STEP.2

キュウリの
上手な育て方

~ツルを園芸ネットに
誘引して育てる~

苗を植える

植穴から飛び出るように苗を浅めに植える

4月下旬に、本葉4~5枚に育った苗を植えます。幅90cmの畝なら2列植えにし、幅60cmの畝なら1列に植えると良いでしょう。
苗は根鉢が植穴から5mm程度飛び出るように植えます。定植前にポットを水に浸して吸水させてから植えると良く、その後は水やりを控えます。すると、自らの力で根をしっかりと伸ばし、丈夫に育ってくれます。
連作障害を避けるため、キュウリ、スイカなどのウリ科野菜と同じ場所で続けて栽培しないのが基本。ただし、ニラやネギを混植すると土壌病害が防げ、連作が可能です。

キュウリの苗は浅めに植えると良い
1

株間50cmでマルチに穴をあけ、ポットより若干浅めに植え穴を掘ります。キュウリの根は過湿を嫌うので、根鉢が5mmくらい地表から飛び出る浅植えにするのがポイントです。

2

ポットをはずし、根鉢を植え穴に入れます。つる枯病などの土壌病害を抑えるため、ネギやニラの苗を混植するのがおすすめです。

3

植え穴と根鉢に隙間ができないよう、土を寄せて押さえます。

支柱を立てて
園芸ネットを張る

ピンと張った園芸ネットにツルを誘引する

キュウリのツルを誘引するため、畝に支柱を立てて園芸ネットを張っておきます。
2列に植える時は下の写真のように支柱をクロスさせる「合掌型」に組み、園芸用ネットを2面に張ってキュウリを誘引します。250cm程度の長さの支柱を使います。1列に植える場合は、約1m間隔で長さ2m程度の支柱を真っすぐ挿し、園芸ネットをスクリーン状に張ります。
園芸ネットは、できるだけピンと張ってください。風でブラブラ揺れると葉がこすれて傷つき、病原菌の侵入を許すことになります。

ネットはピンと張ると生育良好
1

支柱は約30cmの深さに挿し込むと安定します。クロス部がほぼ同じ高さになるように、1m間隔で支柱をX字に立てていきます。

2

クロス部に横棒を渡し、麻ヒモなどで結束します。

3

園芸用ネットを用意します。

4

横方向にヒモを張り、ヒモに園芸用ネットを通して、カーテンを閉める要領で園芸用ネットを広げていきます。

5

園芸用ネットをピンと張って所々をヒモでくくって固定します。なお、斜めに支柱を追加してヒモで固定すると「筋交い」になり、組んだ支柱がグラつかなくなります。

7〜8節まではわき芽を
摘み初期生育を促す

早くから実をつけると株が伸び悩む

定植後、キュウリが草丈50cm程度になるまでは、畑に行くたびにわき芽と花芽をこまめに摘み取ります。7~8節目くらいまでのわき芽と花芽はすべて摘み取りましょう。
生育の初期段階では体を大きくする方にエネルギーを回すとよく、根もよく発達して丈夫な株に仕立てることができます。

根が発達して地上部も丈夫に育つ

花芽も摘み取ります。
実を大きくすると主枝が伸び悩みます。

ツルを誘引する

植えた苗が根付くとツルが伸び始めます。ツルが迷子にならないよう、園芸ネットに誘引しましょう。
ツルをそっと動かしてネットに絡ませるか、ヒモで緩めにくくって固定しておきます。その後、木登り上手のキュウリは、巻きヒゲをネットに絡ませながら、ツルをグングン伸ばして生長していきます。

1

キュウリは自分で園芸ネットを這い上っていきます。

2

ネットから外れて伸びるツルがあったら、ネットにひっかけて添わせましょう。

巻きヒゲがネットをつかみ自らツルを固定する

元気なキュウリほど、丈夫な巻きヒゲがでます。巻きヒゲでツルを固定すると、キュウリは安心してツルをグンと伸ばします。

収穫する

17〜20cmがおいしいサイズ
採り遅れに注意する

キュウリは収穫開始までのスピードが速く、開花後1週間~10日で収穫サイズに生長します。
収穫が始まったら、発酵油かすを1株あたり約10~20gの目安で追肥します。畝の脇(通路部分)に発酵油かすをパッとまいて軽く土と混ぜておきましょう。
雨の少ない時期には、夕方、通路部分にたっぷりと水をまいておくと、おいしくてみずみずしいキュウリが次々と収穫できます。養水分が足りないと根が疲れて、曲がったキュウリが多くなります。

こまめな若獲りで多収穫、長期収穫を目指す

実を採り遅れると、あっというまに巨大化します。タネをつくるのに養分が使われ、株の勢いが衰えて実つきが悪くなります。若い実をこまめに収穫するのが多収穫、長期収穫のポイントです。

収穫サイズになったらハサミで収穫

キュウリはツルがもろくて弱いので、実をハサミで切り離して収穫します。無理に手で引っ張ってもぎ取ろうとするとツルを傷めます。

直まき栽培のコツ

ツルが伸びる先を耕うん機で除草

気温も地温も十分に高くなる6月中旬以降は、畑にタネを直まきする栽培法がおすすめです。 
50~60cm間隔で1ヶ所に2~3粒のタネをまき、元気の良い苗を残して間引いて1ヶ所1株にします。その後はツルを地面に這わせて育てます。
ツルを這わせるためのスペースを2mほど用意し、除草を兼ねて耕うん機をかけておき、刈り草やワラを敷いておきます。わき芽かきは不要で、放任で育てます。

収穫は10〜11月。支柱栽培よりも味が良くなります。敷きワラの代わりに防草シートを敷いても良いです。

広めのスペースにツルを這わせます。支柱栽培でも構いませんが、収穫時期が台風シーズンにあたるため、地這い栽培のほうが強風の影響が少ないです。

秋に養分として
使える収穫残渣

収穫残渣や刈った雑草は土にかえして有機肥料に

キュウリやカボチャ、ナスやトマトなど、夏野菜の収穫が終わると、ツルや枝葉など大量の収穫残渣が出ます。また、除草するたびに刈った雑草が大量にたまります。これらの処分法でおすすめなのが、畑に溝を掘って埋める方法です。空いた畝や通路などに埋めましょう。
収穫残渣や雑草は、微生物によって分解されて土に還り、次の野菜を育てるための養分となります。
微生物の活動によって土が団粒化するため水はけや水持ちも向上し、耕すのもラクになり、良いことずくめです。

溝掘りには培土器を活用できる!
1

耕うん機で土をほぐしたら培土器をセットし、溝をつくります。

2

収穫残渣を溝に入れたら足で踏みます。

3

土を戻します。土は肥沃さを増し、少ない肥料で野菜が育つ地力の高い畑に変化します。