2012年7月29日(日)・決勝 会場:ラグナセカ・レースウェイ 天候:曇りのち晴れ 気温:18℃
コースコンディション:ドライ 観客:5万2677人(3日間:13万7221人)
第10戦アメリカGP決勝は、フロントローに並んだRepsol Honda Teamのケーシー・ストーナーとダニ・ペドロサ、そして、ホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)による3人のし烈な優勝争いとなり、レース終盤にロレンソをパスしたストーナーが優勝しました。2位にロレンソが入り、この2人を中盤までマークしたペドロサは3位でフィニッシュしました。これでHondaは今季5勝目を達成、Repsol Honda Teamの両ライダーがそろって表彰台に立つのは、今季6回目。シーズン折り返しとなるレースで、好リザルトを獲得しました。
今季4勝目を挙げたストーナーは、予選2番手から好スタートを切ると、オープニングラップ3番手。ロレンソ、ペドロサとトップグループを形成しました。そして3周目にペドロサをかわし2番手に浮上すると、ロレンソをピタリとマークして、プレッシャーをかけ続けました。そして、レース終盤の22周目にホームストレートでトップに立つと、32周のレースで真っ先にチェッカーを受けました。
今大会は、前戦イタリアGP後にトライしたニューエンジンを、従来の車体に搭載して挑みました。金曜日、土曜日と、午前中は霧の多い天候となり、セットアップを進める時間が十分ではありませんでしたが、ニューエンジンのパフォーマンスを引き出し、車体とのバランスを取ることに成功しました。
これで、昨年の大会に続いてアメリカGP2連覇、通算3回目のアメリカGP制覇を達成しました。ストーナーは、第8戦ドイツGPでは最終ラップに転倒、第9戦イタリアGPはマシンのセットアップが決まらず8位と低迷しました。その雪辱を見事に果たし、満面の笑みを浮かべていました。
そのストーナーを中盤までピタリとマークしたペドロサは、転倒寸前の滑りを何度も経験して、中盤以降はペースを抑えました。今大会は、ニューエンジンとニューシャシーの組み合わせで今季2勝目に闘志を燃やしていました。ペドロサは、ニューマシンに高い評価を与えていましたが、そのポテンシャルをフルに引き出すことはできませんでした。今大会は、午前中の天候が不安定で、十分な走行時間が取れなかったことが決勝レースに影響しました。しかし、次戦インディアナポリスGPに向けて貴重なデータを得ることに成功しました。
これで10戦を終えて、9回の表彰台に立ったペドロサは、総合首位のロレンソと23点差の2位。今季4勝目を達成したストーナーは、ロレンソと32点差の3位。次戦インディアナポリスGP以降は、ニューエンジン、ニューシャシーのポテンシャルを発揮して逆転に挑みます。
予選9番手から決勝に挑んだルーキーのステファン・ブラドル(LCR Honda MotoGP)は、序盤は、ベン・スピーズ、アンドレア・ドヴィツィオーゾ、カル・クラッチローのヤマハ勢とセカンドグループを形成し、7番手を走行しました。中盤以降は、今大会の課題になっていたフロントのグリップ不足に苦しんでペースを上げられず、セカンドグループにジリジリと引き離されました。後半は、ニッキー・ヘイデン(ドゥカティ)と6位争いを繰り広げて7位でフィニッシュしました。後半はペースを落とすも、初めてのラグナセカで、セカンドグループで熱走したことに大きな注目が集まりました。
予選7番手から決勝に挑んだアルバロ・バウティスタ(Team San Carlo Honda Gresini)は、ブレーキングとコーナーの進入に苦戦し、ペースを上げられず、中盤は10番手を走行しました。終盤にスピーズ、バレンティーノ・ロッシ(ドゥカティ)が転倒リタイアしたため、8位でチェッカーを受けました。チームメートでCRTマシンのミケーレ・ピロは、スタート直後の1コーナーで他車と接触、リタイアとなりました。
