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October 23 2015, PRACTICE MotoGP Shell Malaysia Motorcycle Grand Prix
マレーシアGP
2015年10月23日(金)・1日目フリー走行 会場:セパン・サーキット
天候:晴れ 気温:35℃ コースコンディション:ドライ
3連戦最後の大会となる第17戦マレーシアGPのフリー走行は、インドネシアの森林火災などによる煙害のため、終日、霧のかかったような状態の中で行われました。そのため、強い日差しは遮られたままでしたが、気温も湿度も高く、選手たちにとっては、体力的にハードな一日となりました。
その中で今季2勝目に闘志を燃やすダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が、1回目の走行でトップタイムをマーク、2回目の走行でも2番手と好調なスタートを切りました。午前中の走行は30℃。午後は35℃まで上昇しました。ライダーにもタイヤにも厳しいコンディションとなりましたが、このサーキットで行われたウインターテストのデータを確認しながら、着実にセットアップを進めました。予選では今季初のポールポジション(PP)への期待が膨らみます。
マレーシアGP2連覇と今季6勝目を狙うマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、ウインターテストで1分58秒台のすばらしいタイムをマークしていますが、シーズン中にシャーシーが変わったため、一からのセットアップになりました。しかし、2回のセッションでは、トップのホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)と0.226秒差。ペドロサと0.179秒差の3番手と、今季9回目のPPと今季6勝目に向けて前進する一日となりました。
カル・クラッチロー(LCR Honda)は6番手とまずまずのスタートを切りました。前戦オーストラリアGPでも予選5番手、決勝ではペドロサとバトルを繰り広げ、最終的に7位でしたが、今回のフリー走行でも好調をアピールしました。今大会は今季2度目の表彰台が期待できます。
スコット・レディング(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)も1回目のセッションで5番手と好調なスタートを切り、総合でも9番手で初日を終えました。この日はウインターテストのデータが生きたというレディング。2日目は電子制御の調整に取り組み、Q2進出を目指します。
以下、Hondaのオープン車「RC213V-RS」で出場のユージン・ラバティ(Aspar MotoGP Team)が16番手、ニッキー・ヘイデン(Aspar MotoGP Team)が17番手。ジャック・ミラー(LCR Honda)が20番手、ケガで欠場のカレル・アブラハム(AB Motoracing)の代役として出場のアンソニー・ウエストは24番手でした。
Moto2クラスは、トーマス・ルティ(Derendinger Racing Interwetten)が順調にセットアップを進め、トップタイムをマークしました。以下、1秒差以内に12台という接戦になり、ジョナス・フォルガー(AGR Team)が2番手、新チャンピオンのヨハン・ザルコ(Ajo Motorsport)が3番手と続きました。前戦オーストラリアGPで予選7番手、決勝7位に終わったザルコは、予選と決勝の双方でその雪辱に挑みます。
今季2度目の表彰台を狙う中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)は6番手。ホームGPを迎えるアズラン・シャー・カマルザマン(IDEMITSU Honda Team Asia)が13番手でした。
Moto3クラスは、タイトル王手のダニー・ケント(LEOPARD Racing)がトップタイムをマークしました。初日にトップタイムをマークしたときは、優勝争いに加わることが多いケントだけに、今季7勝目への期待が膨らみます。ホルヘ・ナバロ(Estrella Galicia 0,0)が4番手、エフレン・バスケス(LEOPARD Racing)が5番手。ニッコロ・アントネッリ(Ongetta-Rivacold)は7番手、2戦ぶりに復帰の尾野弘樹(LEOPARD Racing)が8番手で初日を終えました。
MotoGP
順位 | No. | ライダー | マシン | F/O | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | F | 2'00.246 |
2 | 26 | ダニ・ペドロサ | Honda | F | +0.047 |
3 | 93 | マルク・マルケス | Honda | F | +0.226 |
4 | 29 | A.イアンノーネ | ドゥカティ | F | +0.240 |
