走行性能

エンジン

高速域のパワーを維持しながら中速域のフィールに磨きをかけた水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒999ccエンジン

サーキットにおける速さを追求した設計の水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒999ccエンジンは、最新の排出ガス規制*1に適合させつつ160kW/14,500rpmの最高出力を実現している。また高回転、高出力とスムーズな出力特性を兼ね備えるとともに、エンジンブロックに設けたリアクッションピボット*2や、クランク軸からメイン、カウンター軸との各軸間を詰め、エンジン前後長を短縮。マスの集中化と、運動性能の向上に貢献している。さらに最高出力160kWを達成するためRC213Vと同様にボア・ストロークをφ81mm×48.5mmに設定。大径バルブの採用とフリクション低減をねらったショートストローク化を図っている。またクランクシャフトのたわみを抑えるため、クランクケースの剛性の最適化を図り、高出力、高回転に寄与している。2022年モデルでは、シリンダーヘッドの吸気ポート形状の見直しと圧縮比を13.2から13.4と高め、燃焼効率の向上を追求するとともに、ドリブンスプロケットを40丁から43丁に変更。これにより高速域の出力を維持したまま中速域の加速性能の向上にも寄与している。

*1 平成32年(令和2年)規制適合 *2 特許出願中

バルブ駆動システム

高速域での信頼性を高めた動弁系

バルブ駆動にフィンガーフォロワー式のロッカーアームを採用。これにより、直打式バルブ駆動に比べ、バルブ系の慣性重量を低減。さらに、ロッカーアームの表面にDLC(Diamond-like Carbon)コーティングを施すことで、摺動面の摩擦抵抗低減を図り、エンジンの高回転化に寄与している。カム駆動には、軽量化と高回転化を図るため、セミカムギアトレインシステムを採用。クランクシャフトに同軸配置したタイミングギアからカムアイドルギアを介してカムチェーンを駆動することでカムチェーン長を短縮。耐久性を確保しながら、高回転、高カムリフトを実現している。

*特許出願中

セミカムギアトレインシステム構成図

コンロッド&ピストン

より軽く、より強く。チタンコンロッド&アルミ鍛造ピストン

チタン鍛造コンロッドを採用することで高強度化と軽量化を実現。また、高速域の信頼性向上を追求し、コンロッド小端のブッシュにはベリリウム銅を採用。さらに大端スラスト部にはDLCコーティングを施し、パワーロスを抑え、高回転化に寄与。鍛造ピストンは軽量かつ強度と耐久性を確保するため、RC213V-Sと同じA2618材を採用し、ピストンの軽量化も実現している。また、ピストンスカート部にオーベルコートのコーティング、ピストンピンのクリップ溝にニッケル-リンめっきを施すことで高回転に対応した耐摩耗性を確保し、高回転化の実現に寄与している。

チタンコンロッド
高強度アルミ鍛造ピストン

冷却システム

シリンダーボアの歪みを抑える、Honda独自の冷却技術

熱によるシリンダーボア各部の温度差による歪み抑制を目的に、フリクション低減に寄与するHonda独自のビルトインボトムバイパスを採用。これによりエンジンまわりの冷却水用ホース類を減らし、シリンダー各部の温度均一化を追求している。

*特許出願中

イメージCG

カムシャフト

バルブ駆動ロスを低減させるDLCコーティングを施したカムシャフト

RC213V-Sと同様にDLCコーティングを施したカムシャフト。フィンガーフォロワー式のロッカーアームの採用とあわせ、DLC未処理の物と比べバルブ駆動ロスを低減している。

カムシャフト

スターターレイアウト

深いバンク角確保に貢献するスターターレイアウト

スターターの駆動をクラッチメインシャフトとし、スターターモーターの回転伝達にプライマリードリブンギアを兼用。ワンウェイクラッチのフリクション低減とあわせエンジンのコンパクト化により、サーキット走行に求められる深いバンク角確保にも寄与している。

スターターレイアウト(イメージCG)

ピストンジェット

フリクション低減に寄与する、マルチポイントピストンジェット

高回転時に複数方向へオイルを噴射しピストンの温度上昇を抑える、マルチポイントピストンジェットを採用。ピストンの冷却が不要なエンジン低回転時には、ピストンジェットに内蔵されたチェックボールがオイル通路を遮断する構造とすることで油圧損失を抑え、フリクション低減を図っている。

