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新型オデッセイの走りは、決してオーバーな表現ではなくスポーツセダンにも勝るとも劣らないものである。アブソルートはノーマル+アルファの締まった感じが特徴となる |
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200ps+5ATは力強さがかなり感じられ、爽快な加速感を提供してくれる。SマチックでMT的操作をすれば、スポーツドライビングといえる快感を提供するのだ |
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スポーティなだけでなく、欧州のプレミアム・セダンに匹敵するほどの上質な走りを手に入れた。「張りといなしのハーモニー」はまさにお見事としかいいようがない |
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160psのノーマルモデルも極めて優れた走りを実現している。トルコン付きの新開発CVTは勢いのある加速を実現しながら、滑らかな感触を存分に味わうことができる |
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ホンダの走りは確かに変わった。昨年のアコードにも相当驚かされたが、今年のオデッセイはさらに衝撃的な進化を果たした。そう考えると、いわゆるホンダの「フツーのクルマ」における走りのレベルアップは著しい。
オデッセイの走りは、スポーツセダンにも優るとも劣らないものである。ハードに攻めても、ゆっくり流してもそれは変わらない。
直進時は極めてフラットな姿勢を作り出し、乗り心地のよさを実感させながら、どこまでも矢のように突き進む頼もしさを披露してくれる。一方で曲がりくねったワインディングロードでは意のままにノーズを向け、粘り強い踏ん張り感を伝えながらじつにしなやかにコーナーをクリアしていくのだ。だからもう、ノーマルがどうとか、アブソルートだからとかいう以前の段階で、極めて優れた走りを実現していると断言できてしまう。
そのうえで、とくにノーマルモデルの乗り心地のよさは絶品で、ゆっくり流しているときは上級セダンを思わせるような張りといなしを感じさせる。路面からの衝撃を速やかに減衰し、わずかなボディの上下動に変換してしまうあたりのマナーのよさは特筆もの。高速道路では印象がさらによくなり、まるで某ドイツ製高級セダンを思わせるようなどっしり感としなやかさを体感できる。これでもう少しボディの上下方向への動きをコントロールできたら、本当に某ドイツ製高級セダンと変わらないといえるほど素晴らしいフラット感を生み出しているのだ。しかもこれは法定速度の領域ではもちろん、テストコースでリミッター付近まで速度を上げても変わらない印象だ。
アブソルートはノーマル+アルファの締まった感じが特徴だ。路面からの衝撃の大きさは当然ノーマルよりも大きなものとなるが、その減衰の仕方はさらに優れており、本当に一発で収めてボディの上下動へと変換しないほど。だから高速道路では、ノーマルよりもさらに突き進んでいく感じが強く、確実に一枚上手といえる走りの世界を感じさせる。
またこの引き締まった感じはワインディングでとくに効果が体感できる。例えばある程度の舵角を与えながらコーナリングしているときに、路面が変化してもボディは大きく揺れず、まるで路面変化を踏みつぶすような安定感を伴ってコーナーをクリアしていくのだ。
エンジン+トランスミッションの組み合わせによるそれぞれのドライブトレーンも、かなり出来がよい。ノーマルの160ps+新開発CVTは特筆すべきもの。CVTはトルコン付きのため発進時に間延び感がなく、通常のATのような勢いある加速があり、その後CVTの滑らかな感触を存分に伝える。さらにこのCVTはインテリジェンス溢れるもので、コーナーではエンジン回転をキープするほか、ECONモードで燃費を考えながら気持ちよい走りを実現してくれるのだ。
一方アブソルートの200ps+5ATは、力強さがかなり感じられ、爽快な加速感を提供してくれる。SマチックでMT的操作をすればワインディングではスポーツドライビングといえるだけの快感を提供するのだ。
優れたエンジンとシャシーの組み合わせによって、新型オデッセイはまさにミニバンの概念を完全に打ち破った乗り物となったように思える。かつてスバル・レガシィ・ツーリングワゴンは、「後ろを振り返らなければワゴンと思えない」と運動性能の高さを評されたが、この新型オデッセイの場合は「後ろを振り返らなければミニバンとは思えない」走りを実現しているといえる。しかもそれは単にスポーティな感触があるだけでなく、プレミアム・セダンに匹敵するほどの上質さを伴って、である。
(河口まなぶ) |
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