5 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | F | +0.669 |
6 | 35 | カル・クラッチロー | Honda | F | +0.793 |
7 | 41 | A.エスパルガロ | スズキ | F | +0.812 |
8 | 4 | A.ドヴィツィオーゾ | ドゥカティ | F | +0.881 |
9 | 45 | スコット・レディング | Honda | F | +0.972 |
10 | 9 | D.ペトルッチ | ドゥカティ | F | +1.352 |
11 | 8 | H.バルベラ | ドゥカティ | O | +1.370 |
12 | 25 | M.ビニャーレス | スズキ | F | +1.550 |
13 | 44 | P.エスパルガロ | ヤマハ | F | +1.604 |
14 | 38 | B.スミス | ヤマハ | F | +1.855 |
15 | 6 | S.ブラドル | アプリリア | F | +1.872 |
16 | 50 | ユージン・ラバティ | Honda | O | +2.180 |
17 | 69 | ニッキー・ヘイデン | Honda | O | +2.181 |
18 | 68 | Y.ヘルナンデス | ドゥカティ | F | +2.308 |
19 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | F | +2.380 |
20 | 43 | ジャック・ミラー | Honda | O | +2.890 |
21 | 63 | M.ディ・ミリオ | ドゥカティ | O | +3.148 |
22 | 76 | L.バズ | YAMAHA FORWARD | O | +3.183 |
23 | 24 | T.エリアス | YAMAHA FORWARD | O | +3.464 |
24 | 13 | アンソニー・ウエスト | Honda | O | +4.646 |
25 | 55 | D.カドリン | ART | F | +6.716 |
※F=ファクトリーオプション、O=オープンカテゴリー
Moto2
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 12 | トーマス・ルティ | KALEX | 2'07.453 |
2 | 94 | ジョナス・フォルガー | KALEX | +0.267 |
3 | 5 | ヨハン・ザルコ | KALEX | +0.285 |
4 | 22 | サム・ロース | SPEED UP | +0.417 |
5 | 40 | アレックス・リンス | KALEX | +0.495 |
6 | 30 | 中上貴晶 | KALEX | +0.736 |
7 | 11 | サンドロ・コルテセ | KALEX | +0.806 |
8 | 73 | アレックス・マルケス | KALEX | +0.847 |
9 | 36 | ミカ・カリオ | SPEED UP | +0.891 |
10 | 49 | アクセル・ポンス | KALEX | +0.896 |
11 | 3 | シモーネ・コルシ | KALEX | +0.921 |
12 | 39 | ルイス・サロム | KALEX | +0.931 |
13 | 25 | アズラン・シャー・カマルザマン | KALEX | +1.050 |
14 | 21 | フランコ・モルビデリ | KALEX | +1.162 |
15 | 60 | フリアン・シモン | SPEED UP | +1.218 |
16 | 19 | ザビエル・シメオン | KALEX | +1.223 |
17 | 7 | ロレンソ・バルダッサーリ | KALEX | +1.346 |
18 | 55 | ハフィズ・シャーリン | KALEX | +1.582 |
19 | 88 | リカルド・カルダス | SUTER | +1.844 |
20 | 96 | ルイス・ロッシ | TECH 3 | +2.002 |
21 | 4 | ランディ・クルメンナッハ | KALEX | +2.072 |
22 | 23 | マルセル・シュローター | TECH 3 | +2.128 |
23 | 10 | ティティポン・ワロコーン | KALEX | +2.461 |
24 | 2 | イェスコ・ラフィン | KALEX | +2.663 |
25 | 57 | エドガー・ポンス | KALEX | +2.732 |
26 | 70 | ロビン・マルホウザー | KALEX | +2.855 |
27 | 66 | フロリアン・アルト | SUTER | +3.082 |
28 | 97 | チャビ・ビエルゲ | TECH 3 | +3.191 |
29 | 16 | ジョシュ・フック | KALEX | +3.916 |
30 | 93 | ラムダン・ロスリ | KALEX | +4.077 |
