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ジェンソン・バトンのF1ダイアリー

 ジェンソンは結局ピットウォールからレースを観戦した。ジェンソンが参加する予定だった翌週のモンツァでのテストも取り止めになり、彼が次に走れるのは2週間後のカナダGPとなった。

 「あの事故によるダメージはまったくないよ」
 ジェンソンはモナコGPを振り返りそう語った。「幸運にも負傷しなかっただけでなく、いまだかつて経験したことのない大きな事故だっただけに、本当に目が醒めた思い。今こそ、ミスを犯さないことがどれだけ大切か分かったんだ」

 「彼は非常にスムーズなドライバーです」
 彼のレース・エンジニア、クレイグ・ウィルソンはそう表現する。
 「彼のステアリング操作はソフトで、フロント・タイヤに与える負担がその分軽減されます。私は、彼はまだ彼自身の才能を究めたとは考えていません。それは、そのドライバーがレーサーとして向上心を持ち続ける限り、進歩し続けることができるからです。ミハエル・シューマッハが良い例です。彼は5年前よりも完成されたいいドライバーです。ジェンソンもきっと、もっともっと良くなると考えています」

 ジェンソンはすべてにおいてナイスガイである。メカニックたちにも人気があるし、ルックスもいいし、自分の考えを歯切れ良く適切に表現できる、スポンサーにとっては理想的なキャラクターでもある。そして今や、イギリスのテレビ界で有名人となりつつある彼のガールフレンド、ルイーズとともに、彼らふたりはマスコミによって新しいポッシュ&ベック(デビッド・ベッカムとビクトリアの二人のこと)としてもてはやされ始めている。

 B・A・R Hondaはすでにジェンソンと複数年契約を結んでいる。そして、このまま残り4戦も、ジェンソンが今の状態でレースを続けてシーズンオフに突入すれば、B・A・R Hondaは2004年シーズンのスタートから大きく飛躍するための、またとない足がかりを手に入れることになる。
 最終戦・日本GPはもうあと2ヶ月後に迫っている。ジェンソンへの期待とともに、10月の鈴鹿がますます楽しみになってきた。(終り)

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