走行性能

エンジン

レースで培った技術を惜しみなく投入。
水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒エンジン

160kW/14,000rpmの最高出力を実現しながら、最新の排出ガス規制*1に適合した999cm³の水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒エンジンを搭載。エンジンブロックに設けたリアクッションピボット*2や、クランク軸とメイン、カウンター各軸間の短縮化によりエンジン前後長を抑え、マス集中化と運動性能向上を追求した。ボア・ストロークはRC213Vと同様φ81mm×48.5mmのショートストローク設定とし、吸排気効率を高めるための大径バルブを採用している。またクランクケースの剛性を最適化することでクランクシャフトのたわみを抑え、高出力・高回転に対応している。2024年モデルでは、クランクケースやクランクシャフト、コンロッドを新設計し、エンジン単体で720gもの軽量化を実現。クランクシャフトにおいてはジャーナル径・ピン径の変更によりフリクションおよび慣性マスを低減してスロットルレスポンスを向上。あわせてトランスミッションのギア比を変更することで中速域の加速性能を高め、サーキットだけでなく公道における扱いやすさを追求している。

*1 平成32年(令和2年)規制適合 *2 特許取得済

イメージCG
出力特性イメージ
駆動力イメージ

コンロッド&ピストン

より軽く、より強く。
チタンコンロッド&アルミ鍛造ピストン

チタン鍛造コンロッドを採用。高速域の信頼性向上を追求し、コンロッド小端のブッシュはベリリウム銅。大端スラスト部にはDLC(Diamond-like Carbon)コーティングを施すことで高回転化に対応している。鍛造ピストンは、軽量かつ強度と耐久性を確保するため素材にはA2618材を選択。ピストンスカート部にオーベルコートのコーティング、ピストンピンのクリップ溝にはニッケル-リンのメッキを施すことで耐摩耗性を向上させ、高回転化の実現を図っている。2024年モデルではピストン頭部の形状を変更。圧縮比を従来モデルの13.4から13.6へと向上させた。

コンロッド形状イメージ
ピストン形状イメージ

バルブ駆動システム

高回転・高出力を追求しながら信頼性を高めた動弁系

ロッカーアームはフィンガーフォロワー式を採用。バルブ系の慣性重量を直打式バルブ駆動に比べて低減させている。またロッカーアームおよびカムシャフトの表面にはDLCコーティングを施すことで摺動面の摩擦抵抗を低減させ、エンジンの高回転化に対応している。カム駆動は軽量化と高回転化を図るセミカムギアトレインシステム。クランクシャフトに同軸配置したタイミングギアからカムアイドルギアを介してカムチェーンを駆動することでカムチェーン長を短縮し、耐久性を確保しながら高回転・高カムリフトを実現する。2024年モデルでは中速域の加速性能向上を図り、吸気排気カムシャフトのタイミング・リフト量を変更している。

*特許取得済

バルブ駆動部イメージ

バルブアングル

吸気および、燃焼効率を高めるIN側バルブ角

IN側バルブ角を9°に設定。狭角レイアウトによる通気効率化と、燃焼室の表面積低減による燃焼効率の向上を追求した。また2024年モデルでは吸気ポートの形状を変更して、さらなる吸気抵抗の低減を図っている。

シリンダーヘッド構造イメージ

スロットルボディー

吸気効率向上を図ったスロットルボディー

スロットルボディーをφ52mmとすることで、エンジン高回転化にともなう吸入空気量の確保を実現。スロットルバタフライからIN側バルブまでのポート形状は、スロットルボディー内の通路を長円断面とすることでポート内形状をスムーズに変化させ、吸気圧損失の低減を図っている。さらにスロットルシャフトの材質を高剛性のステンレスとすることでシャフトのたわみを抑制し、作動フリクションの低減を追求している。

ラムエアダクトシステム

広範囲な速度域において、安定したラム圧を確保

ラムエアダクトをアッパーカウル先端に配置。ハンドル切れ角を左右25°とすることで流入した空気がフレームヘッドパイプ側面を通過し、エアボックスまでストレートに流れる構造とした。また、中速域での加速性能の向上を目的にエアクリーナーボックス形状の最適化。吸気ファンネルは長さと形状を調整し、出力と過渡特性の両立を追求。高い吸入効率によるスロットル操作性の向上を図っている。

