品格を感じさせる洗練されたフロント回りや、精悍ながらも流麗なフォルム、上品な車体からは想像できないほどの高性能なアコードに、いかにも相応しくない下品でがさつ、一見浮浪者を連想させる風采の上がらない落ちこぼれのむさ苦しい私が乗り込んで運転すること自体、周りから見れば違和感満載であるが、特にアコードは乗り手を選ぶことなく、ハンドルを握れば素直に気持ちだけでもジェントルで大らかな人柄にかえてしまう。実際にはそうではないのに、アコードの運転席に座る私は、優しさの溢れるいい人になったような錯覚に陥るほど、アコードの包容力には魅力がある。本来未熟であるにも関わらず、運転が上手くなったように感じるのも、アコードの成せる業であり、チェンジレバーを操作することによって、車を操る楽しさを思い起こさせてくれるのも、他の車では味わえないアコードならではのものであると私は考える。アコードによる長距離ドライブにおいても、私は眠気を感じたことはなく、適度に休憩もとるが、運転自体が楽しいが故にそれが理由とはならないくらい運転中は疲れることがないのである。年齢からくる私の疲労は、帰宅してからその日の夜に熟睡となって現れるようである。私がアコードに飽きることはないだろう。


