この日はアコードのエンジンオイルを交換しに行ってきたのだった。整備工場で交換を担当してくれた若き女性の整備士が作業を終えて、アコードの状態を説明してくれたのだが、15年が経過して走行距離が多いこともあって、オイルが減少しているため今後は定期的に注意してほしいとの指摘があった。そのあとの意外な一言に驚き、彼女にくぎ付けとなったのだ。彼女はアコードに対して真剣なまなざしで見つめながら、このアコードは好きな車で欲しいし乗ってみたいと言い放ったのだった。若い女性が好むようなアコードではないと思い込んでいた私であったが、彼女は整備士というプロフェッショナルな立場もあるが、マニュアル車が好きでこのアコードが好きでたまらないという彼女の一言が、私の浅はかな思い込みを改心させてくれた衝撃的な一言で、嬉しくもあり、偏見を持っていた自分が恥ずかしくもあったのだった。アコードもうれしさのあまり、白い車体がほんのり赤く染まったように見えたのだった。アコードと私にとって、この日は心が和み、安らぐちょっぴり幸せを感じる忘れられない日となったのである。