Moto3
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 52 | ダニー・ケント | Honda | 2'13.715 |
2 | 44 | M.オリベイラ | KTM | +0.191 |
3 | 5 | R.フェナティ | KTM | +0.367 |
4 | 9 | ホルヘ・ナバロ | Honda | +0.400 |
5 | 7 | エフレン・バスケス | Honda | +0.469 |
6 | 41 | B.バインダー | KTM | +0.612 |
7 | 23 | ニッコロ・アントネッリ | Honda | +0.629 |
8 | 76 | 尾野弘樹 | Honda | +0.671 |
9 | 32 | I.ビニャーレス | KTM | +0.703 |
10 | 84 | J.コーンフェール | KTM | +0.704 |
11 | 98 | K.ハニカ | KTM | +0.766 |
12 | 17 | ジョン・マクフィー | Honda | +0.785 |
13 | 63 | Z.カイルディン | KTM | +0.948 |
14 | 88 | J.マルティン | マヒンドラ | +1.111 |
15 | 21 | F.バグナイア | マヒンドラ | +1.125 |
16 | 95 | ジュール・ダニーロ | Honda | +1.354 |
17 | 10 | アレックス・マスボー | Honda | +1.399 |
18 | 65 | P.エッテル | KTM | +1.506 |
19 | 33 | エネア・バスティアニーニ | Honda | +1.539 |
20 | 16 | A.ミニョ | KTM | +1.553 |
21 | 11 | リビオ・ロイ | Honda | +1.582 |
22 | 91 | G.ロドリゴ | KTM | +1.785 |
23 | 24 | 鈴木竜生 | マヒンドラ | +2.217 |
24 | 58 | J.ゲバラ | マヒンドラ | +2.261 |
25 | 2 | R.ガードナー | マヒンドラ | +2.264 |
26 | 48 | L.ダラ・ポルタ | ハスクバーナ | +2.302 |
27 | 96 | M.パリャーニ | マヒンドラ | +2.307 |
28 | 29 | S.マンジ | マヒンドラ | +2.371 |
29 | 40 | D.ビンダー | マヒンドラ | +2.464 |
30 | 19 | A.トヌッチ | マヒンドラ | +2.922 |
31 | 6 | M.エレーラ | ハスクバーナ | +3.149 |
32 | 22 | A.カラスコ | KTM | +3.328 |
33 | 55 | アンドレア・ロカテリ | Honda | +4.628 |
ダニ・ペドロサ(MotoGP 2番手)
「今日はタイヤテストとマシンのセットアップに集中しました。路面コンディションを見ながら、ウインターテストで得たデータが、今大会に役に立つのかどうかを確認した一日でした。今日のデータを分析しながら、引き続き、日曜日の決勝レースに向けて、どのタイヤがいいのかをテストしていかなければなりません」
マルク・マルケス(MotoGP 3番手)
「セパンではすでにテストを行っていますが、今大会はテストとは違う状態で挑みます。今日は、このサーキットのベースセッティングでスタートしましたが、あまり機能はせず、一からセットアップを進めました。路面のグリップは、まだ完全ではありません。しかし、グリップは徐々によくなっていくと思いますし、セットアップに全力を尽くします。大事なことは、今日はホルヘ(ロレンソ)とダニ(ペドロサ)とそれほど変わらないペースで走れたということです。明日も引き続き、セットアップに集中します」
カル・クラッチロー(MotoGP 6番手)
「今日はフリー走行1回目で軽い転倒を喫し、時間もロスしてしまい、いいスタートを切れませんでした。午後のセッションでは、ハード側のリアタイヤを使って走りました。タイヤの余熱に問題を抱えましたが、最終的にラップタイムを更新できました。そして最後は、ソフト側のタイヤを使って今日のベストタイムをマークしました。タイム的にはまだ遅れているので、明日のセッションでさらによくなるようにしたいです」
スコット・レディング(MotoGP 9番手)
「今日はいい一日でした。午前中は、ウインターテストのセッティングで走ったのですが、それがとてもよかったです。しかし、若干、電子制御の変更が必要となり、その作業を続けました。午後のセッションは、気温が上がり、フロントは油の上を走っているようなフィーリングでした。しかし、全体的にそれほど悪くはなく、一日を通じて、気持ちよく走ることができました。明日は、タイヤライフを延ばすための電子制御の調整に取り組みます。そしてラップタイムを改善できるようにがんばります」
