午前中の講義を終えた私の密かな楽しみは、太古の昔からの生態系を残すキャンパスの原始林の中を、ほとんど誰もいない昼下がりにゆっくりとJADEで移動すること。この車に乗り換えてから、ただ目的地に向かうドライブだけでなく、車と共にいる時間を楽しむようになった気がする。それは我が家の先代シビック ハイブリッドを遥かに超える静粛性や、先進の安全機能と言った技術的なものだけでなく、都会空間にも森の自然にも溶け込む、作り込まれたデザインが生み出す多様な外部環境との調和、そして静けさの中にも圧倒的な存在感を放つ質感と性能に、知性さえ感じてしまっているからなのかもしれない。この日も初夏の陽射しが原始林に佇むJADEを美しい翡翠色で包んでいた。静かな走りにふと車を停めて降りてみると、JADEの名前の由来である翡翠色の光が、ボディのクリスタルブラック・パールに艶やかに映り込み、漆黒の中に自然の煌めきを吸い込んでいた。次はどんな表情を見せてくれるのか…まだ見ぬ場所や光景がたのしみになる、JADEはそういう上質な車だ。
ロングホイールベースのステーションワゴンとは思えない、セダンを超えた乗り味が上質や快適という言葉だけでは語れない、洗練された安心感のある運転の楽しみをドライバーに与えてくれる。6人乗りだけれど、広大でフラットな荷室を持つ4人乗りステーションワゴンとすれば、この価格帯では他の追随を許さない高級車であることは疑いがない。また、1列目シートのヘッドレストを外して倒し、2列目シートの座面と繋げると、意外と寝られるぐらいのフラットなスペースが出現することも、旅ができるかもしれないこの車の意外な使い方として、いつか実際にロングツーリングで試す機会をうかがっている。