ケーシー・ストーナー(MotoGP 優勝) 「全体的に難しい週末でした。特に、ハードタイヤのパフォーマンスを引き出すのが難しく、そのため、決勝レースではソフトタイヤを使うことにしました。レース序盤に前に出ようとしましたが、ダニとホルヘがとてもいいラインを走っていたので、パスをするのが難しかったです。そのため、ラップタイムを少し落とし、タイヤを最後まで温存しようとしました。そのあと、ダニをパスして、ホルヘのうしろでタイヤを温存しながら慎重に走りました。トラクションをキープして、あまりスピンさせないようにしましたが、レース中はずっと勝てる自信がありました。優勝するために十分なペースで走ることができたと思います。そのため、タイヤを最後までもたせることだけを考えていました。前に出たとき、いいラップを刻むことができて、少しアドバンテージを築くこともできました。そして、そこからリードをキープすることができました。今日の優勝は、本当に本当にうれしいです。チームに感謝したいです」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 3位) 「今日はベストを尽くしましたが、3位になるのがやっとでした。序盤は、ケーシーにパスされても自信がありましたし、落ち着いて走ることができました。というのも、ケーシーはリアにソフトタイヤをチョイスするというリスキーな選択をしていたからです。でも、彼がチョイスしたソフトは、最後まで完ぺきに機能していました。僕もいいペースがありましたので、ケーシーに追いついて彼を抜けると思っていましたが、勢いあまって、もう少しで転倒するところでした。それで、前の2人と離れてしまいました。そのため、ブレーキングをハードにしてギャップを縮めようとしましたが、フロントから何回も転びそうになってしまいました。厳しいレースになりましたが、最後まで100%の力でプッシュできたので満足しています。しかし、優勝するためには小さなミスはできません。とにかく、新しいマシンに乗って、表彰台に立てたことはよかったです。インディアナポリスではもっと強いレースができるようにマシンを仕上げたいと思います」
ステファン・ブラドル(MotoGP 7位) 「ラグナセカのデビュー戦は、とてもポジティブなものでした。7位という結果は、とてもうれしいです。全体的には、かなり難しい3日間でした。金曜日はコースを学ばなければならず、土曜日は午後の走行だけでセットアップしなければなりませんでした。レースの序盤、満タンのときはかなり快適でしたが、10周を終えたころから、今大会の課題になっていたフロントエンドの問題でペースをキープできなくなってしまいました。それで、クラッチローやドヴィツィオーゾに遅れ始めてしまいました。そのあと、ニッキーについていこうとしましたが、彼は僕より速かったです。だからそのポジションを維持してポイントを獲得することにしました。ベストを尽くしたと思います。この経験を次のシーズンに生かしたいです」
アルバロ・バウティスタ(MotoGP 8位) 「なぜだかわかりませんが、今日はマシンのフロントが不安定でペースを上げられませんでした。もしかしたらソフトタイヤを選択したことが間違っていたのかもしれません。スタートでプッシュしようとしましたが、ハードブレーキングができなくて、コーナーの進入でもとても苦労しました。このタイヤで昨日はいいレースペースがありましたので不思議です。昨日はポジティブな一日でした。今日は難しいレースとなってしまいました」
ミケーレ・ピロ(MotoGP リタイア) 「物事は3回続くと言われていますが、残念ながら今回の自分がそれでした。3回連続のDNFとなってしまいました。第1コーナーでランディ・デ・ピュニエ(ART)と接触してしまい、転倒してしまいました。自分とチームにとって、これから先、いいことが待っていると確信したいです」
中本修平|HRCチーム代表 「予想通り、厳しいレースになりましたが、ケーシーのすばらしい走りとがんばりで、優勝することができました。今日はタイヤの選択が難しかったですが、ソフトをチョイスしたのが、結果的によかったようです。今回は新しいエンジンを投入しましたが、ニューエンジンと車体のバランスもよかったです。ダニは、エンジンも車体も新しくて、2日目のフリー走行が悪天候のために走れなかったことがレースに影響してしまいました。結果は3位でしたが、次につながるレースになったことは間違いありません。次のインディアナポリスGPでは、Repsol Honda Teamの1-2を狙って全力を尽くしたいです」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 1 | ケーシー・ストーナー | Honda | 43:45.961 |
2 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +3.429 |
3 | 26 | ダニ・ペドロサ | Honda | +7.633 |
4 | 4 | A.ドヴィツィオーゾ | ヤマハ | +18.602 |
