青山博一チャンネル〜Go! Go! Hiroshi〜

Go! Hiroshi112010/08/19

チェコ
ブルノ・サーキット

ブルノ・サーキットとは

チェコ第2の都市ブルノに設けられたサーキットです。自然の地形を利用した高低差のあるサーキットで、切り返しや回り込んだコーナーが多く、ライダーのテクニックが問われるテクニカルなコースとしても定評があります。毎年、10万人の熱狂的なファンが集まる、人気のグランプリでもあります。

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青山博一がサーキットに戻ってきた

第5戦シルバーストーンの決勝日午前に転倒を喫し、胸椎圧迫骨折というケガを負ってから約2カ月。安静期間と復活に向けたリハビリを経て、8月11日のドクターチェックで走行許可が出た。8月12日(木)のフライトでバルセロナからプラハへ飛んだ青山は、プラハからブルノまで自らクルマを運転し、翌日金曜午後にサーキット入り。とはいっても、今回はまだレースには参戦しない。サーキットへやってきたのは、チェコGP決勝翌日に行われる事後テストに参加して、体調チェックを兼ねたリハビリ走行を実施するためだ。

Moto2にスポット参戦した手島雄介と青山博一

8月16日(月)のレース事後テストには、MotoGPクラスに参戦する全選手が参加する。午前9時に走行時間開始を告げるグリーンシグナルが点灯すると、青山はさっそくコースイン。昼食休憩を挟んで午後3時まで、44周を走行した。その後はサーキット上空を黒い雲が覆い、大粒の雨が降ってきたためにテストは中断。全チームともそこで走行を切り上げ、予定よりも早めのテスト終了となった。

青山の自己ベストは1分58秒830。決勝レースでの各選手の走りと比較すると、上位10番目に入るまずまずのタイムだ。

ピットレーンでストップウォッチ片手に青山の走行を見守っていたチーフメカニックのトム・ヨイェッチは、走行開始直後こそやや心配そうな表情もうかべていたものの、この結果にほっと胸をなでおろし、安堵の笑みを見せた。

トム・ヨイェッチと青山博一

「非常に満足のいく結果です。なにより、ヒロ自身が痛みを感じずに走れたことがうれしい。さらに、周回数はさほど多くなかったのに、ラップタイムも非常によかった。ブルノはMotoGPで初めて走るコースだから、上々のパフォーマンスだったといっていいでしょう。この調子なら、レースを走っていてもそこそこの結果を残していたかもしれませんね。復帰戦では、きっと力強いパフォーマンスを発揮してくれることでしょう」

青山自身も、この結果は予想以上だった、と笑みを漏らした。

今回の走行で復活に向けた強固な手応えをつかんだ様子は、言葉のはしばしからもはっきりとうかがえる。では、以下ではそんな青山のコメントをたっぷりと堪能していただこう。

青山博一

「今日は、天気が悪ければ中止にしようと思っていたので、晴れてくれてよかったです。テストは身体のチェックが目的で、10〜20周もできれば上等かなと覚悟していたけれど、こんなにたくさんの周回を走れるとは思ってもいませんでした。

ケガ以来、今日が8週間と1日ぶりの走行になります。2カ月ぶりの走行なので、どれくらい走れるか確認することと、フィーリングを取り戻すこと、という2つが今回の大きな目的でした。結果はポジティブ。想像していたよりもはるかによかったですね。今回のテスト用に柔らかい素材のコルセットを作製してもらい、インナーウェアと一緒に装着していたこともあって、走っている最中は痛みを感じなかったけれど、降りると少し背中が痛む気もする。手脚の筋肉に関しては、身体を動かせるようになってからジムで筋トレを続けていたので、走っていても全然違和感がありませんでした。全体的に問題がないことを確認できたとはいえ、まだ骨折が100%完治したわけではないので、インディアナポリスGPまでの2週間でしっかり治して、さらに体調を戻すことに集中したいと思います。現時点では、インディアナポリスGPに参戦する方向で、チームとも準備を整えています。

今回のテストでは、車体と電子制御が新しくなっていて、その確認もできました。新しい電子制御の結果、エンジンキャラクターはマイルドになって、さらに走りやすくなった印象があります。

ただ、6戦欠場したことでレース勘は抜けてしまっているので、こればっかりは実際にレースをしながら戻していくしかないでしょうね。肉体的に戻っても精神的な傷を抱えて以前のようには走れなくなってしまう、という話も聞きますが、少なくとも今日の自分のタイムと走った際のフィーリングでは、その心配もなさそうだと確認できました。

欠場している期間中は、バルセロナの自宅でレースを観ていました。やっぱり、悔しいですよね。でも、本来自分が走っているべきレースを外から見ることで、レースをしたいという自分の気持ち、モチベーションを再確認することにもなりました。今回、大きなケガをして痛感したのは、こうやって当たり前のように歩いたり身体を動かせることに感謝をしている、ということです。

今日は、バイクに乗れてすごくうれしかった。普通にスポーツをできたことが、とにかくうれしかったですね。この2カ月で本当にいろんなことを考えたけれど、その長い時間の中で考えたことを、今後の自分の糧にしていきたいと思います。本当に、今回は上々のリハビリになりました」

Interwetten Honda MotoGP

プロフィール

青山博一
Hiroshi Aoyama

5歳からポケバイに乗り始め、15歳でミニバイク関東選手権を制覇。2000年から全日本選手権250ccクラスに参戦して、03年に全日本タイトルを獲得しました。翌04年からHondaのライダー育成制度「Honda Racingスカラーシップ」の第1期生として世界選手権250ccクラスにフル参戦を開始。昨年、日本人として8年ぶりとなる250cc世界チャンピオンに輝きました。2010年は世界最高峰レースMotoGPにステップアップして、次なる頂点を目指して戦っています。