ユージン・ラバティ(MotoGP 16番手)
「午前中のセッションは、ブレーキングポイントとバンピーな路面に問題を抱え、全く安心感を感じられませんでした。しかし、午後のセッションでは、その二つの問題を解消できました。ウインターテストを行ったサーキットに戻り、自分たちがどれだけ進歩したかを知るのは、すばらしいことです。今年はウインターテストから第3戦アルゼンチンGPまでは、レースをしている気持ちになれませんでしたが、そのころとはまるで違います。今日はとても暑くて、午後のセッションでは息切れを感じました。子どものときに喘息だったのですが、それと関係ないことを願っています。他のライダーたちと話しても、今週は体力的に相当厳しいレースになりそうです」
ニッキー・ヘイデン(MotoGP 17番手)
「順調なスタートでした。午前中のセッションは、コースに出るたびにセットアップを進めることができました。フィーリングもタイムも悪くありません。路面コンディションも初日の1回目としては、それほど悪い感じはしませんでした。しかし、午後のセッションは、気温が上がったこともあり、難しいコンディションになりました。最初はユーズドタイヤでコースインしたのですが、思うように走れませんでした。しかし、新品のタイヤを装着してタイムを上げることができました。今日はフロントのチャタリングと暑いときのグリップの改善に努めました。明日も引き続き改善したいです」
ジャック・ミラー(MotoGP 20番手)
「今日は、マシンの状態はよく、思っていたほどは苦戦しませんでした。それだけに今日の結果には満足できません。よいセットアップを見つけるためにチームは全力で働いてくれました。しかし、先週のオーストラリアGPより悪い結果だったので、少し期待外れに終わりました。明日はビッグステップを刻めるようにがんばります」
トーマス・ルティ(Moto2 1番手)
「今日は2セッションともによいフィーリングで走れました。暑くなった午後は、タイムも更新でき、とてもよかったです。明日は、もう少しペースを上げるために、リアのグリップを改善していきたいです。明日も引き続きセットアップに集中したいです」
ヨハン・ザルコ(Moto2 3番手)
「オーストラリアGPでは表彰台に立てず、とても残念でした。タイトルを獲得した日本GPの後だっただけに、本当に残念でした。今日は、ハードとソフトの両方のタイヤを試し、順調にセットアップを進めることができました。タイトルを獲得したので、残り2戦はスイッチを切り替えていきます。もちろん今回は優勝を目標にがんばります」
中上貴晶(Moto2 6番手)
「今日はとても暑くて、体力的に厳しい一日でした。コンディションはそれほど悪くはなかったのですが、暑かったためか、全体的にタイムは伸びませんでした。しかし、トップの(トーマス)ルティは7秒台前半に入っているので、明日は7秒台に入れなければなりません。今回はハード側のタイヤの方がフィーリングはよかったです。明日は、フロントのチャタリングなどフロントのセッティングを決めて、リヤのグリップの改善もしていきたいです」
ダニー・ケント(Moto3 1番手)
「全体的によい一日になりました。金曜日に調子がいいときは、常にいいレースができているので、すばらしいスタートが切れました。最初のセッションから気持ちよく乗ることができました。暑くなった午後のセッションでは、コーナーリングをさらによくしようとセッティングを変更しました。それがうまくいかず、軽い転倒を喫しました。再スタートを切ることができてピットに戻り、マシンをチェックして走行を続けることができました」
ホルヘ・ナバロ(Moto3 4番手)
「今日は順調にセットアップを進めることができました。よい状態でレースウイークをスタートして、それからセットアップをしっかりまとめていくというのが、いつもの目的なのでとてもうれしいです。ペースはよかったです。暑くなった午後はソフト側のタイヤを使わなかったので、ちょっと安定性に欠けました。しかし、それはみんな同じです。初日としては、すばらしいスタートになりました。この調子で明日もがんばりたいです」
エフレン・バスケス(Moto3 5番手)
「最初のセッションからいいスタートが切れ、いい一日になりました。午前も午後も、リズムのある走りができました。もっとも重要なのは、気温が上がった午後になって、さらにセットアップを進めることができたことでした。明日もこの調子でセットアップを進めたいです。そして、いいレースウイークにしたいです」
尾野弘樹(Moto3 8番手)
「セパンはアジアドリームカップで一度も負けたことがなく、自信のあるサーキットです。午前中はあまりフィーリングがよくなかったのですが、午後はセットアップをツインリンクもてぎの状態に戻し、とても気持ちよく乗ることができました。しかしセッション終盤、集団の中で走っているときに9コーナーでハイサイドで転倒し、左手の薬指をケガしました。骨には異常がないので走ることはできますが、痛みがあります。転倒は自分のミスだったので、明日はそのミスをばん回できるようにしたいです」