5 | 35 | C.クラッチロー | ヤマハ | +18.779 |
6 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +26.902 |
7 | 6 | ステファン・ブラドル | Honda | +28.393 |
8 | 19 | アルバロ・バウティスタ | Honda | +50.246 |
9 | 41 | A.エスパルガロ | ART | +1:18.993 |
10 | 17 | K.アブラハム | ドゥカティ | +1:22.076 |
11 | 14 | R.デ・ピュニエ | ART | +1Lap |
12 | 68 | Y.ヘルナンデス | BQR | +1Lap |
13 | 5 | C.エドワーズ | SUTER | +1Lap |
14 | 22 | I.シルバ | BQR | +1Lap |
RT | 46 | V.ロッシ | ドゥカティ | +3Laps |
RT | 11 | B.スピーズ | ヤマハ | +11Laps |
RT | 77 | J.エリソン | ART | +13Laps |
RT | 9 | D.ペトルッチ | IODA | +14Laps |
RT | 54 | M.パシーニ | ART | +21Laps |
RT | 24 | T.エリアス | SUTER | +31Laps |
RT | 51 | M.ピロ | FTR | - |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | J.ロレンソ | ヤマハ | 205 |
2 | ダニ・ペドロサ | Honda | 182 |
3 | ケーシー・ストーナー | Honda | 173 |
4 | A.ドヴィツィオーゾ | ヤマハ | 121 |
5 | C.クラッチロー | ヤマハ | 106 |
6 | ステファン・ブラドル | Honda | 84 |
7 | N.ヘイデン | ドゥカティ | 84 |
8 | V.ロッシ | ドゥカティ | 82 |
9 | アルバロ・バウティスタ | Honda | 81 |
10 | B.スピーズ | ヤマハ | 66 |
11 | H.バルベラ | ドゥカティ | 60 |
12 | R.デ・ピュニエ | ART | 33 |
13 | A.エスパルガロ | ART | 33 |
14 | M.ピロ | FTR | 16 |
15 | M.パシーニ | ART | 13 |
16 | J.エリソン | ART | 12 |
17 | C.エドワーズ | SUTER | 11 |
18 | K.アブラハム | ドゥカティ | 10 |
19 | Y.ヘルナンデス | BQR | 10 |
20 | D.ペトルッチ | IODA | 9 |
21 | I.シルバ | BQR | 7 |
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Honda | 221 |
2 | ヤマハ | 221 |
3 | ドゥカティ | 106 |
4 | ART | 48 |
5 | FTR | 16 |
6 | BQR | 13 |
7 | SUTER | 11 |
8 | IODA | 9 |
9 | BQR-FTR | 2 |
順位 | チーム | ポイント |
---|---|---|
1 | Repsol Honda Team | 355 |
2 | Yamaha Factory Racing | 271 |
3 | Monster Yamaha Tech 3 | 227 |
4 | Ducati Team | 166 |
5 | Team San Carlo Honda Gresini | 97 |
6 | LCR Honda MotoGP | 84 |
7 | Power Electronics Aspar | 66 |
8 | Pramac Racing Team | 60 |
9 | Avintia Blusens | 17 |
10 | Speed Master | 13 |
11 | Paul Bird Motorsport | 12 |
12 | NGM Mobile Forward Racing | 11 |
13 | Cardion AB Motoracing | 10 |
14 | Came IodaRacing Project | 9 |