SCENE :
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“コマセワーク”はテニス部に学べ!?

“コマセワーク”はテニス部に学べ!?

夕暮れの港にて。

なにこれ!?走る魚が止められない~!
なにこれ!?走る魚が止められない~!
興津港へやってきたのは夕方の4時ごろでした。アジ回遊魚なので、日中でも群れが入れば釣れますが、もっとも釣りやすいのは夕マヅメ以降。特に、岸から25cm以上の中~大型をねらうなら夜釣りのほうが有利です。隣では素敵なご夫婦がサオをだしていました。アジねらいかと思ったら、なんとクロダイのダンゴ釣り。渋い! 奥様がカイズを1枚釣りあげたのを目撃して、私とみっちぃのテンションが上がります。
ハリスは1号、無理はできません。ドラグをジージー言わせながら、ようやく岸壁まで寄ってきました。「みっちぃ、タモ入れよろしく!」「了解~!」
ハリスは1号、無理はできません。ドラグをジージー言わせながら、ようやく岸壁まで寄ってきました。「みっちぃ、タモ入れよろしく!」「了解~!」
上がってきたのは……でっかいボラ! 70センチくらいあるんじゃない?「トド」と呼ばれる最大級サイズです

上がってきたのは……でっかいボラ! 70センチくらいあるんじゃない?「トド」と呼ばれる最大級サイズです
ウキ釣りの道具は、5.3mの磯ザオです。こんなサオ使えるかな~と不安になるくらい長いけど、持ってみるとすごく軽くて扱いやすい。ミチイトハリスサルカンなどを使わずに直結して、あとは小型の電気ウキとガン玉、ハリだけ。とってもシンプルな仕掛けです。

たしか、アジはハリスを細くしたほうが食いがよくなるって聞いたことあるような。でも、あんまり細いと心配なので1号にしてみました。このあとは夜釣りになるから、ちょっと太めのほうがトラブルも少なくて安心でしょ?
みっちぃはさっそくキャスト開始。ルアーは準備が早くていいなぁ。私はエサ付けの段階でつまずいていました。尻尾の先を切って、ハリに沿うようにオキアミを刺し、最後にハリ先が頭の上(背中側)からちょこっと出た状態が理想的。む、むずかしい……。
続けてシマアジも連発!アジの仲間のなかでも特に美味しい高級魚なんです
続けてシマアジも連発!アジの仲間のなかでも特に美味しい高級魚なんです

難易度A、異次元のコマセワーク!

オキアミは尻尾を切ってハリを刺し、頭の上にほんの少しハリ先を出すのがコツ。水中で目のあたりが光って魚を誘うので、エサ取りが多い時以外は頭を取りません
オキアミは尻尾を切ってハリを刺し、頭の上にほんの少しハリ先を出すのがコツ。水中で目のあたりが光って魚を誘うので、エサ取りが多い時以外は頭を取りません
エサをつけたら、いよいよ釣り開始! ……ではなくて、まずは寄せエサコマセ)を撒くところからスタートです。アジは外海から群れをなして港の内側まで入ってきます。その後も1箇所にとどまらず、グルグルと回遊しているので、オキアミや配合エサを混ぜたものを撒いて足止めし、その間にジャンジャン釣ってしまおうという作戦。寄せエサは海のウキ釣りに欠かせないアイテムなんです。

バッカンのなかで作った寄せエサを専用のヒシャクですくい、前方5mをねらって正確に投入すると……。
「わっ! なんか、空からオキアミが降ってきたんですけど!?」
隣でキャストしているみっちぃの悲鳴が(笑)。ゴメン、わざとじゃないんだよ~。寄せエサは海中でバラケやすいように作ってあるので、うまく投げないと四方八方に飛び散ってしまうんです。
中に小さな電池が入っていて、てっぺんが光る電気ウキ。小さな光がほんのりボヤけたら水中に引き込まれた証拠!
中に小さな電池が入っていて、てっぺんが光る電気ウキ。小さな光がほんのりボヤけたら水中に引き込まれた証拠!
軽いリグを使ってキャストを繰り返すみっちぃ。「アジング経験は1回だけあるんですけど、なかなか感覚がつかめません」
軽いリグを使ってキャストを繰り返すみっちぃ。「アジング経験は1回だけあるんですけど、なかなか感覚がつかめません」
たしか、寄せエサはテニスのボレーの要領で撒くとうまくいくって雑誌に書いてあったな。
ラケットを振り抜かずに、ピタッと止めてボールを打つのがテニスのボレーです。同じように、ヒシャクを振ったあと、手首を固定する感じにしてみると……できた! 寄せエサが飛び散らず、まとまった状態で飛んでくれました。ウキ釣りって「アタリを待つだけ」の釣りかと思ってたら、実は複雑な要素が絡みあってるんですね。難しいけど、いつの間にか夢中になってウキを見つめていました。
※撮影:浦壮一郎/文:水藤友基
※このコンテンツは、2010年10月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。