2012年7月27日(金)・1日目フリー走行 会場:ラグナセカ・レースウェイ 天候:晴れ 気温:21℃
コースコンディション:ドライ
第10戦アメリカGPのフリー走行は、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が好調な走りを見せ、午前、午後ともにトップタイムをマークしました。午前のセッションは気温15℃、青空が広がった午後は21℃まで上昇しましたが、この時季のラグナセカとしてはやや涼しいコンディションとなり、初日から好タイムを刻みました。
前戦イタリアGPのあとに実施した合同テストで、Repsol Honda Teamはプロトタイプのエンジンと車体のテストを行いました。このテストで、エンジンと車体ともに、これまで以上のポテンシャルを感じ取ったペドロサは、この日、イタリアGPまで使っていたRC213Vと、プロトタイプを乗り比べながら、着実にタイムを更新しました。
昨年の大会は、ケガから復帰して3戦目のレースでした。ラグナセカは体力的にハードなサーキットのため、100%の走りができずに3位でしたが、今年は体調も万全です。ニューマシンに大きな手応えを感じ取っているだけに、2009年以来、3年ぶりのアメリカGP制覇に向けて自信をみなぎらせていました。
チームメートで、2年連続3回目のアメリカGP制覇を狙うケーシー・ストーナーも、ペドロサから0.369秒差の3番手と、まずまずのスタートを切りました。ストーナーも、イタリアGP後の合同テストでプロトタイプのエンジンと車体のテストを行いました。ストーナーは今大会、これまでの車体とニューエンジンの組み合わせをチョイス。初日はセットアップに集中して3番手でしたが、2日目の予選では、ペドロサとともにポールポジション争いが期待されます。
イタリアGPとアメリカGPの間は、わずか約2週間のインターバル。短い準備期間でしたが、Hondaはペドロサとストーナーのリクエストに応えて、イタリアGP後の合同テストで好結果を残した新型の車体とエンジンを準備することに成功しました。その努力に両選手が応えるというスタートとなり、Honda勢としての今季5勝目に向けて大きく前進しました。
ルーキーでラグナセカ初体験となるステファン・ブラドル(LCR Honda MotoGP)は、午前の走行で8番手、午後の走行でも8番手をキープして上々のスタートを切りました。この日は、アップダウンが激しいコースの攻略と、マシンのセットアップに苦労しましたが、コースインするたびにタイムを短縮しました。2日目のポジションアップが期待されます。
アルバロ・バウティスタ(Team San Carlo Honda Gresini)は、午前、午後ともに、タイヤと車体のセットアップに集中しました。午後の走行では、転倒を喫して思うようにタイムを伸ばせず、10番手となりました。しかし、タイヤの選択もほぼ決まり、2日目はタイヤに合わせたセットアップに全力を尽くします。チームメートでCRTマシンに乗るミケーレ・ピロは、アップダウンの激しいラグナセカに苦戦して、18番手で初日を終えました。
ダニ・ペドロサ(MotoGP 1番手)「今日はいい仕事ができました。グリップがあまりよくなくて、リアのフィーリングに少し苦戦しましたが、1回目の走行からいいタイムを出すことができましたし、午後のセッションでもタイムを更新することができました。タイヤは午後になって、かなり機能するようになりました。しかし、全体的にまだグリップが足りませんので、安定したラップを刻むのは大変でした。明日はレースへ向けて、いいペースを刻めるようにがんばりたいです。新しいマシンは、このサーキットには合っていると思います。明日も引き続きセットアップに取り組みたいです」
ケーシー・ストーナー(MotoGP 3番手)「今日はいろいろなことがあった一日でした。午前中はソフトタイヤで走りましたが、安定性に少し苦労しました。午後はハードタイヤで走り、少し改善されましたが、全体的にグリップが足りませんでした。明日の午前中にいくつか試したいことがあります。もし改善されれば、かなり満足するマシンになるでしょう。いいレースができるかどうかを話す前に、まずはマシンを仕上げたいです」
