Behind the ScenesVolume06

Behind the Scenes -ピット裏から見る景色- Vol.06

Behind the Scenes -ピット裏から見る景色- Vol.06

伝統と格式にあふれる、F1モナコグランプリ。豪華な舞台の裏で、マーケティング担当スタッフの河田は、コースの内外を駆けずり回っていました。

こんにちは。Honda F1でマーケティング業務を担当している河田と申します。日本は先週末にかけて暑かったようですが、皆さんお元気にお過ごしでしょうか?私はイギリスのミルトンキーンズのファクトリーを拠点に各レースに帯同していますが、こちらは暑くなっても20℃くらいで、湿気もないのでとても過ごしやすいです。4月の終わりくらいから色とりどりの花が咲き始め、今は天気もよくなって、初夏といった感じでしょうか。夜9時ぐらいまで明るいですし、自然も多く天気がいい日はとても気持ちがいいものです。でも、夏でもあまり気温が上がらないようなので、ときどき日本の夏を恋しく思うかもしれません。

―すべてのイベントをスムーズに

(左から)アレクサンダー・アルボン、ピエール・ガスリー、ダニール・クビアト(右)(左から)アレクサンダー・アルボン、ピエール・ガスリー、ダニール・クビアト(右)

上ではマーケティング担当と一言で説明しましたが、具体的にはサーキットを訪れるゲストへの対応や、グッズなどのマーチャンダイズのアレンジ、イベント対応、それにロゴやステッカーなどのブランド管理などといった仕事をしています。日本のモータースポーツ部と連動するのはもちろんですが、Red BullとToro Rossoという両チームとの連携も欠かせません。

レース開催時にはゲストの方々が滞在する「パドッククラブ」と言うラウンジスペースと、ガレージ(ピット)やチームホスピタリティーがある「パドック」を行き来して、ゲストに対するおもてなしをします。

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Hondaのゲストとしては、各地域の販売店さんやそのお客様、協力企業、スポンサーさんなどがメインになります。F1パドックというと華やかに聞こえますし、実際きらびやかな世界が広がっていますが、それを支える裏方としては当然ながらそのような世界を楽しむ余裕はなく、すべてのイベントがスムーズに進行するよう、毎日色々な場所を駆け回る日々です。

お客様に非日常の体験をしてもらうことはもちろんですが、高い技術が必要とされる最高峰レースにHondaがどう挑んでいるかを少しでも理解してもらえたらという思いとともに仕事をしています。

―夢のような光景の中で

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そして今回のモナコグランプリ。F1を知らない方でも一度は聞いたことがある名前かもしれませんが、世界で最も伝統と格式のあるレースの一つです。私も訪れるのは初めてでしたが、TVで見る以上に壮麗で華やかなイベントだったと感じています。マリーナを埋め尽くす豪奢なクルーザーや、いたるところで見かける世界中の著名人や高級車、夜毎に行われるパーティなど、普段のF1でもなかなか目にできない、さらに色彩やかな景色でした。社交の場という側面もあると思うのですが、観光で訪れている皆さんでもにぎわっていますし、レースウィーク中は街全体がお祭りのムードです。日本からいらしたファンの方々も多く、オーストラリアでの開幕戦以上によく目にした気がします。

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走行終了後すぐに公道が開放されるので、TVで見たままのサーキットを走行直後に歩けるのも、モナコならではかもしれませんね。近郊のフランスやイタリアの町から電車で来られますし、そういった場所であれば宿泊費もそこまで高くないようですので、個人的にはおすすめのレースです。

―いつでも真剣勝負

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さて、そんな夢のような光景のお話をしましたが、レースに参加する私たちにとってはあまり関係もなく、いつでも真剣勝負です。

Hondaのエンジニアたちも今回のレースにかける想いは強かったです。走行がない金曜日でも休む間もなく「どうやったらもっと速くなるのか」を突き詰めて、仕事に向かっていました。

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モナコの夜はサーキット(プールからラスカスにかけて)の路上がクラブに様変わりし(!)、その上にあるガレージは轟音に包まれますが、そんなことも意に介さず黙々と準備を進めるんです。そんな姿を見ているだけに、トップの背中が見えかけた中で表彰台を逃したことは悔しかったですね。改めて、メルセデスの強さ、トップへの壁の厚さを感じました。でも、4台のQ3進出や入賞はうれしかったですし、お客様も皆さん喜ばれていたように感じます。こうやって、少しずつ前に進んでいくんだと思います。

―コース内外で奮闘

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かく言う私も、いつも以上にそこら中を走り回るレースになりました。Red Bull、Toro Rossoの両チームとも、このレースが開幕戦のオーストラリアに次いでゲスト数が多いので、ゲストエリアの予定はパンパンに詰まっています。全てが分刻みで動かされる中で、私たちのゲスト対応スケジュールも組まれているので、随所で起こるイレギュラーに対応しつつ、チームと連携してフレキシブルに対応をしていました。タイトな時間の中での正確さが求められますし、改めて事前準備の大切さを身をもって感じた次第です。

あ、上で「走り回る」と書きましたが本当にその通りで、歩行距離を見てみると毎日10kmを超えているのですよ(笑)

――チームカラーの違い

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Red Bull、Toro Rossoのそれぞれのマーケティングチームと一緒に仕事をしていますが、それぞれにも違いがあって面白いです。Red Bullは巨大な組織ですし、やっていることの規模が大きく派手ですが、組織は非常にシステマチックで、全てがオートマチックに動いています。会社自体がマーケティングのプロ集団と言う一面もありますので、勉強になることも多いです。

一方のToro Rossoとは今年が2年目の関係になりますが、こちらは対照的に小規模でアットホームな雰囲気。フレキシブルに対応が可能でこちらのリクエストなども柔軟に聞いてくれますし、イタリアのチームならではの大らかさを感じます。

私の仕事はTVなどではなかなか見えにくい部分ですが、ある意味で非常にF1らしい世界だと感じています。多くのファンやスポンサーのみなさんに喜んでもらうことにつながると思っていますし、これからもチームと一緒に前に進んでいければと感じています。

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