全日本モトクロス最終戦が、オフロードヴィレッジで開催されました。週末は土日とも好天に恵まれ、レイアウトがアップデートされたコースでは、シーズンのフィナーレにふさわしい熱戦が繰り広げられました。
●IA1 ヒート1
山本鯨(Honda Dream Racing Bells)がホールショット。一度は星野優位(ヤマハ)の先行を許すも、山本がトップで1周目をクリアしました。さらに、能塚智寛(Honda Dream Racing HAMMER)が4番手、大塚豪太(T.E.SPORT)が7番手の位置を確保。2周目、山本は3番手に後退し、背後に能塚が迫ると、次周に両者は順位を入れ替えました。
3番手に浮上した能塚は、星野と富田俊樹(ヤマハ)のトップ争いを僅差で追い、5周目に富田、次周に星野を抜いてトップに立ちました。一方、山本は4周目に5番手へ後退。レース中盤、能塚はトップをキープして、9周目には能塚から5番手の山本までが約1秒のほぼ等間隔で数珠つなぎになりました。
13周目、転倒した3番手の小方誠(カワサキ)を避けた富田と山本が接触。山本は転倒して6番手に後退しました。15周目、能塚が星野に抜かれましたが、すぐに再逆転。しかし能塚は17周目に再び星野の先行を許すと、18周目に転倒して7番手に後退しました。同じ周、5番手に浮上していた大塚が富田をパス。21周のレースを大塚が4位、山本が6位、能塚が7位でゴールし、山本がシリーズ連覇を決めました。
●IA1 ヒート2
ヒート1で転倒した能塚は、足の負傷により出走をキャンセル。レースは、山本のホールショットで幕を開けました。これに続いたのは、山本の参戦チーム母体であるHonda Dream Racing Bellsの監督兼ライダーを務める小島庸平でした。2周目、小島が後続を抑える間に山本はリードを約5秒に拡大。一方の小島は、5周目まで2番手をキープしました。
6周目に小島が4番手まで後退した段階で、2番手に浮上した小方に対して山本のアドバンテージは約6秒。しかしラップタイムは小方のほうがコンマ数秒程度速く、徐々にその差は縮まりました。そして15周目には、山本と小方のギャップは約1秒という状態でした。
すると次周から、山本はわずかながらペースアップ。逆に小方のラップタイムは少し落ちました。そしてレースは、再び21周でチェッカー。終盤に粘り強さをみせた山本が今季最終戦を勝利で飾り、自身のシリーズ連覇に花を添えました。小島は6位でゴール。1周目11番手から追い上げ、この小島を19周目に抜いた大塚が5位でした。
山本鯨(6位/優勝/2位)
「ヒート1は、このレースで絶対にチャンピオンを決めるという目標を優先しました。シーズンの最終戦をポイントリーダーとして迎えたのはこれで4年連続ですが、その中では一度、転倒によりタイトル獲得を逃すという辛い経験もしています。それだけに、ヒート1で自分の仕事に集中させてくれたチームやスタッフ、支えてくれたスポンサーの方々や家族、そしてファンの皆さんに感謝しています。ただし、いろんなライダーに抜かれるなかで、悔しさというか複雑な感情も湧きました。だからヒート2は、本当に全力で勝利を目指して走りました。まだまだ、自分自身は成長できると思っています。今後も多くの方々に協力してもらいながら、レースと真摯に向き合って、業界をけん引していけるようなライダーになりたいと思います」
能塚智寛(7位/DNS/13位)
「ヒート1は、レース序盤にするすると順位を上げられたので、勝てるかもしれないと思いました。とりあえずトップに立ってからその後の戦略を考えようと思っていたのですが、実際にトップまで浮上したときには腕上がりの症状がかなりひどく、転倒せず走るのが精一杯という状態でした。とはいえ、ライバルたちも疲れているはずなので限界まで力を出し切ろうと思っていました。だから、一度は星野選手にパスされましたがすぐに抜き返し、もう一度2番手に後退してからも再逆転を狙っていたのですが、その矢先にジャンプを斜めに跳んでしまい、着地で転倒して足を負傷。なんとかヒート1は完走できましたが、ヒート2の出場はあきらめました。優勝のみを狙って攻めた結果とはいえ、悔しさばかりが残っています」