ステファン・ブラドル(MotoGP 8番手)「初めて走るサーキットで、しかもデータがなにもなかったことを考えれば、いいスタートが切れたと思います。ほかのライダーたちはサーキットを知っていますが、それでもトップと1.4秒差でした。4番手以下は接戦で、それほど離れていませんし、すごく自信になりました。午前から午後にかけて、走るごとにタイムを短縮できました。しかし、フロントのフィーリングが完全ではないので、少し不安があります。明日はこの不安を改善したいです」
アルバロ・バウティスタ(MotoGP 10番手)「午前中はいくつかのセッティングにトライしましたが、あまりよくなかったので、最初の状態に戻しました。それからはタイヤのテストに集中したのですが、セッティングを変えたときに転倒してしまいました。正直、どうして転んだのか分かりません。もしかしたらコース上になにかあったのかもしれないです。というのも、バレンティーノ(ロッシ、ドゥカティ)も同じ場所で転倒したからです。今日はソフトタイヤの方がフィーリングがよかったです。明日は、フロントタイヤもソフトにしてみたいです。ハードでもいけそうですが、ソフトの方が安心感があります。今日はいいスタートにはなりませんでしたが、明日はいくつかポジションを上げることができると思います。そして、トップライダーたちに少しでも近づきたいです」
ミケーレ・ピロ(MotoGP 18番手)「すばらしいサーキットで、とても好きですが、残念ながらマシンのセットアップを決めることができませんでした。そのため、マシンのラインをキープするのが大変でした。しかし、CRTのトップとの差はそれほど大きくないですし、明日はもっと差を縮められると思います。もう少しがんばってコースを攻略したいです。チームのサポートがあれば、アレックス・エスパルガロ(ART)やランディ・デ・ピュニエ(ART)とのギャップを縮められる自信はあります。一歩前進することがとても大事ですし、決勝レースに向けて全力を尽くしたいです」
中本修平|HRCチーム代表「今日はニューエンジンと車体のテストに集中しました。ケーシーは、今までの車体にニューエンジンを搭載して、従来のエンジンとの比較テストを行いました。今日はリアのグリップがあまりよくなくて、満足のいくテストにはなりませんでしたが、2台ともにニューエンジンで走ることにしました。ダニが従来のマシンとプロトタイプのマシンの比較を行い、明日からは2台ともにニューエンジンと新しい車体の組み合わせで走ることに決めました。明日から本格的なセットアップに入るので、いい状態にして決勝に挑みたいです」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 26 | ダニ・ペドロサ | Honda | 1:21.088 |
2 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.334 |
3 | 1 | ケーシー・ストーナー | Honda | +0.369 |
4 | 11 | B.スピーズ | ヤマハ | +0.620 |
5 | 4 | A.ドヴィツィオーゾ | ヤマハ | +0.933 |
6 | 35 | C.クラッチロー | ヤマハ | +1.170 |
7 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +1.346 |
8 | 6 | ステファン・ブラドル | Honda | +1.480 |
9 | 46 | V.ロッシ | ドゥカティ | +1.684 |
10 | 19 | アルバロ・バウティスタ | Honda | +1.765 |
11 | 41 | A.エスパルガロ | ART | +2.747 |
12 | 14 | R.デ・ピュニエ | ART | +2.782 |
13 | 5 | C.エドワーズ | SUTER | +3.644 |
14 | 24 | T.エリアス | ドゥカティ | +3.651 |
15 | 68 | Y.ヘルナンデス | BQR | +3.686 |
16 | 17 | K.アブラハム | ドゥカティ | +3.761 |
17 | 54 | M.パシーニ | ART | +3.912 |
18 | 51 | M.ピロ | FTR | +3.977 |
19 | 77 | J.エリソン | ART | +4.078 |
20 | 22 | I.シルバ | BQR | +4.317 |
21 | 9 | D.ペトルッチ | IODA | +4.334 |
RT | 15 | S.ラップ | APR | +6.928 |