round 9

July 10 2011, RACE
IZOD IndyCar Series Honda Indy Toronto
第9戦 トロント

トロントのストリートレースでダリオ・フランキッティが今シーズン4勝目を飾る
佐藤琢磨は接触により大きく出遅れるも完走して20位

IZODインディカー・シリーズ、2011年の折り返し点となる第9戦はカナダのオンタリオ州トロントで開催されました。今年もオンタリオ湖畔でのレースウイークエンドは好天に恵まれ、心地よい初夏の暑さの中で大勢のファンがインディカー・レース観戦を楽しみました。

路面に凹凸が多く、ドライビングが難しいことで知られるトロントのストリートコースでは、ウィル・パワー(Team Penske)がポールポジションを獲得し、予選2、3番手にはライバルチームであるChip Ganassi Racingのスコット・ディクソンとダリオ・フランキッティが並びました。シリーズポイントでもトップ3を占める彼らは、トロントですさまじいバトルを展開し、集まったファンを熱狂させました。

レースはスタート直後の1周目にトニー・カナーン(KV Racing Technology-Lotus)とライアン・ブリスコー(Team Penske)のアクシデントが発生したのを皮切りに、フルコースコーションが8回も出される荒れた展開となり、クラッシュにより6台がリタイアを喫したほどでした。チャンピオン争いを繰り広げているパワーとフランキッティも85周のレースの56周目に接触。パワーはその後にアレックス・タグリアーニ(Sam Schmidt Motorsports)に追突され、ゴールまで走ることができませんでした。

  • ダリオ・フランキッティダリオ・フランキッティ
  • ダリオ・フランキッティダリオ・フランキッティ
  • スコット・ディクソンスコット・ディクソン
  • ライアン・ハンターレイライアン・ハンターレイ
  • 佐藤琢磨佐藤琢磨
  • 佐藤琢磨佐藤琢磨
  • スタートスタート

ピットストップのタイミングの違いによって、レース終盤にはグラハム・レイホール(Chip Ganassi Racing)がトップに躍り出ましたが、チームメートのフランキッティとスコット・ディクソンが彼をパス。最後はフランキッティとディクソンによるチームメート同士のバトルとなり、フランキッティが今シーズン4勝目、キャリア30勝目を飾りました。3位には昨年同様にライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)が入賞し、4位には第8戦アイオワで優勝したばかりのマルコ・アンドレッティ(Andretti Autosport)が、予選20番手という後方スタートながら食い込みました。

インディカー・シリーズ参戦2年目の佐藤琢磨(KV Racing Technology-Lotus)は、昨年もトロントでは予選が18番手と苦戦気味でしたが、今年も19番手からという後方スタートとなりました。プラクティス、予選を通して思い通りにマシンセッティングを向上させることができなかった佐藤は、決勝に向けて大胆にセッティング変更。しかし、レース序盤の7周目にターンでダニカ・パトリック(Andretti Autosport)と接触してしまいました。それでも、チームはダメージを修理して佐藤をレースへと復帰させ、20位でのゴールを果たしました。

この結果、トロントを前に行われたオーバル4連戦でポイントトップに躍り出ていたフランキッティは、パワーがクラッシュによるリタイアで10点しか稼げなかったため、ポイントリードを20点から55点へと大きく広げることに成功しました。

コメント

ダリオ・フランキッティ(優勝)「とてもワイルドなレースでした。トロントでのレースはミスを許さないものとしてとても難しく、今日も多くのドライバーたちが攻撃的なドライビングを展開していて、アクシデントが多発していました。私はレース終盤にチームメートのグラハム・レイホールと好バトルを行い、その後には、やはりチームメートのスコット・ディクソンとトップ争いを繰り広げました。ディクソンは今週とてもマシンの仕上がりがよかったので、彼を封じ込めるのは難しいかとも考えましたが、ゴール前の数ラップで私のマシンはとてもハンドリングがよくなっており、優勝することができました。キャリア30勝目を飾ることができ、とてもうれしく思います。

