラッチロー(MotoGP 6番手)
「今日はいい一日になりました。チームが最高の仕事をしてくれました。FP3でメカニカルな問題が少しあったので、FP4ではマシンを完全に変えなければなりませんでした。そのため、予選ですべてを出しきるのは難しかったのですが、ベストを尽くしました。ペースは悪くないので、明日のレースが楽しみです。いい戦いができると思います。スタートで速いライダーたちについていくためにも、2列目に並べてよかったです」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 8番手)
「今週はここまでのところ、厳しい戦いが続いています。一生懸命取り組んでいるのですが、グリップのレベルに問題があり、速く走ることができません。午後はハードタイヤを試しましたが、ベストの走りができる状態ではありませんでした。マシンにとって最良のセットアップを見つけるのに苦戦しています。引き続きレースに向けて、一生懸命がんばります。いいスタートを切るためには、本当に集中しなければなりません」
ティト・ラバト(MotoGP 20番手)
「すべてのセッションで前進し、速くなっているのですが、思うような結果を残せませんでした。一番の問題は、加速時のマシンに安定性がないこと。シケインの切り返しの感触はいいです。しかし、スロットルを開けるとタイムをロスします。このようなコーナーが4つあり、今はまだ、プッシュしてリスクを負える状態ではありません。ほかのライダーたちのやり方を見ているのですが、もっと速く走れるようにセットアップする必要があります」
ジャック・ミラー(MotoGP 欠場)
「このサーキットは本当に体力が必要です。周回するごとに痛みがひどくなってきたので、大事をとってレースをあきらめることにしました。理学療法や痛み止めの注射を打つなどして、FP4に向けてすべて試しましたが、効果はありませんでした。チームには申し訳なく思っています。今は、次のスペインGPに出られるよう治療に専念します。運がありませんでした。プラクティスセッションで、冷えたタイヤでプッシュしすぎるとどうなるかを学びました。痛みのほとんどは足首からきています。足を打ったときに、古傷のプレートを止めているスクリューが動いてしまったのかもしれません」