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トライ中の藤波、序盤戦の戦い
セクションを下見中の藤波(左)と小川(右)
同点でポイントリーダー、3位小川の走り
大岩の第2セクションで華麗にマシンをコントロールする2位藤波
全日本トライアル選手権
中部・坂内
[2002.10.13]
JTRレースレポート 
第6戦 中部・坂内
2002年 10月13日開催  
天候:晴れ 気温:23℃ 観客:1,500人
藤波貴久はペースをつかめず、惜しくも2位
小川友幸は3位入賞で黒山とランキング同ポイント

全日本シリーズも後半戦。藤波貴久(Honda)の活躍と、小川友幸(Honda)、黒山健一(Beta)のチャンピオン争いに興味が集まった。前回4位と低迷してあとがない黒山は今回の戦いに全身全霊をかけて挑んだ。藤波は最後まで自分のペースをつかめず、黒山に4点差の2位に甘んじた。5点差でランキングトップにつけていた小川は3位入賞したが、黒山が優勝したためポイント差を縮められ、最終戦1戦を残してランキングポイントは同点となっている。

藤波貴久(Honda)が帰国以来、快調に勝ちパターンを続けている全日本選手権。藤波は前半3戦を欠場したため今年度のチャンピオンシップ獲得は絶望的となっていて、出場する大会すべてで優勝することが目標となっている。一方タイトル争いは、第1戦で優勝した小川友幸(Honda)が黒山健一(Beta)を5点リードして終盤戦を迎えている。小川は第1戦以来2位と3位に甘んじているが、黒山は4位や5位に低迷したリザルトが災いして、小川のランキングポイントを詰め寄ることができないでいる。

中部大会は、いつもの3ラップ制とは趣きを変え、2ラップ制で開催される。その代わり、いつもより1ラップあたりのセクションが多く、国際A級スーパークラスは15セクション。持ち時間は5時間半。つまり、世界選手権と同じセクション数、持ち時間というわけだ。

この大会前までの藤波のランキングは8位。スタートは4番手となる。ランキングトップの小川とは、約5分の差がある。仮に小川が持ち時間をめいっぱい使って試合を進行し、その小川のペースに藤波が合わせれば、藤波は5分5点のペナルティを加算されることになる。

第1セクション、40分ほどの長い下見の末にトライした藤波が大岩に飛びつきざまに足を出し、このセクション3点。小川もここで3点を喫し、クリーンでここを通過した黒山と野崎史高(Scorpa)を追う展開となった。いつもなら、藤波は大きなミスなく試合を運び、黒山のミスを誘って勝利に結びつけていく。この日も、こんな展開となることが予想されたのだが……。

この日の藤波は、少しばかり本調子ではない様子だった。河原の大岩を行く3セクション、がらがら石を登り岩を登る7セクション、林の斜面を登る9、11セクションと、1点減点を積み重ねていく。対して黒山は、9セクションまでをすべてクリーンするという見事なライディングを展開する。黒山は10セクションでわずかにミスをして1点。しかしその後、14セクションで木の根に足を取られて3点減点を喫してしまい、藤波とのポイントリードを3点差としてしまう。まだまだ先が読めない展開だ。

1ラップ目最後の15セクション、すでに残り時間は1時間を大きく切っている。藤波、小川、黒山、野崎、渋谷勲(ヤマハ)の5人はほぼ同時にセクションをトライして進んでいたが、ここで藤波と黒山以外の選手が先を急いで2ラップ目に突入していく。藤波と黒山は、難セクションのここをじっくり下見している。

ゴール時間まで30分。残り時間の少ない藤波が先にトライした。しかし2段になっている大岩の手前でわずかに後輪をスリップさせて勢いを失ったところで大岩に飛びついてしまい、大クラッシュ。幸いマシン、ライダーともに大事にはいたらなかったが、これで両者のポイント差は7点。黒山やや有利で2ラップ目に突入したが、2ラップ目は点数をまとめつつ、しかし時間との戦いとなった。15セクションをたったの30分弱でトライするというのは、かなり無理な注文だ。1ラップ目にじっくり時間をかけて下見したとはいえ、2ラップ目にほとんど下見なし、休む間もなく次から次へとセクショントライする藤波と黒山。この二人よりは多少状況はよかったが、小川と渋谷も、やはり時間に追われていた。

しかし、こんな状況の黒山は強い。黒山は前回中国大会でも、エンジンを焼きつかせて修理後に戦線に復帰、残り時間20分で1ラップを消化するという早まわりを見せている。今回はそれに比べればやや時間は多いものの、セクションも前回よりも多い。条件はほとんど同じ。ぎりぎりの時間の中で最善の結果を残すという策は、前回の教訓が生きている。

藤波は、2ラップ目はやや調子を取り戻したものの、それでも第1セクションで1点、7セクションで3点、大クラッシュした15セクションで3点と、7点の減点を計上した。さらに藤波のゴールは、予定時刻を5分超過していた。1分1点で、5点のペナルティ。藤波の減点、24。

黒山は、藤波よりふたつほど後ろのセクションを走っていた。しかし黒山の2ラップ目は、1ラップ目を上回る絶好調。14セクションまで、すべてのセクションをクリーンしている。最終15セクションでは5点となり、さらに8点のタイムペナルティを受けることになったが、それでもトータル20点。黒山が、1年前の中部大会以来、1年ぶりの優勝を果たし、藤波の出場全戦優勝をはばんだのだった。

黒山のチャンピオン争いのライバル小川は、1ラップ目こそ二人に接近して試合を進めていたが、2ラップ目でミスが目立ち、黒山とのポイント差を広げることができず、逆に一気にその差を縮められて同点とされている。これで、最終戦は順位はともかくとして、小川と黒山のどちらか、上位につけたもののほうが今年度のチャンピオンに決定する計算だ。

藤波 貴久(2位)
第1セクションから減点を重ねてしまい、ついに自分のペースをつかむことができずに試合が終わってしまいました。非常になさけないことです。言い訳にはできませんが、今回はマシンのセッティングもベストに持っていけずに、そのハンディをカバーすることができないまま黒山選手に点差を広げられてしまう結果となりました。しかし、今回の黒山選手の走りは素晴らしく、ぼくがベストの走りをしても、五分の勝負だったと思います。今回は本来の実力を発揮しつくした黒山選手に完敗というところですが、世界選手権では負ける気がしなかった相手ですし、なによりこんな屈辱を味わうのは二度といやです。こんなことは、もう繰り返しません。


小川 友幸(3位)
今日は、いい走りができませんでした。出だしもよくなかったし、2ラップ目もひどかった。1ラップ中盤から調子が良くなってきたので、この調子でいければ、あるいは展開は変わっていたかもしれませんが、結果がすべてです。ポイント計算をしてチャンピオンを獲得というより、とにかく勝つ気でいかなければ、結果は出ませんから、今日も思いきりやったのですが。次回最終戦は、気合を入れなおしてがんばります。


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