冷却システム

シリンダーボアの歪みを抑える、Honda独自の冷却技術

熱によるシリンダーボア各部の温度差による歪み抑制を目的に、フリクション低減に寄与するHonda独自のビルトインボトムバイパス(冷却水経路)を採用。エンジンまわりの冷却水用ホース類を減らし、シリンダー各部の温度均一化を追求している。

*特許取得済

ピストンジェット

フリクション低減に寄与する、マルチポイントピストンジェット

高回転時に複数方向へオイルを噴射してピストンの温度上昇を抑える、マルチポイントピストンジェットを採用。ピストンの冷却が不要なエンジン低回転時には、ピストンジェットに内蔵されたチェックボールがオイル通路を遮断して油圧損失を抑える。

スターターレイアウト

バンク角の確保に貢献するスターターレイアウト

スターターモーターの駆動は、プライマリードリブンギアを介してクラッチメインシャフトから伝達。ワンウェイクラッチによるフリクション低減とともに、エンジンのコンパクト化によるバンク角の確保を実現している。

エキゾーストパイプ

排気効率と浄化性能を両立したエキゾーストパイプ

排気管各部はエキゾーストパイプ口元に長円の断面形状を採用。排気ポートからの断面形状をスムーズに変化させ、排気効率向上を追求している。キャタライザーは、運動性能を追求した車体パッケージングに合わせ大きさを最適化。排気の圧力損失を抑制し、排気効率の向上と浄化性能を両立させている。

マフラー

AKRAPOVIČ社と共同開発した軽量チタン製マフラー

マフラーはAKRAPOVIČ社との共同開発。軽量なチタン製とし、マスの集中化とあわせ深いバンク角を確保するレイアウトとした。また排気バルブも共同開発を行い、低回転トルクと高回転出力の両立を追求。バタフライバルブに追加したバルブストッパーがバルブ全閉時の密閉性向上と騒音を低減する機構とし、マフラーの内部容量の軽量化に寄与している。

*特許取得済

Photo:CBR1000RR-R FIREBLADE SP

スロットルバイワイヤシステム

2モーターで制御する
新しいスロットルバイワイヤシステム

スロットルバイワイヤシステムにはHonda二輪車として初となる2モーター式を採用。スロットルバルブの開閉を2個のモーターで行い、#1#2と#3#4の2気筒ごとの開度を独立して制御することを可能とした。より高精度なスロットルバルブの開閉制御を行うことで、加速時におけるスロットル低開度域のコントロール性向上や、減速時のエンジンブレーキ効力の増加、減速から加速へのスムーズな移行など、様々な領域でライダーの入力操作に対するリニアな反応を実現させドライバビリティーを高めている。

スロットルバルブ構造イメージ
スロットルバルブ作動イメージ(加速時)

Honda セレクタブル トルク コントロール

熟成したHSTC
(Honda セレクタブル トルク コントロール)

アクセルを開けた状態での後輪の駆動力を抑制し、スポーツ走行などでライダーの操作入力を補助。制御介入のタイミングとトルク抑制量の最適化を行い、スロットル操作に対する車体の安定性向上に寄与する。さらに、前後車輪速センサーでウイリー状態を判断する制御に加え、車体ピッチングの情報を用いたウイリー挙動緩和制御を設定し、加速を犠牲にすることなくウイリーの挙動を緩和している。

※HSTCはスリップやウイリー挙動をなくすためのシステムではありません。あくまでもライダーのアクセル操作を補助するシステムです。したがって、HSTCを装備していない車両と同様に、無理な運転までは対応できません。運転するときは急なアクセル操作を避け、安全運転をお願いします。

  • 一部の写真はクローズドコースで撮影したものです。
  • 走行写真はプロライダーによる走行を撮影したものです。一般公道で走行する場合は制限速度を守り、無理な運転をしないようにしましょう。
  • 写真は海外仕様車で、アクセサリー装着車。また一部の部品を取り外しています。