真野 秋綱 氏
月刊『FlyFisher』編集長
真野 秋綱 氏
1975年生まれ。2014年より『FlyFisher』編集長を務める。その前には月刊『つり人』編集部で、沖釣りから渓流釣りまでを楽しんでいた。現在は別冊つり人『渓流』も担当。

冬に遊べる貴重な渓流

なんだかんだいって、フライフィッシャーのほとんどは渓流魚をメインターゲットにして遊んでいるもの。だが、本州の渓流は9月いっぱいで禁漁期を迎える川が多い。これから冬にかけては海や湖を目指すか、おとなしく家に閉じこもってフライを巻くか、楽しみの選択肢は狭められる。
しかし、山が紅葉に染まるこの季節でも、自然渓流で釣りができる場所はいくつかある。栃木県の箒川は、そんな貴重な川のひとつだ。ニジマスを対象とした「ルアー&フライ(C&R)専用エリア」が設定されているのである。

箒川はR400沿いを流れ、塩原温泉郷のすぐ前を流れる区間もある。そのためアクセスしやすく、休日ともなると多くの釣り人でにぎわう。
川相は変化に富むものの、基本的にはフラットで、歩きやすく釣りやすい。ニジマスの魚影もあちこちで確認でき、なかには50cmオーバーの姿も混じる。そのファイトは強烈で、多少の寒さなんぞ吹き飛ばすほど、熱いゲームが楽しめる。
箒川は開けた場所が多く、のびのびとラインを伸ばせる
箒川は開けた場所が多く、のびのびとラインを伸ばせる
箒川のアベレージサイズは40cmクラス。60cm近いサイズも出るが、そんな魚を掛けると川を走り回ることになる
箒川のアベレージサイズは40cmクラス。60cm近いサイズも出るが、そんな魚を掛けると川を走り回ることになる

変化に富む流れに50オーバーの影が

箒川の川相は、水深のあるプールが交互に続く。そのため、ドライフライナチュラルドリフト、あるいはウエットフライリトリーブなど、好みの釣り方でニジマスをねらえる。
ただしキャッチ&リリース区間だけに、それなりに賢い魚が多い。また寒さが厳しくなってくると、ドライフライでねらうには日並を選ぶ必要もあるだろう。しかし厳しい条件下で釣りあげるのも、それはそれで達成感のあるものだ。

釣り場を下流側から見ていくと、箒川ダムの上流付近から「ルアー&フライ(C&R)専用エリア」が始まる。流れ込み付近は深場で、立ち込む場所はほとんどない。そこから上はプールと瀬が連続するダイナミックな流れ。水量は多いので、徒渉する際は充分注意したい。岩盤底のエリアもあって、一見魚がいないように見えるが、底の溝などに定位していることがあるので丁寧に探りたい。
C&Rエリアは、のぼりが立っているのですぐに分かる
C&Rエリアは、のぼりが立っているのですぐに分かる
スケート橋の下流付近にあるプールは人気のポイント
スケート橋の下流付近にあるプールは人気のポイント
スケート橋の少し上から、福渡橋下流付近までは、ルアー専用エリアになる。したがってフライフィッシング可能な区間は、ここでいったん途切れる。「ルアー&フライ(C&R)専用エリア」は七ツ岩付近までだが、その下にある野立岩くらいまでが、フライでねらいやすい流れだ。

帰りは温泉でのんびり

ロッドは#4~5で対応できる。フライは、ドライならハックルを厚めに巻いた♯10程度のアダムズパラシュート、エルクヘア・カディスなど
ロッドは#4~5で対応できる。フライは、ドライならハックルを厚めに巻いた♯10程度のアダムズパラシュート、エルクヘア・カディスなど
フライを沈めて探る場合は、ビーズヘッドを付けたニンフがおすすめ
フライを沈めて探る場合は、ビーズヘッドを付けたニンフがおすすめ
遊歩道や階段があるので、川に入るのは容易だ
遊歩道や階段があるので、川に入るのは容易だ
先にも書いたように、箒川沿いには塩原温泉郷がある。川を眺められる位置に露天風呂があって、釣り以外の観光客も多く訪れる。水に入って冷え切った身体は、付近の温泉を利用して温めたい。
また観光地だけに、トイレや駐車スペース、遊歩道なども整備されていて、女性や子どもでも安心して遊ぶことができる。都心から近いので、東北自動車道などを利用して日帰りで遊べるし、もちろん温泉宿に1泊してのんびり過ごすのもよい。寒いからといって家にこもらず、ぜひ足を延ばしていただきたい。
今回ご紹介したエリア
栃木県/箒川のニジマス釣りMAP
アクセス
東北自動車道・西那須野塩原ICを降りて右折。R400を塩原温泉郷方面に走って箒川へ。
お問い合わせ
塩原漁協
TEL 0287-32-2264
箒川の「ルアー&フライ(C&R)専用エリア」は、2015年1月12日まで解禁。日券2000円