ウィル・パワーとの接触は、彼のイン側に入ってコーナーをサイド・バイ・サイドで回ったことで起こりました。自分としては壁が右側に迫っていて、あれ以上は右に寄ることができない状態でした。アクセルを戻して接触を避けるつもりが、少し反応が遅かったようで彼とぶつかってしまいました。残念ですが、あの接触はレーシングアクシデントだったと思います。今日に限らず、私は誰に対しても汚いレースをしたことはありません」

スコット・ディクソン(2位)「優勝できなかったのはとても残念です。ストリートレースでは運も重要で、それが今日の自分たちになかったという点を悔しいと感じます。ダリオ・フランキッティが速いのは間違いのない事実ですし、今日の彼らは作戦もよかったのでしょうが、運の絡むレースとなると、いつでも彼が勝つという印象があります。私たちのマシンはとてもハンドリングがよく、優勝を狙って戦うことができていましたが、最後はレース展開と、それに合わせた作戦が私たちからチャンスを奪ってしまいました。レース序盤に早めのピットストップを行う作戦は私たちも検討していましたが、ダリオが先に入ることとなり、チームは私には走り続けさせる作戦を採用し、その作戦がうまくいかなかったということです」

ライアン・ハンターレイ(3位)「今回3位に入賞できたので、次は優勝を目指します。Chip Ganassi Racingが今日はすばらしいレースを戦っていました。ダリオにおめでとうと言いたいです。彼らのマシンは本当に速かったですから。レース終盤にグラハム・レイホールに接触してしまったのは残念でした。トロントでのレースで起こりがちなアクシデントだったと思います。今日のレースは本当に激しかったと感じています。表彰台に上がることができ、うれしく思います。順調に戦ってトップ3フィニッシュができた、というレースではありませんでしたから」

佐藤琢磨(20位)「ターン3のアクシデントは、相手がアウト側に動くという読みもあってのものでした。コースがとてもバンピーでリスタートではタイヤも温まりきっていない状態なので、本当にバトルは難しいものとなっていました。昨年のトロントが序盤でのリタイアでしたし、2種類のタイヤのパフォーマンスを確認するためにも、マシンを修理してレースに復帰しました。決勝用に向けてのマシンセッティングは、朝のファイナルプラクティスからさらに変更をしていきましたが、まだ本当にいいという状態にはなっていませんでした。次のエドモントンは、バンピーなコースといってもトロントとはキャラクターの異なるものなので、今回よりもよい戦いをすることができると思います」

エリック・バークマン|HPD社長「アクシデントが多ければエキサイティングということではありませんが、今日のレースはとてもエキサイティングなものになっていたと思います。ダリオ・フランキッティの優勝、そしてChip Ganassi Racingの1-2フィニッシュを讃えたいと思います。ドライバーたちはそれぞれが言い分を持っているのでしょうが、接触が数多く起きていたのは事実です。走りが楽観的になって追突しているケースや、相手に十分なスペースを与えなかったためにぶつかっているケースなどが見られました。しかし、ドライバーたちは常にハードにレースを戦うもので、ポジションを1つでも上げようと全力を振り絞って戦っているのです。ファンは彼らのそうしたファイト、そして姿勢をエンジョイしてくれるのだと思います。今日はペナルティについても意見の分かれるものがありました。インディカー・シリーズは今後のレースに向け、改めてルールについての協議を行う必要があるでしょう」

