走行性能

ライディングポジション

様々な走行シーンで扱いやすさを高めた
車体パッケージング

ホイールベースを1,455mmに設定し、エンジン出力を効率的に路面に伝える621.8mmの長めのスイングアームとすることで乗車状態の前・後輪の分担荷重を最適化。加減速時の車体安定性の向上を追求している。さらにキャスター角を24° 07′、トレールを102mmに設定するとともに、重心バランスを整えることでピッチングを抑えつつ俊敏性の向上を図った。またハンドルポジションは、ハンドル握り中心位置の高さを上げつつ手前に近づけることで、操舵荷重と応答性をバランスさせた入力しやすい位置に設定。ステップポジションはより下方とし、ステップワークの自由度を向上するとともに深いバンク姿勢での操作性確保に寄与する位置とした。これにより、サーキットで速さを追求するライダーから公道でツーリングを楽しむライダーまで、誰もが“操る喜び” を感じられることを目指している。

*CBR1000RR-R FIREBLADE SP

ライディングポジション比較イメージ図

フレームボディー

高剛性と軽量化を両立させたアルミ製ダイヤモンドフレーム

フレームボディーはサーキット走行での操作時や加減速時の安定性、限界域での接地感の向上を図るため、鋳造解析と高い製造技術を駆使して薄肉化を実現した。2024年モデルでは従来モデルと比較して960gもの軽量化を達成。またハンガーボルトは、ボルト長の短縮と締結構造の変更により140gの軽量化を果たしている。 最低2mmの肉厚で成形したアルミ製ダイヤモンドフレームのフレームボディー剛性は横剛性17%、ねじれ剛性を15%低減し、ハンドリングの向上を図っている。またエンジンを計6ヵ所で締結することでフレームボディーの剛性バランスを緻密に調整。ライダーの意志とシンクロするような高い操作性に貢献している。

イメージCG
ハンガーボルト形状比較イメージ図

シートレール

コンパクトなライディングポジションに貢献する
シートレール

シートレールの主構造はアルミ丸断面パイプ。フレームボディーとの剛性バランスを図るとともに、フレームボディーに上方からラジアルマウントすることでタンク後方部の幅を抑え、空力性能の向上を狙ったコンパクトなライディングポジションを追求している。

スイングアーム

フレームとの剛性バランスを最適化したスイングアーム

スイングアームはアルミプレス製とし、部位ごとに異なる板厚設定で構成。剛性バランスを見直すことで、リアタイヤの接地性とコーナリング性能を追求している。リアサスペンションにはプロリンクを採用。リアショック上部のマウントは、ブラケットを介してクランクケース背面に装着する構造とした。これによりフレームボディー上側のクロスメンバーが不要となり、いっそうの軽量化に貢献。また後輪からの入力をエンジンブロックに分散し、ヘッドパイプへ伝わる外乱を低減させることで直進安定性と後輪タイヤからのインフォメーションをバランスさせている。

サスペンションシステム
[CBR1000RR-R FIREBLADE SP]

第3世代ÖHLINS Smart ECシステムを採用sp

フロントフォークはキャビテーションを抑えるための加圧ダンピングシステムを採用した電子制御のÖHLINS φ43 NPX Smart-EC 3.0(Spool valve)を搭載。減衰力制御やサーキット走行でのギャップ吸収力、前輪の接地感向上に貢献している。リアには電子制御のÖHLINS TTX36 Smart-EC 3.0(Spool valve)電子制御サスペンションを採用。さらに第3世代ÖHLINS Smart ECシステムに適合したÖHLINS Object Based Tuning interface(OBTi)の採用で、よりきめ細かなセッティングを可能にした。

*ÖHLINS Smart ECはスウェーデン ÖHLINS RACING ABの登録商標です。

サスペンションAモードのレインモード/スポーツモードでは、新たに「ACC(加速)」と「CORNER(旋回)」のパラメーター調整が可能に。[CBR1000RR-R FIREBLADE SP]

サスペンションシステム
[CBR1000RR-R FIREBLADE]

フロントにBPF
リアにBFRC-liteを採用

フロントにショーワ(日立Astemo株式会社)製のBPF(ビッグ・ピストン・フロントフォーク)を、リアにはショーワ(日立Astemo株式会社)製バランスフリーリアクッションBFRC-liteを採用してバネ下重量の軽減を図っている。