吸気バルブ挟み角

高出力化に寄与するIN側バルブ挟み角

吸気のバルブ挟み角は、9°に設定。狭角化を図ることで吸気ポート内の通気効率を高め、高出力化に寄与している。また燃焼室の表面積低減による燃焼効率の向上も図っている。

ラムエアダクトシステム

中速域からピークパワーまでの繋がりを向上させた吸気系

RC213Vと同等の開口面積を持つラムエアダクトをアッパーカウル先端に配置したレイアウト。ハンドル切れ角を左右25°とすることで流入した空気がフレームヘッドパイプ側面を通過し、エアボックスまでストレートに流れる構造のラムエアダクト通路の断面積を確保している。2022年モデルでは、中速域での加速性能の向上を目的に、エアクリーナーボックスの形状の最適化と吸気ファンネルをスラッシュアップするとともに中央の2つ#2#3の長さを短縮化し、流速を上げ吸入効率の向上を実現。スロットルの操作性にも寄与している。

スロットルボディー

吸気効率向上を図ったスロットルボディー

スロットルボディーは、φ52mmとすることで、エンジンの高回転化に伴う吸入空気量の確保を実現している。スロットルバタフライからIN側バルブまでのポート形状においては、スロットルボディー内の通路を長円断面とすることでポート全体の断面形状をスムーズに変化させ、吸気圧損の低減を図っている。また、ポートボリュームの低減化を図りスロットルレスポンスを向上。さらにスロットルシャフトの材質を高剛性のステンレスとすることで、シャフトのたわみを抑制し作動フリクションの低減を図っている。

エキゾーストパイプ

排気効率と運動性能を追求したエキゾーストパイプ

排気管各部はエキゾーストパイプ口元に長円の断面形状を採用。これにより、エキゾーストポートから、エキゾーストパイプ口元までの断面形状をスムーズに変化させ、排気効率向上に寄与している。2022年モデルではパイプ形状および触媒仕様の見直しにより、中速域の出力特性を向上。キャタライザーは、運動性能を追求した車体パッケージングに合わせ大きさを最適化。 これにより排気の圧力損失を抑制し、排気効率の向上と浄化性能を両立させている。

マフラー

マス集中化に寄与する軽量チタン製マフラー

車体重心から離れた位置にあるマフラーはAKRAPOVIČ社と共同開発のチタン製とし、軽量化とマスの集中化とあわせ、深いバンク角を確保するレイアウトとした。また、排気バルブも共同開発を行い、低回転トルクと高回転出力の両立に貢献。バタフライバルブに追加されたバルブストッパーは、バルブ全閉時の密閉性向上と騒音を低減する機構とし、マフラーの内部容量の軽量化に寄与している。

*特許出願中

スロットルバイワイヤシステム

意志をリニアにマシンへ。 スロットルバイワイヤシステム

スロットルバイワイヤシステムはスロットルのスプリングの荷重を低減し、操作性、応答性を追求。ライダーのスロットル操作に対して、スロットルバルブの開度制御を図り、コーナリング立ち上がり時など、スロットルを徐々に開けていく動作にリニアに反応。エンジントルクの立ち上がり遅れを最小限に抑え、コントローラブルな走りを追求している。

Honda セレクタブル トルク コントロール

熟成したHonda セレクタブル トルク コントロール(HSTC)

アクセルを開けた状態での後輪の駆動力を抑制し、スポーツ走行などでライダーの操作入力を補助するHSTC。2022年モデルでは、HSTCの介入タイミングとトルク抑制量の最適化を行い、制御介入時のスロットルの操作性に寄与している。さらに、前後車輪速センサーからウイリー状態を判断する制御に加え、車体ピッチングの情報を用いたウイリー挙動緩和制御を設定し、加速を犠牲にすることなくウイリーの挙動を緩和している。

※Honda セレクタブル トルク コントロールはスリップやウイリー挙動をなくすためのシステムではありません。あくまでもライダーのアクセル操作を補助するシステムです。したがって、Honda セレクタブル トルク コントロールを装備していない車両と同様に、無理な運転までは対応できません。運転するときは急なアクセル操作を避け、安全運転をお願いします。

  • 一部の写真はクローズドコースで撮影したものです。
  • 走行写真は、プロライダーによる走行を撮影したものです。一般公道で走行する場合は制限速度を守り、無理な運転をしないようにしましょう。
  • 一部の写真は海外仕様車で、アクセサリー装着車。一部の部品を取り外しています。