10年、50年という単位ではなく、100年、あるいは1000年という単位で
存在し続けるものが、日常と隣り合わせにある京都。
悠久の時の流れを感じる地を、NSXとともにゆく。
「京都のランドマーク」である東寺の五重塔は1644年に再建された「5代目」。
四度の焼失を経て現在の姿になったが、地震で壊れたという記録はない。
これは軸部、組み物、軒を組み上げ、最上層まで繰り返すという積み上げ
構造や、木材同士を緊結させない柔構造を採用したからと言われている。
八坂の塔などの社寺建築物と、江戸時代末期から大正時代にかけての
町家群が一体なり、他には無い歴史的景観をいまに伝える産寧坂。
祇園社、清水寺など多くの社寺が並び建つ一帯で、
平安京以前から開けていたとされる。
京都と竹と聞けば、茶筅や京町屋の犬矢来などが思い浮かぶが、
意外なところでは「発明王」トーマス・エジソンが電球のフィラメントに
用いたのも京都の竹。恵まれた気候風土に育まれた良質な竹が、
「世界から夜が消えた」というイノベーションを推し進める力になったのだ。
水の供給を司る神「たかおかみのかみ」を祀る貴船神社。
平安時代の女流歌人、和泉式部も参詣し、不和となった夫との
復縁祈願が成就したという逸話があることから、えんむすびの神としても
幅広い世代から親しまれる。
あらゆるものが猛烈な速さで移り変わる現代だが、京都は平安時代から
現代までがひとつの「地続き」として感じられる場所だ。
何百年もの歴史を積み重ねてきたものには、この激動の時代にあって
決して揺るがないと感じさせる、有形・無形の確かな重みがある。