モータースポーツ > もてぎ1.5チャレンジカップ > 第2回 ヴィッツチャンピオン渡辺圭介 かく戦えり
カントク兼セカンドドライバー
ゴッツ(後藤比東至)
レース参戦に人生をかける自動車雑誌&ウェブサイトの編集者。13年はもてぎ1.5CCのほか、スーパー耐久(ST5)、86/BRZレース、ニュル24時間に参戦予定。ブログ「MINIと86ときどきニュル」をときどき(!)更新中。
もてぎ1.5チャレンジカップは、ナンバー付きヴィッツレース用車両を若干仕様変更すれば比較的低予算で参戦できるため、ヴィッツからのステップアップには絶好のカテゴリーだ。
「ヴィッツチャンピオンが参戦すれば、ほかのヴィッツレーサーたちのいい刺激になって参戦台数が増えるかも」。
これが今シーズン2戦開催されるスプリントレースに渡辺選手を選んだ表向きの理由だ。
えっ? じゃあウラの理由はって?
彼は応募書類の自己アピール欄に「小排気量のFF車なら誰にも負けない自信があります!」と書いてきた。その自信満々な挑戦状に、今回はスプリントレースのためカントク専任で出番のないボクはカチンときたわけ。
「そこまで言うなら見せてもらおうじゃないの!」。
今思えば、彼の自己アピールにまんまと乗せられたということ。
JOY耐の練習会でヴィッツチャンピオンのお手並み拝見となった。
彼は終始ニコニコ、緊張した様子もなくコースインしていく。
そして計測1周目。
「……」。
カントクのボクと変わらないタイムで走る。1年間ずっとこのフィットに乗ってきたボクに対して、彼はその日が初乗りなのに、だ。
「FF小排気量なら誰にも負けない」はハッタリではなかった。
「M&S Cam+GPS」で車載映像をチェックしてみると、彼の走りは正確そのもの。毎ラップ同じラインをきっちりトレースする。さらにコーナーへの進入速度、ボトムスピードに対するセンスが抜群なのだ。
また、今回からECU(J'sレーシング)とエキマニをバージョンアップして、50号車の戦闘力は前戦までと比べて飛躍的にアップした。そう、ようやくトップグループに追いついたというわけだ。これはもしかするかも……。
とはいえ、他のドライバーたちにとってみれば、ぽっと出てきたヴィッツチャンピオンに負けるわけにはいかない。ということは……面白くなってきたぞ〜。
迎えたレースウイーク。土曜日の練習走行で、ヴィッツチャンピオンは堂々のトップタイムをマークする。
ボクたちはもう驚かないが、まわりの注目が一気に50号車に集まる。
そして予選。惜しくも100分の6秒差の2番手。
「あ〜っ、残念」なんて言いながらも、ピットは正直大満足だったが、戻って来た渡辺選手は本気で悔しがっている。
聞くと、各セクターをベストベストでつないでいた、タイヤが一番おいしいラップの90度コーナーで飛び出してしまったという。
えっ? それで2番手って……。
決勝でも観せてくれた。
ロケットスタート炸裂でいきなりトップに立つ。
「コレ、このままいっちゃうんじゃない?」と思った瞬間、1周目のV字コーナー立ち上がりでシフトミスして3番手に後退。
結果は、なんとか予選順位をキープしての2位表彰台。もっとも普通ならできすぎの結果なのだが……。
いつもニコニコしていてマイペース、オタクっぽいところがあるかと思えば、ドライビングは本物、裏付けのある自信にあふれる渡辺選手だが、予選決勝ともに痛恨のミスをひとつずつやらかした。やはりプレッシャーがあったのだろう。
9月の第4戦はポール・トゥ・フィニッシュも夢じゃない。もっとも敵もそうやすやすとは勝たせてはくれないと思うけど……カントク専任も意外に楽しい。
致命的なミスがふたつ。
9月は必ずリベンジします!
優勝できなかったこと、ポールポジションを取れなかったこと、どちらもチャンスが目の前にあっただけに本当に悔しい気持ちでいっぱいです。はじめてフィットに乗って感じたのは、ヴィッツに比べると、パワーは圧倒的にあるけれどコーナリングはそれほど差がないですね。あとは脚が硬くてコーナリング中に跳ねてしまうことと、車高が低いため縁石を飛び越える走りができないということ。ステアリング舵角を多くした方が曲がるということに気がついて、少し多く切るイメージで走りました。
スタートは今までのレースのなかでもダントツだったと思います。トップに出て舞い上がってしまいました。でもピストンさんとギリギリのバトルをさせてもらえて楽しかったです。とにかく自分のミスで落としたレースでした。ヴィッツのレースを間に挟むので「プレッシャー」に強くなれるようさらに努力して、秋は勝ちます!
渡辺圭介
2011年ネッツカップヴィッツレース東北シリーズチャンピオン
2012年ネッツカップヴィッツレース北海道シリーズチャンピオン
POTENZA RE-11Sに秘策アリ!
渡辺圭介選手(左)はうれし&悔しい2位表彰台。優勝は大谷飛雄選手(中)、3位はピストン西沢選手(右)。実は今回、50号車はPOTENZA RE-11Sのタイヤチョイスに秘策があった。フロントに195/50R15のRS(ソフト)、リヤに185/55R15のRH(ハード)という、前後異サイズ異コンパウンドをチョイスしたのがバッチリはまり、よく曲がってトラクションもしっかりかかるクルマに。ちなみにライバルたちはほとんど前後同サイズのハードコンパウンドをチョイスしていた様子