Round 09オーストリアオーストリアGP

現場レポート

2018.07.03(火)

2018 オーストリアGP 現場レポート

第9戦 オーストリアGP 現場レポート

連戦の中にあって、マシンにアップデートを施して挑んだオーストリアGP。レースでは2台が入賞圏内を走行する好ペースを見せるも、アクシデントにも苦しめられ、惜しくもポイント獲得は果たせなかった。そんなレッドブル・リンクでの週末をチームスタッフが振り返る。

オーストリアGPの舞台となるレッドブル・リンクは、言うまでもなくRed Bullのホームコースである。かつてはオステルライヒリンク、A1リンクと呼ばれていたこの丘陵にある美しく、長い歴史のあるサーキットは、2010年にRed Bullによって全面的に改修され、安全なコースと近代的な施設を備えたトラックに生まれ変わった。グランプリの中でも、関係者に人気の高いコースとしても知られている。

Red Bullグループに属するToro Rossoにとってはホームレース、かつチーム代表のフランツ・トストにとっては、ホームグラウンドでもあり、オーストリアGPはRed Bull Toro Rosso Hondaにとって特別なレースとなった。

「レッドブル・リンクは、起伏に富むコースレイアウトと、前回のフランスGPを越える60%前後の高いエンジン全開率が特徴として挙げられます。標高が約700mと高く、平地に比べて空気が薄いことで、冷却効率の低下やターボチャージャーの仕事量も上昇しますので、高い全開率と合わせて、PUにとってはタフなサーキットです。このサーキットでの基本的なエネルギーマネージメントについては大きな懸念はありませんが、予選ラップタイム、レース中の戦闘力など、トータルでPUパフォーマンスが発揮できるように最適な設定を煮詰めていきます」と大会前、Honda F1 テクニカルディレクターの田辺豊治は語った。

この大会が特別だったもう一つの点としては、Hondaが2019年からRed BullへのPU供給を発表して間もないタイミングであったことも挙げられる。金曜日のFIA定例記者会見にはRed Bull代表のクリスチャン・ホーナー、トスト、そして田辺も召集された。

田辺は、「Red BullへのPU供給が決まったことはとてもうれしいことですが、大きなプレッシャーを感じています。2チームに高いパフォーマンスのPUを供給するために、これからも努力を続けます」と会見でコメントした。

連戦の中にあって、今回、チームは車体側、特に空力面のアップデートを投入。PUに関しても、カナダで投入したアップデート仕様の効果は確認されており、マシンとしては大きなパフォーマンスアップが期待されていた。

金曜日のプラクティスから、アップデートしたエアロパーツの効果は確認された。PUもトラブルなくパフォーマンスを発揮。しかし、実際の走行では、少しのトラブルやアクシデントがたびたび2人のドライバーに降りかかり、なかなか結果を出すことができない。金曜日にはピエール・ガスリーに、土曜日にはブレンドン・ハートレーのマシンにトラブルが発生し、接戦が予想された予選ではわずかの差でガスリーが12番手、ハートレーが19番手に終わった。

「予選ではQ3進出を狙っていましたが、ガスリー選手があと少しのところでQ2敗退となったことはとても残念でした」と田辺は悔しさをにじませた。

それでもドライバーのマシンに対しての評価はポジティブで、入賞への自信も見せていた。迎えたレース当日。ガスリーは1周目に他車と接触し、マシンにダメージを負ってしまう。それでも終盤までポイント圏内を走行するも、この時点ですでにタイヤはボロボロの状態。結果、10番手以内を死守することは叶わず、11位でレースを終えた。19番手からスタートしたハートレーは、タイヤ交換を引き伸ばす作戦でポジションを上げ、終盤に追い上げられるペースも見せていたが、マシントラブルによりリタイアとなってしまった。

あと一歩。オーストリアGPは予選も決勝も、あと一歩が届かなかった週末となった。アップデートの効果を最大限に引き出すために、チームもドライバーも着実な進化を模索するための努力を続けていく。「2人とも入賞圏内を走っていただけに、非常に残念な結果となりました。が、すぐにイギリスでの戦いが始まります。シルバーストーンは、我々の拠点であるミルトンキーンズからも近いので、ある意味ホームレースとも言える戦いです。そこで、もう一度ポイント獲得にチャレンジします」と田辺は力強く語った。

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