瀧川誠樹(Honda Dream Racing 運営管理責任者)
「新型コロナウイルスの影響で選手権の開催が危ぶまれる中で、8月に開幕できたことと最終戦まで全うできたことに安堵しております。タイトル防衛に成功した山本鯨選手以下、トップライダーの活躍とHondaを代表するチームの健闘を祝福するとともに、ご協賛各社とファンの皆さんのサポートに対し心からの感謝の意を表したく存じます。今シーズンはレース活動を専門とするHRCから販売会社のHMJに移管されたことで心配をおかけしましたが、Hondaのプレゼンスをアピールできたと自負しております。来年以降も同様の態勢で参戦し、モトクロスファンの皆さまにCRF450Rの高性能を訴求してまいります」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 166 | 星野優位 | ヤマハ | 21 | 31'57.170 |
2 | 110 | 渡辺祐介 | ヤマハ | 21 | +00'03.557 |
3 | 10 | 小方誠 | カワサキ | 21 | +00'07.340 |
4 | 155 | 大塚豪太 | 21 | +00'08.415 | |
5 | 317 | 富田俊樹 | ヤマハ | 21 | +00'11.405 |
6 | 400 | 山本鯨 | 21 | +00'12.043 | |
7 | 555 | 能塚智寛 | 21 | +00'46.403 | |
8 | 44 | 小島庸平 | 21 | +00'47.864 | |
9 | 12 | 小林秀真 | スズキ | 21 | +00'48.214 |
10 | 8 | 星野裕 | 21 | +00'49.312 | |
12 | 322 | 横澤拓夢 | 21 | +01'17.077 | |
14 | 17 | 道脇白龍 | 20 | +1Lap | |
RT | 38 | 道脇右京 | 4 | DNF |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 400 | 山本鯨 | 21 | 31'37.503 | |
2 | 10 | 小方誠 | カワサキ | 21 | +00'01.915 |
3 | 317 | 富田俊樹 | ヤマハ | 21 | +00'10.400 |
4 | 110 | 渡辺祐介 | ヤマハ | 21 | +00'18.852 |
5 | 155 | 大塚豪太 | 21 | +00'38.898 | |
6 | 44 | 小島庸平 | 21 | +00'45.151 | |
7 | 12 | 小林秀真 | スズキ | 21 | +00'46.358 |
8 | 793 | 池谷優太 | KTM | 21 | +00'47.730 |
9 | 8 | 星野裕 | 21 | +00'49.555 | |
10 | 322 | 横澤拓夢 | 21 | +00'50.390 | |
11 | 38 | 道脇右京 | 21 | +01'18.842 | |
16 | 17 | 道脇白龍 | 20 | +1Lap |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 400 | 山本鯨 | 242 | ||
2 | 317 | 富田俊樹 | ヤマハ | 207 | |
3 | 110 | 渡辺祐介 | ヤマハ | 206 | |
4 | 10 | 小方誠 | カワサキ | 185 | |
5 | 555 | 能塚智寛 | 181 | ||
6 | 44 | 小島庸平 | 152 | ||
7 | 155 | 大塚豪太 | 151 | ||
8 | 166 | 星野優位 | ヤマハ | 146 | |
9 | 12 | 小林秀真 | スズキ | 138 | |
10 | 322 | 横澤拓夢 | 108 | ||
12 | 8 | 星野裕 | 96 | ||
14 | 38 | 道脇右京 | 72 | ||
18 | 17 | 道脇白龍 | 58 |