*BPF、BFRC-liteは日立Astemo株式会社の登録商標です。

ブレーキシステム
[CBR1000RR-R FIREBLADE SP]

フロントにBrembo STYLEMA™ Rを採用sp

フロントブレーキキャリパーはBrembo STYLEMA™ Rに、厚さ5mmのφ330mmディスクブレーキをダブルで装備。リアはRC213V-S同様のBrembo製キャリパーとし、路面追従性と高いコントロール性を追求している。

*Brembo STYLEMAはイタリア Brembo S.p.A.の登録商標です。

ブレーキシステム
[CBR1000RR-R FIREBLADE]

NISSIN製ブレーキキャリパーを採用

フロントにはNISSIN(日立Astemo株式会社)製対向4ポッドラジアルマウントキャリパーを採用し、サーキット走行に求められる制動力とコントロール性を追求。リアはディスク、キャリパーともにCBR1000RR-R FIREBLADE SPと同一装備。サーキット走行で求められる制動力とコントロール性を獲得している。

タイヤ&ホイール

軽さと剛性を高次元でバランス。マシンの性能を路面へ伝える

リアタイヤのサイズは、サーキット用、公道用、それぞれのタイヤ装着時の車体姿勢変化を抑えるため、200/55ZR17M/Cを採用。アルミホイールは前後ともにGDC製法による専用設計の5本Y字スポークデザイン。サーキットで求められるブレーキングやコーナリングに必要な剛性を確保している。

ライディングモード

指先ひとつでセッティング。
スタート制御モード&ライディングモード

BOSCH製6軸IMU(Inertial Measurement Unit)による正確なピッチングとロールおよびヨーの検知が、高精度な車体挙動の制御を可能に。レーススタート時に機能するスタート制御モードでは、スロットルを大きく開けてもエンジン回転の上昇を6,000/7,000/8,000/9,000rpmに制限することで、ライダーがクラッチ操作に集中できるよう配慮した。さらにサーキットを含めた様々な走行シチュエーションに応じてパワー「P」、エンジンブレーキ「EB」、HSTC「T」、ウイリー挙動緩和制御「W」、そしてCBR1000RR-R FIREBLADE SPでは電子制御サスペンション「S」の制御レベルを一括で切り替えられる3種類のライディングモードを搭載している。

*各制御レベルは個別設定も可能。

ABS

公道からサーキットまで。3モードが切り替え可能なABS

リアタイヤのリフト抑制やバンク角に対応して制御を行うスポーツモデル専用のABS(アンチロック・ブレーキ・システム)を装備。走行シーンに合わせてABSレベルを切り替えられる機能も採用した。ABSの切り替えレベルは、制動時のピッチングを抑えながら減速する公道向けの「STANDARD」、サーキットを想定した強い減速度をもつ「TRACK」、そして後輪のABS機能をキャンセルしてより強力なブレーキングを可能にする「RACE」の3つを設定している。

※ABSはライダーのブレーキ操作を補助するシステムです。ABSを装備していない車両と同様に、コーナー等の手前では十分な減速が必要であり、無理な運転までは対応できません。運転するときは急なブレーキ操作を避け、安全運転をお願いします。ABS作動時は、キックバック(揺り戻し)によってシステム作動を知らせます。

ABSモード名 制御介入レベル
前輪ABS 後輪ABS Honda
RR LIFT
CONTROL
Honda
CORNERING
ABS
CONTROL
NEW
CBR
1000
RR-R
RACE (OFF) (OFF) (OFF)
TRACK (OFF)
STANDARD
従来
モデル
TRACK
SPORT

ステアリングダンパー

HESD
(Hondaエレクトロニックステアリングダンパー)

車輪速センサー信号および6軸IMUからの車体姿勢情報に基づき、減衰特性を電子制御するショーワ(日立Astemo株式会社)製のロッド式ステアリングダンパーを装備。減衰特性レベルは3段階で選択が可能。サーキット走行時のステアリング操作に対する素早い応答性と耐キックバック性能をはじめ、幅広いシーンにおけるハンドリングの安定性を追求している。

  • 一部の写真はクローズドコースで撮影したものです。
  • 走行写真はプロライダーによる走行を撮影したものです。一般公道で走行する場合は制限速度を守り、無理な運転をしないようにしましょう。
  • 写真は海外仕様車で、アクセサリー装着車。また一部の部品を取り外しています。