事故を未然に防ぐためのアクティブセーフティでは今回、優れた照射性能を発揮するディスチャージヘッドライトであるHIDをシビック・ハイブリッドMXに標準装備し、その他モデルにオプション設定。これはロービーム/オートレベリング機構も備えたものだ。さらに車両挙動安定化制御システムであるVSAを1.8Sに標準装備し、その他モデルでもオプション設定する。
またアクティブセーフティの次の段階として、ホンダ独自のプリクラッシュセーフティを備えるのも特徴。これは衝突を予測してドライバーの危険回避行動を支援し、衝突時の被害を軽減するもの。ブレーキ制御とシートベルト制御で追突の危険に対応する追突軽減ブレーキCMS+Eプリテンショナーがそれだ。このシステムはミリ波レーダーで前車との距離や相対速度を検出し、追突の恐れがある時にドライバーに危険を知らせ、さらに近づくと軽いブレーキで体感警報を行なう。そして衝突が回避困難と判断した場合には、強いブレーキ制御を行なう。このときEプリテンショナーはCMSと連動し、シートベルトでも同様に最初は弱く拘束し警告。さらに回避困難時には強く引き込み拘束効果を高める。このクラスのクルマで、ここまでの安全装備を備えるものは他では皆無だ。
衝突時の安全性も、今回さらなる追求がなされた。結果「自己保護性能の向上」と「相手車両への攻撃性低減」の両立が図られたのが特徴だ。まず自己保護性能の向上では乗員の傷害値の低減と生存空間の確保を独自のGコントロール技術により両立。結果前面フルラップ55km/h、前面オフセット衝突64km/hをクリアすると同時に、側面衝突55km/h、後面衝突50km/hにも対応し、全方位での衝突安全性能を実現した。また実世界での様々な相手車両との衝突を想定。衝突時の相手車両への攻撃性を低減したコンパチビリティ対応ボディを採用、シビックよりも大きなクルマ/小さなクルマとの衝突時には、自身を守り相手を攻撃しないことで共存することを目指す。
この他にも、歩行者傷害軽減ボディの対応や、衝突時の頭部への衝撃を緩和するサイドカーテンエアバッグや、前席用i-サイドエアバッグのオプション設定。さらに頭部衝撃保護インテリアの採用や、後面衝突時に頸部にかかる負担を軽減するフロントアクティブヘッドレストを前車に標準装備。シートベルトもより拘束力を高めるラッププリテンショナーを採用するなど充実装備となる。そして、これはやはりこのクラスでは類を見ない充実度だ。
環境性能というと、燃費と排ガスがまず頭に浮かぶが、排ガスでは「平成17年度排出ガス基準75%低減レベル」認定を全車が受けている。同時に燃費でも全タイプで「平成22年度燃費基準」を達成しグリーン税制優遇措置も適用されるといった具合で、シビック/シビック・ハイブリッドは当たり前のように高い環境性能を備える。
だがこれ以外にも環境性能への対応は進んでいる。例えばインテリア・エクステリアの樹脂部品からPVC(ポリ塩化ビニール)を積極的に減らし、リサイクルしやすく環境に優しい材料選定が行なわれている。この結果リサイクル可能率では90%以上を実現している。またHondaは独自にディーラーからのバンパー回収リサイクルシステムを確立し、これを再生材として再利用している。
さらに鉛、水銀、カドミウム、六価クロムといった環境負荷物質の使用量削減に積極的に取り組んでおり、実際にこのシビックでは鉛と水銀に関しては日本自動車工業会が定める自主削減目標を達成。カドミウムと六価クロムについても早期全廃を目指し、ほとんどの部品で仕様を廃止している。
そして最近よく耳にするシックハウス症候群の一要因とされるホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエンなどのVOC(揮発性有機化合物)に関する削減にもとり組んでいる。インパネやドアライニング、シートなどの表皮材や、ドアシール用/ガラス用の接着剤を見直すことでこれらを大幅削減。さらに排出ガス臭や花粉除去性能に優れた高性能脱臭フィルターも標準で採用する。こうした細かな積み重ねで、VOCを厚生労働省の定めた「室内濃度指針値」以下にして、室内の空気質を改善しているのだ。
さらにクルマの根本でもある骨格および部材レベルでの軽量化を図るなど、成り立ちの部分から社会への負荷をかけない努力がなされている。
こうして環境性能にも先進のクオリティチェックを施すことで、シビック/シビック・ハイブリッドは、さらに人に優しいクルマとして生まれてくるのである。