この日も愛車アコードに乗って北隣町へ食材を買い求めに行ったついでに、紅葉を探しに森林エリアへ足を延ばしたのである。手前の交差点で上り坂だったのだが、赤信号から青に変わった際に坂道発進で久しぶりにエンストし、恥ずかしい想いを味わったのであった。坂道発進には慣れていて、いつもはアクセルも優しく踏んで、得意の半クラッチで軽やかに発進しているのだが、この日は思いもよらずエンストする破目に陥ってしまい、アコードもどうしたのと言わんばかりに不思議そうに私に視線を向けているように思えたのである。後続の車も驚いたであろうが、特に支障もなく、再度エンジンをかけ何事もなかったかのように坂道発進したのであった。目的の紅葉も少し期待外れではあったものの、若干色付いていたことから、アコードも食い入るように見入っていたようだ。アコードの気持ちが伝わってくるように思っているのは、私の身勝手な想像であり、都合のいい独断なのだが、アコードを見ているとつい抱きしめたくなるのは、常にそばにいてくれて、愛おしく感じてしまう、紛れもなくこれは私の片想いなのである。アコードはそんな私を横目に粛々と平然に、どんな場面にも快適に走行してくれているのである。