決勝
順位 No. ドライバー チーム C/E/T タイム
110ダリオ・フランキッティChip Ganassi RacingD/H/F1:56:32.1501
29スコット・ディクソンChip Ganassi RacingD/H/F+0.7345
328ライアン・ハンターレイAndretti AutosportD/H/F+6.0144
426マルコ・アンドレッティAndretti AutosportD/H/F+7.5671
514ヴィットール・メイラA.J. Foyt EnterprisesD/H/F+9.0117
619セバスチャン・ブルデーDale Coyne RacingD/H/F+9.3114
76ライアン・ブリスコーTeam PenskeD/H/F+9.8735
84J.R.ヒルデブランドPanther RacingD/H/F+14.1750
959E.J.ヴィソKV Racing Technology-LotusD/H/F+14.7843
1078シモーナ・デ・シルベストロHVM RacingD/H/F+15.7603
1124アナ・ベアトリスDreyer & Reinbold RacingD/H/F+16.8992
122オリオール・セルビアNewman Haas RacingD/H/F+19.8736
1338グラハム・レイホールChip Ganassi RacingD/H/F+21.3123
1406ジェームズ・ヒンチクリフNewman Haas RacingD/H/F+1Lap
1522ジャスティン・ウィルソンDreyer & Reinbold RacingD/H/F+2Laps
168ポール・トレイシーDragon RacingD/H/F+3Laps
173エリオ・カストロネベスTeam PenskeD/H/F+4Laps
1818ジェームズ・ジェイクスDale Coyne RacingD/H/F+20.5698
197ダニカ・パトリックAndretti AutosportD/H/F+6Laps
205佐藤琢磨KV Racing Technology-LotusD/H/F+19.4915
2183チャーリー・キンボールChip Ganassi RacingD/H/F+8Laps
2227マイク・コンウェイAndretti AutosportD/H/F+9Laps
2377アレックス・タグリアーニSam Schmidt MotorsportsD/H/F+14Laps
2412ウィル・パワーTeam PenskeD/H/F+19Laps
2534セバスチャン・サーベドラConquest RacingD/H/F+42Laps
2682トニー・カナーンKV Racing Technology-LotusD/H/F+83Laps
ポイントスタンディング
順位 ドライバー マシン 総合ポイント
1ダリオ・フランキッティChip Ganassi Racing353
2ウィル・パワーTeam Penske298
3スコット・ディクソンChip Ganassi Racing270
4オリオール・セルビアNewman Haas Racing232
5トニー・カナーンKV Racing Technology-Lotus221
6ライアン・ブリスコーTeam Penske219
7マルコ・アンドレッティAndretti Autosport216
8グラハム・レイホールChip Ganassi Racing208
9J.R.ヒルデブランドPanther Racing193
10アレックス・タグリアーニSam Schmidt Motorsports173
11ダニカ・パトリックAndretti Autosport173
12エリオ・カストロネベスTeam Penske172
13ヴィットール・メイラA.J. Foyt Enterprises171
14佐藤琢磨KV Racing Technology-Lotus167
15ジェームズ・ヒンチクリフNewman Haas Racing158
16マイク・コンウェイAndretti Autosport156
17ジャスティン・ウィルソンDreyer & Reinbold Racing153
18ライアン・ハンターレイAndretti Autosport150
19シモーナ・デ・シルベストロHVM Racing137
20E.J.ヴィソKV Racing Technology-Lotus135
21チャーリー・キンボールChip Ganassi Racing129
22アナ・ベアトリスDreyer & Reinbold Racing111
23セバスチャン・サーベドラConquest Racing106
24ジェームズ・ジェイクスDale Coyne Racing102
25セバスチャン・ブルデーDale Coyne Racing72
26エド・カーペンターSarah Fisher Racing72
27ラファエル・マトスAFS Racing67
28ダン・ウェルドンBryan Herta Autosport with Curb/Agajanian59
29ポール・トレイシーDragon Racing58
30アレックス・ロイドDale Coyne Racing58
31ベルトラン・バゲットRahal Letterman Lanigan30
32トーマス・シェクターKV Racing Technology-SH Racing28
33ジェイ・ハワードRahal Letterman Lanigan Racing27
34デイビー・ハミルトンDreyer & Reinbold Racing26
35シモン・パジェノーDreyer & Reinbold Racing24
36タウンゼント・ベルSam Schmidt Motorsports21
37バディ・ライスPanther Racing20
38ジョン・アンドレッティRichard Petty/Andretti Autosport16
39ピッパ・マンConquest Racing15
40ワイド・カニンガムSam Schmidt Motorsports10
41ティービーエーDale Coyne Racing0
42ブルーノ・ジュンケイラA.J. Foyt Enterprises0
43ホーピン・タンSchmidt Dragon Racing0
44スコット・スピードDragon Racing0